2024年5月17日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

インスタ映えの弊害

現在、春期講習生を募集しております。

詳しくは「2020年春期講習」をご覧ください。

      

「インスタ映え」とは、写真共有SNS「インスタグラム」に写真をアップロードし、公開した場合に、ひときわ見栄えよく素敵に見える、という意味で用いられる表現のようで、インスタグラムへの投稿を念頭において「写真うつりがいい」と述べる言い方(実用日本語表現辞典より引用)だそうです。「インスタ映えスポット」や「インスタ映えアイテム」、「インスタ映えフード」などがメディアで数多く紹介されています。普段の会話でも、「おしゃれだね」のかわりに「映えるね」を使うようです。「映える」という言葉が、これまでの使用場面を越えて、柔軟に使うことができる言葉に変わりつつあるのかもしれません。

     

ところが、ある問題が起こっていることをご存知でしょうか。それは「映える」の読み方問題です。「インスタ映え」の影響で、「映える」を「ばえる」と読む子が急増しているのです。もちろん「見映え(みばえ)」などのように「ばえ」と読むこともありますが、「映える」単独であれば「はえる」と読みます。塾内にある6冊の国語系辞書で調べてみても、「ばえる」と読むものは1つもなく、すべて「はえる」で掲載されていました。

     

こんなことを書いたのも、先週の漢字テストで「夕日に映える紅葉」を、「ばえる」と答えた生徒が2名もいたからです。これまで同じ問題を出題してきても「ばえる」と答える生徒は1人もいませんでした。それが先週のテストでは2名も「ばえる」と答えたのです(どちらの生徒も漢字の勉強をしていませんでしたので、「映える」を本当に「ばえる」と思っていたのでしょう)。間違ったことが残念な一方、「映える」を「ばえる」と読むのが当たり前だと感じているところに少し恐ろしさを感じました。学習のなかで誤りに気付かなければ、そのままずっと自分は正しいと思い続けていたかもしれないからです。

     

子どもはまだまだ語彙力が不足しており、自分の伝えたいことを的確に伝えることができないことがあります。言いたいことはあるけれど適切な言葉が出てこないといった状態です。「ヤバい」が多用されるのも、その一言で自分の言いたいことのニュアンスを伝えてくれると信じているからでしょう。そして、「ばえる」も物事の様子をポジティブに伝える表現として便利なものです。ですからお手軽に「ばえる」を多用し、子どもたちにとってはそれが当たり前になっているのかもしれません。生徒のテストを見て、改めて「知ること」「学ぶこと」の大切さを考えさせられました。

      

      

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