2024年5月17日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

「資料の活用」トレーニング

現在、春期講習生を募集しております。

詳しくは「2020年春期講習」をご覧ください。

      

ここ数年の入試問題では、思考力・判断力・表現力を問う問題が増えています。それに伴って、数学では「資料の活用」の問題が明らかに増加しています。それも、ただ単に相対度数や中央値を求めさせるだけでなく、自分の意見や解答を導く過程を記述させるものも見られます。「資料の活用なんて簡単でしょ」と思っている受験生は多いですが、いざ記述のある問題を解かせると、語句の意味が曖昧で、言葉の使い方がマズく、説明になっていない場合が少なくありません。2年前の福岡の入試では、各階級の度数ではなく相対度数を比べるとよい場合を答えさせる問題が出ました。この問題の得点率は31%と、この年の数学で5番目にできの悪いものでした。きっと受験勉強において相対度数の意味など考えず、ただ式に当てはめて計算してしまっていた受験生は一定数いたことでしょう。子どもたちはどうしても答えがあっていれば満足してしまいます。その答えが納得した手順を踏んで導き出されたものであろうと、何となく計算してみて出てきたものであろうと、あってさえいればとりあえずは満足なのです。ですから、子どもの勉強に携わる人間は、解答欄にはあらわれない部分まで見なければなりません。答えはあっているけれど間違った計算をしていないか、解答を導くプロセスを踏んでいるか、ミスを誘発しやすい書き方をしていないかなど見ていくと、「この子は実はよく分からず、ただ機械的に計算しているのではないか」というのが見えてきます。受験生の思考力・判断力・表現力を問う傾向が強まっている入試において、思考の跡が見えない受験勉強ほど恐ろしいものはありません。

       

過去の全国入試から「資料の活用」だけを引っぱってくると、受験者の思考力や表現力を問ういい問題が結構あります。全国入試から2題ほど問題をピックアップしました。ぜひ解いてみて下さい。

      

問1 下の表は、 ある養鶏場で、ある日の朝にとれた卵から、100個を無作為に抽出し、その重さをはかり、度数分布表に整理したものである。

この日の朝にとれた卵の総数のうち、L区分の個数は、抽出した100個を標本として推測することができる。そのためには、卵の総数のほかに何を用いればよいか、表からわかる次のア~エから言葉を1つ選び、記号を書きなさい。また、卵の総数のうちL区分の個数を推測する方法を、選んだ言葉と卵の総数という言葉を用いて説明しなさい。

ア 階級の幅

イ 階級64~70 gの階級値

ウ 階級64~70 gの相対度数

エ 卵の重さの平均値

      

これは長野県の公立入試問題です。標本をもとに、L区分の総数を求める問題です。相対度数は割合のことなので、卵の総数にある階級の相対度数をかければ、その階級に含まれる卵の総数がわかります(単なる小学5年生で勉強する割合の計算です)。ところが、いざ記述しようとすると言葉が出てこず、手が止まってしまう生徒がいます。普段の勉強でいかに計算の理由や目的を考えているかが丸裸になる問題です。

(解答例)記号…ウ

方法…階級64~70 gの相対度数を、卵の総数にかける。

       

問題2  15人ずつのA、B、2つのグループがある。1人ずつ目を閉じてストップウォッチをスタートさせ、60秒になったと思ったところで止めて、そのときの時間を記録した。次のヒストグラムは2つのグループの記録をまとめたものである。次の問いに答えなさい。

2つのグループの結果を比較するために、ヒストグラムから平均値を求め、それを用いて調べようと考えた。このときの平均値の求め方を説明しなさい。ただし、階級値度数のことばを用いること。実際に平均値を求めなくてよい。

     

これも先ほどと同じく長野県の問題です。これが「平均値を求めなさい」という問題であれば、簡単に計算に移ることができるでしょうが、その計算を説明しなさいとなると困ってしまいます。その大きな原因は、階級値度数ということばを理解していないことにあると思います。ことばの意味が曖昧なので、いつもやっている計算の手順を文字化することができません。文字化しようとしても、そもそも文字化することに慣れていないので、言葉のつながりがおかしくなってしまいます。ああでもない、こうでもないとあわあわしているうちに時間を消費しタイムオーバー。こんな受験生の様子が目に浮かびます。

(解答例)各階級で階級値と度数の積を求め、それらの合計を資料の個数で割る。

       

まずは、言葉の意味を正しく理解することです。「相対度数って何?」と問われたときに答えられないようでは困ります。答えられたとしても、「わり算で求めるやつ」では通用しません。この時期はあれもこれも手を出したくなりますが、身についていないものには時間をかけて取り組むべきです。中途半端な知識ほど大事なときに使えないものはありません。昨年が確率でしたので、今年は資料の活用が出ると信じています。今こそ資料の活用に取り組みましょう!!

※個人の意見です。

     

     

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