2024年5月17日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

公立高校入試を前にして

いよいよ明日は公立高校入試です。これまでの受験勉強、ひいては15年の人生経験で培ったすべてのものをぶつけてきてください。

     

常日頃、「お金を出して塾に通う以上、勉強するのは当たり前」と言っていますが、それは現代の子どもたちにとってはそれほど易しいものではありません。目の前に「物白いもの、簡単なもの」と「つまらないもの、苦手なもの」があれば、誰だって前者へと流れます。とりわけ、これだけ物質的に豊かで、簡単にモノ・情報を手に入れやすい時代に生きる中学生にとっては、「机に向かって、問題集を開いて、勉強をする」ことの価値は見出しにくくなっているのかもしれません。だからこそ、「一生懸命に勉強する」ということには価値があり、学歴重視の社会構造はなかなか変わらないのでしょう。

    

春から夏にかけての彼らは、例年になく順調に点数を伸ばし続けました。おそらく「受験勉強ってこんなものか」と楽観視していたことでしょう。ところが、夏を過ぎると、徐々に点数・偏差値ともに頭打ち傾向になり、数値での成長を感じられなくなっていたはずです。勉強して、自分ではできることが増えていると感じているにもかかわらず、見た目での成果を感じられないという苦しい状態でした。おそらく、合格への自信、自分の可能性への自信が揺らいでいたことでしょう。しかし、この状態は受験生としてはある意味健全な状態だといえます。勉強しているにもかかわらず、成長が停滞する状態を「プラトー(日本語だと「高原」)」と言いますが、これはだれにでも起こる現象です。ここで大事なのは、努力を放棄しないことです。練習を無駄だと決めつけて、そこでやめてしまっては、成長のチャンスはついえます。「プラトー」状態を抜け出すためには、苦しみながらも勉強し続けることが近道なのです。事実、彼らは逃げ出すことなく、地道に勉強を続けました。時にはダレることもありましたが、最後までやり切ったといえるでしょう。

     

点数を取るための練習は、十分すぎるほど積んできました。練習問題を解いても、過去問を解いても、ある程度は取れるという手ごたえは持っていることでしょう。いつもより背伸びする必要はありません。いつもと同じ気持ちで取り組むのは難しいでしょうが、高まる気持ちをおさえて冷静にいきましょう。いつも通り、落ち着いて、決めつけることなく、悩んだときは基礎基本に立ち返って。

     

入試前日には毎年書いていることですが、受験直前の受験生を見ると、「15歳で高校受験という人生の分岐点をむかえること」の意味を考えさせられます。これまでとは違い、これからの人生は「責任ある選択」の連続です。どの高校に行くのか、文系・理系のどちらに進むのか、どの大学に行くのか、どこに就職するのか、どこで生活するのか、誰と人生を生きるのかなど、選択の連続です。これまでは、親から言われたこと、学校で指示されたこと、あらかじめ決められていたことを実行していれば済んでいました。極端な言い方をすれば、自分の人生を選ぶ余地がなかったのです。しかしながら、義務教育の終わりと同時に、自分の新しい人生が始まります。自分だけの人生のスタートです。自分の責任の下、自分の人生を歩んでいきます。いいときも、悪いときもあるでしょうが、そのすべてが自分の人生です。自分で切り開いていかなければなりません。高校受験は、自分の道を歩きはじめる「自立」への第一歩なのです。

     

明日をむかえるまで、子どもたちは将来に思い悩み、自分の可能性を知り、大人からの期待を一身に背負ってきました。とりわけ、この2年間のコロナ禍で、学校行事や部活動も満足にできず、精神的な動揺は私たち大人には計り知れません。ですが、高校受験と真正面から向き合った子どもたちは、人間的に大きくなります。知的にも、精神的にもたくましくなります。現実から逃れたいと思うことは多々あったでしょうが、最後まで頑張った受験生には尊敬の念を抱かざるを得ません。

     

明日は、周りの受験生なんかに惑わされることなく、堂々と戦ってきなさい。「自分が合格するのだ」という強い気持ちで、すべてを解答用紙にぶつけてきなさい。

     

      

    

保護者の皆様へ

こんな知名度も、誇れる実績もない塾に大切なお子様をお預けいただきありがとうございました。保護者の皆様のご理解、ご協力のおかげで公立高校受験前日をむかえることができました。明日はなかなか落ち着かない一日となるでしょう。大人は子どもの力を信じて待つことしかできません。前向きに送り出し、帰ってきたら一人でここまで戦い抜いたことに対し、ねぎらいの言葉をかけてあげてください。

長い人生のほんのひとときですが、子どもたちの人生に関わることができてうれしく思います。

      

     

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