2024年5月17日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

暗記できないんじゃない!暗記しようとしていないんだ!!

新年度の授業が始まって1か月以上が経ちました。以前も書いたかと思いますが、今年度は授業進度を若干緩めています。大まかに言うと、昨年までであれば6~7回分かけて扱っていた内容を、今年度は7~8回かけています。その分、1つの問題をより深く掘り下げる意図があります。また、宿題の量も過去4年の中でもっとも抑えています。量を絞る代わりに、やり直しを重視し、より知識・理解の定着を目指しています。中学生は、さっそく6月に定期考査があります(一部、はっきりしない中学校もありますが…)。ここまでの勉強の積み重ねを発揮できるよう取り組んできましょう。

     

中学校の勉強の大半は暗記です。近年では、「思考力・判断力・表現力が大事だ!」と言われることも多いです。私もこのことを否定するつもりはありませんし、むしろ年齢を重ねるにつれて、思考力・判断力・表現力の重要性を感じています。しかしながら、だからといって、知識の習得(つまり暗記)が不要になることはありません。思考し、判断し、表現するためには、蓄積してきた知識が不可欠だからです。ですから、授業の中では、覚えなければならないものについては「これは覚えなさい」と言います。反対に、覚えていなくても、考えればわかることについては「覚えなくてもいい」と言います。また、覚えるべきものであっても、授業を受け続ければ自然と覚えていくものもあります。たとえば、中3理科の「等速直線運動」という言葉は、覚えるべき言葉ではあるのですが、授業を受け続ければほぼ例外なくすべての生徒が覚えてしまいます。こういうものについては、「最初は難しいと感じるだろうけど、勝手に覚えてしまうから気にしなくてもいい」といいます。実は、私が授業の中で「これは覚えなさい」ということはそれほど多くありません。その分、それらは覚えていなければどう頑張っても問題が解けないものなので、何が何でも覚えてもらう必要があります。

     

暗記するための確実な方法は「回数をこなす」ことです。先ほども登場した「等速直線運動」を覚えられる理由の一つに回数があります。塾で使用するような問題数の場合、いたるページで「等速直線運動」が答えとなる問題が出てきます。また、授業でも何度も説明しますし、定期考査対策や入試対策でも頻出です。目で見て、音を聞いて、自分の手で書く回数が多いからこそ覚えることができるのです。反対に、ふれる回数が少なければ覚えることは難しくなります。たとえば、中1の歴史では「ヘレニズム」という言葉を扱ったのですが、問題として出てくる回数もその言葉を発し耳にする回数も少ないために、覚えにくくなります(小テストでは「ヘルニア」と回答した生徒もいました)。

    

ただ、むやみやたらに回数をこなせばいいのではありません。よく、漢字や英単語を覚えるために、続けて何回も書く子がいます。このやり方の場合、かけた時間と労力の割に結果がともないません。同じものを書き続けるのは、覚えるというよりも単なる流れ作業になってしまいます。回数は少なくてもいいので、1回の練習に集中して取り組むべきなのです。たとえば、中1の英語のテキストにbeautifulという単語が出てきます。これは基本単語なので書けなければなりません。これをbeautiful、beautiful、beautiful、beautiful…とひたすら練習する場合、練習直後は書けたとしても、時間が経てば忘れる可能性が高くなります。途中からは暗記ではなく、作業になってしまうからです。beautifulの場合、3つのパーツに分けて覚えるようにアドバイスします。まずはbeau(ビュー)の部分。ここは英語初心者の子にとって、音とつづりが一致しにくいところです。beautifulが書けない子の大半は、ここでつまづいています。ですから、まずはbeauの部分のつづりを覚えさせます。たった4文字ですので、これであればすぐに覚えることができます。次にti(ティ)の部分です。ここは音とつづりが一致しているので簡単です。最後にful(フル)の部分です。ここは初心者の子だと、語尾にuを付けてしまいがちです。このように、一気に練習するのではなく、まずはパーツ(部分)を確認し、つくりを把握してから練習することで、1回、あるいは2回練習しただけで正しく書くことができるようになります。また、このようにすることで、時間が経っても忘れにくくなります。覚える時間と労力を省くことができることに加え、記憶が長持ちするのです。実際には覚えるべき単語や漢字、語句は相当量あります。1単語ではちょっとした差であっても、ちりも積もればかなりの差となって現れることでしょう。ちなみに「等速直線運動」も当然「等速」「直線」「運動」に分けて理解します。部分を理解したうえで、練習をする。1回で足りなければもう1回覚える。まだ無理ならばそこで諦めずに回数を重ねる。ただ書くだけで覚えようとしたり、すぐに諦めたりしているようでは、なかなか身につかないものです。

     

それに加えて、時間を置いて復習をすれば完璧です。比較的余裕のある中1・中2の理科では、1つの問題を2回解くことを課しています。1回目は授業日の直後(翌日か翌々日)、2回目は次回の授業日の直前(前日か前々日)です。たとえば、中2の理科授業は月曜日にありますので、火曜日か水曜日に問題集を1回解きます。その際、覚えていない、あるいは解けなかったものは解き直し、再度知識を確認します。そして、土曜日か日曜日に2回目を解きます。1度解いている問題なのでほとんど正解できますが、中には定着が不十分だったところもあります。そこは特に苦手なところですので、再度時間をかけて覚え直し、解き直しをします。そして、1週間後の月曜日に確認テストを行い、次の単元に進んでいきます。これらをまとめると、次の通りです。

授業で説明と問題演習(月曜)

→直後に問題演習とやり直し(火曜or水曜)

→時間を置いて再度問題演習とやり直し(土曜or日曜)

→確認テスト(月曜)

このようになります。また、今年度から理科の実験を映像で見ています。言葉や絵だけでは分かりにくいことも、映像で見るとわかりやすくなり、理解・定着がはかれます。

     

いろいろ書きましたが、ここで言いたかったことは4つです。

① 暗記から逃げるな!

② 暗記したければ回数をこなせ!

③ でも、むやみやたらに回数をこなすことはするな!

④ 時間を置いて復習をしなさい!

     

中学校レベルの内容であれば、「暗記が苦手」というのは「面倒くさいから暗記したくない」と同義だといえます。だれだってキチンと暗記すれば覚えられるのです。覚えられないのは、覚えられるやり方でやっていないからなのです。

      

      

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