2024年5月17日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

勉強すればするほど「できない」が襲いかかる

勉強をできるようにするためには、勉強に取り組む時間を増やすことが必要です。「効率よく勉強します」と中学生がよく言いますが、中学生が考える効率とは「できるだけ少なく時間で楽に成績を上げたい」という気持ちの裏返しであり、その言葉をうのみにするのは危険です。成績を上げたいのであれば、効率どうこう言っていないで、まずは机に座ってたっぷり勉強に取り組むことです。そうやって数や時間をこなして初めて、本当に効率のよい勉強法を身につけることができるのです。特に、中1生には「勉強をして成績を上げる」という当たり前のことを教えることが重要です。はじめにサボったり、楽な道を選んでしまうと、軌道修正することは容易ではありません。中1のはじめの定期考査では、大して勉強しなくても7割程度の点数であれば取れてしまいます。すると、ここで多くの生徒が「勉強しなくても学力が身についている」と誤った思考を抱きはじめます。そしてこのような生徒は、次のテストも、その次のテストも、はじめのテストと同じだけのテスト勉強しかせずに定期考査に臨みますが、初めのテストをこえるような点数は当然たたき出すことはできません。むしろ、着実に下降線をたどるはずです。その状態で初めて危機感を抱いて勉強をし始めますが、勉強への耐性がないため、少しやってできないと、すぐに「勉強は向いていない」と言い訳して逃げ出すのです。いかに、早い段階で「学力を高めるには、十分な勉強をしなければならない」ということを理解させるかが大事です。遅くなればなるほど、逃げることを覚え始めます。そのうえで周りの大人は、子どもたちが勉強しただけの結果を出させてあげることが必要です。言われたとおりの勉強をしたにもかかわらず結果が出ないと、勉強の目的を見失いかねません。「成績を上げたいのであれば、勉強しなさい」という以上、目に見える結果を出させなければならないのです。

      

勉強には逆説的な側面があります。勉強に取り組まなければ成績が上がることはありませんが、その反面、勉強に取り組めば取り組むだけできないことが襲いかかってくるのです。たとえば、当塾の中1生は、毎回30個の英単語のテストをしています。英単語の意味やつづりが分からなければ、英文を書くことができませんので、英単語を覚えるのは当然のことです。それに加えて、新学習指導要領のあおりを受けて、今年の中1から身につけるべき単語数が大幅に増加したので、英単語暗記を疎かにするわけにはいきません。英単語を覚えれば、英語力は確実にのびていきますが、一方、英単語の暗記などというものに取り組まなければ、「単語の意味が分からない」「つづりを覚えられない」などという悩みやストレスにさいなまれることはありません。英単語を覚えるという勉強をしたがゆえに、できないことが濁流のように襲いかかってきているのです。中2にはゴールデンウィークの課題として、曜日・月や代名詞の格変化、数字・序数など、基本単語の暗記を課していました。中1からやっていることなので、中1から在籍している生徒はそれほど苦労していませんでしたが、中2からうちに来た生徒は言わずもがなの結果です。彼らも、私からこれらの暗記課題を課せられなければ、平穏かつ自由な毎日を過ごすことができたでしょう。暗記という勉強をしなければ(正確には、暗記が課されなければ)、できないことが眼前に現れることはありません。できないことがどんなにたくさんあっても、勉強しなければそれに気づかずに生活を送ることができ、もし気づいたとしても気づかないふりをすればいいだけの話です。できないことに気づかなかったからといって、それが罪なわけでも、不利な待遇を受けるわけではありません。できないことに気づかないと、気づかないうちに自分の選択を狭めていきますが、そもそも選択が狭まっていることに気づいていないので、それはそれで幸せであるともいえるでしょう。

       

受験では、できないことを無くし、できることを増やすということが必要です。ゆえに、塾では、できないことと向き合うことが当然のように行われています。できないのであれば、何が原因でできないのかを考えるのは当たり前です。塾に通わなければ、できないことがあっても見ないふりをできたかもしれませんが、塾に通う以上そうはいきません(特に当塾は)。ときにできない自分が情けなくて、悔し涙を流す生徒もいます。塾に通わず、できないことに向き合わなければ、そんな涙を流すことはなかったでしょう。何とか勉強できるようにしたいと願うがゆえの感情です。どの生徒も、入塾前に比べてできることが格段に増えています。以前よりも知識を身につけ、そして考えて問題と向きうようになっています。生徒に、入塾前とは勉強に対する考え方や向き合い方が変わったかを聞くと、「英文をつくるときにこんなに細かいところまで考えていなかった」「ことばの一つひとつの意味を考えるようになった」「ミスしないという意識が高まった」など、成長を感じさせる言葉が返ってきます(でも、まだまだ甘いところばかりです)。正しいやり方で勉強すれば、間違いなく成績は伸びていきます。それ同時に、勉強に取り組めば、自分の弱さや愚かさに気づくことも多々あります。「なんて自分はバカなんだ」という感情も芽生えるかもしれません。しかし、できないことに向き合い、もがき苦しんでいる間にも、実は少しずつ前に進んでいます。そもそも「できない」ことに気づけただけでも大きな進歩じゃないですか。目の前からできないことが一掃されることはありません。偏差値が70を超えるような子であっても、つねにできないことと戦っています。できないことがあったときに、必要以上に卑屈になることはありません。できないこととどう向き合っていくのかが子どもたちに課せられた課題ではないでしょうか。

     

     

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