2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

始め半分

英語ほど出だしで勝負が決まってしまうものはありません。つまり、中1の英語を疎かにしてしまうと、中2、中3になっても中1の不勉強を引きずることとなるのです。中1英語をサボり、知識が曖昧なまま先に進むということは、まさに鉄の下駄をはいた状態でマラソンを行うようなものです。鉄の下駄をはいていたとしても、42.195kmを完歩することは可能でしょう。しかし、先頭集団とは大きく引き離されてゴール、すなわち高校受験を迎えることとなります。もちろん選択できる受験校は限られており、そのわずかな選択肢の中からしぶしぶ受験校を選ぶこととなります。以前、久留米大附設高校に合格した生徒がいたのですが、彼は手続きの期限直前まで久留米附設に行くのか、修猷館高校を受験するのかで迷っていました。何ともぜいたくな悩みだと思われるかもしれませんが、それが15年生きてきた彼の努力の結果です。勉強を積み重ねる、勉強ができるということは選択肢を増やすための最大の手段だということです。結局、彼は修猷館高校に合格し、進学しました。

 

話はずれましたが、中1の指導においては「英文を、はじめから終わりまで、過不足なく、欠陥なく書く」ということを重視しています。そして、中1英語ではいよいよ3単現のsの指導をしています。ここが中学英語の最初、かつ最大の分岐点です。ここを苦しみながらも乗り越えれば、英語で他の生徒を引き離すことに成功し、高校受験において英語はかなりの得点源になります。もし、ここで壁にぶつかって挫折したり、そもそも逃げるようなことがあれば、中2、中3でもチンプンカンプンな状態が続き、ますます英語が嫌いになります。中2生、中3生で定期考査の点数が60点を下回るような子は、今現在の問題ではなく、中1のときの土台の不安定さが原因であることが考えられます。そういう子に中1のまとめ問題をやらせてみると、たいてい基本問題でも間違いを連発します。”I am go to school.”や”Our teacher teach English.”などの文を平気で書き、こちらが「それ、おかしいよね」と言っても、何がどうおかしいのか全く気づきません。

 

でもそれは子どもだけの責任ではありません。指導者の文法指導のやり方も一つの原因です。例えば、3単現のsの指導をするとき、練習問題でsがつくものだけを取り扱っていたのでは、しばらくすると生徒は「機械的に動詞にsを付けていれば丸がもらえる」と考え始めます。生徒からすれば、ただ単にsを付けていけばいいだけですから、こんなに楽な勉強はありません。ですから、実は3単現のsを学習しているときに、「3単現のsって難しいなー」と感じている生徒はそれほど多くはないのです。学校の授業も、塾の授業も、sを付けていれば何とかなるからです。たまに間違うかもしれませんが、丸がつく数が圧倒的に多いので、英語ができないという危機感を抱くことはあまりありません。ではいつ3単現のsの恐ろしさに気づくのか、それは進行形を学び、過去形を学び、助動詞を学び、不定詞を学び、動名詞を学び、現在完了を学び…と学年が進むにつれ気づいていくのです。「動詞にはsつけるんじゃないの?」「主語がHeなのになぜ?」とあいまいな知識だと通用しないことに気づくのです。大事なのは、3単現のsを学ぶ中1のこのタイミングで、sのつけ方、使い方、つける場合・つけない場合をきっちり叩き込むことです。3単現のsの指導で、それだけをやるのではなく、同時にbe動詞の文やsを付けない一般動詞の文も同じだけ演習させるのです。すると、be動詞を使うべきなのに一般動詞を使ったり、sをつけなくていいのにつけてしまったりというミスが露出します。それだけを扱っていたときには完璧だと思っていたのに、いざシャッフルしてみると穴だらけ。そんな経験をさせることが大切です。もちろんいっぱい正解させて自信を出させるということは重要ですが、それはその場しのぎの、一時的なものにすぎません。間違いやミスから原因を探り、改善し、克服していくことが堅固な自身へとつながるのです。現在の中1の授業はbe動詞と一般動詞の総合演習です。徹底的に日本語を英語に書き換えるという作業を繰り返しています。なんとも地味な作業です。それでも対応力が身につき、確実に正確に英文が書けるようになっています。

 

スタートが大事というのは英語に限った話ではありません。数学の基本計算や文字式、社会の国名とその位置の暗記、理科の植物のつくりや分類もかなり重要です。しかしながら、それ以上に英語の出遅れというのは、気づいたことには足かせとなっている、大変恐ろしいことであるということを子どもも大人も認識しておくのがよいでしょう。

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