2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

うさぎとかめ

青凜館の中2のAくんは「かめ」のように、ゆっくりゆっくり歩みを進めています。周りの大人が「じれったいな」と思うくらいにゆっくりゆっくり進みます。とりわけ英語が苦手なのですが、授業の中でも一度教えたことが次の回にはきれいさっぱりなくなっていることもよくあります。英単語テストに出た単語が、練習問題の中に出てきても、単語テストで覚えたことすらも忘れてしまいます。もちろん私からはその都度、「さっさと覚えなさい」「これを言うの何回目かい」「今やっている内容は中1だよ」などと言われ続けています。

 

思い起こせば春期講習で《私は公園に行きます。》という英文を書かせたとき、彼は当たり前のように《I’m go to park.》と書いていました。中1のときに英語をサボった子の典型的な文の書き方です。なんでbe動詞と一般動詞を並べるんだ、なんで《私は》と書かれていたら何でもかんでも《I’m》から始めるんだ、何で名詞をハダカにするんだ、という間違いの見本のような英文です。でもこれは中1から学習塾に通っているような子でも書くような英文です。「なんでこれじゃダメなの?」「意味は分かるじゃん」という謎の反論をし始める子だっています。英語ほど中1の勉強が中2・中3の成績を左右する科目はありません。be動詞と一般動詞の使い分けという基礎工事がなければ、これからどんな文法を学ぼうと一向に定着せず、最後には崩壊することとなります。もし中3の子が今の段階で《I’m go to park.》という英文に違和感を感じないのならば、「あり得ないくらいヤバい」という危機感を抱くべきです。さて話は戻りますが、《I’m go to park.》と平気で書いていた彼が、今現在どんな英文を書いているのか紹介します。これは昨日受けたテストの問題です。英文自体は初めて見るもので、完全な実力問題です。

 

①彼の父親は毎日、車を運転しますか。

②彼には3人の兄弟がいます。

③彼らのおじさんはオーストラリアを訪れました。

④あなたは普段何時に寝ますか。

⑤彼女の妹は毎月、何本の鉛筆を買いますか。

 

もし、中2・中3のお子様がいれば解かせてみてください。これをミスなく英語に直せたら大したもんです。これらを英語に直すときには注意すべきポイントがいくつもあります。代名詞を使えるか、3単現のsを使えるか、冠詞を付けられるか、複数形を使えるか、疑問文をつくれるか、疑問詞を使えるか、動詞の使い方を知っているか、時制を判断できるか、頻度の副詞を使えるか、単語を知っているか、熟語・連語の知識はあるかなど、あらゆることに注意を払う必要があるのです。ではいったい彼がどんな英文を書いていたのかご紹介します。

 

①Does his father drive a car every day?

②He has three brothers.

③Their uncle visited in Australia.

④What time do you usually go to bed?

⑤How many pencils does her sister buy every month?

 

間違いは③のみでした。visitは他動詞なのでinは不要です。私は「3問ぐらいはミスするだろうな」と思っていましたが、in以外は完璧な文を書いていました。「数か月前の春期講習でみっともない英文を書いていた人間とは思えないね」と言うと、彼は「あのときはバカみたいな英文書いてましたね」と笑っていました。彼はまだまだ英文をつくるのは遅いです。代名詞を書くときにいまだに《he,his,him,his》と書かなければなりません。気を抜いているときはすぐに3単現のsをつけ忘れます。単語を覚えている絶対量が不足しています。うさぎのように器用に、軽く飛ばしていくことはできません。それでも少しずつでも成長することができるのです。大事なのは決してズルをせず、雑にならず、手を抜かず、かめのように歩み続けることです。

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