2024年5月2日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

暗記を軽視するな

近年は、「思考力」という言葉が知れ渡り、どこの塾も「思考力を育むことが大事です」「当塾では、思考力の育成に力を入れます」といいます。いわば、「思考力」という文言がお客さんを集めるためのエサになっているのです(「思考力」という言葉ほど抽象的なものはありません)。では、選ぶ側の大人が「思考力」の正体を知っているのかといえば、決してそんなことはないでしょう。周りが「思考力が大事」というから、その流れに乗っていることが少なくありません。確かに、今日の入試は以前に比べて知識をそのまま答える問題は少なくなりました。知識同士を組み合わせたり、知識を問題に合わせて変形させたりしなければならないのです。そういう意味では、数年前までのようにただ知識を持っているだけでは通用しないのが現実です。しかし、多くの中学生は「思考力」を鍛えるだけの知識がありません。先に述べたように、入試というものはある程度の知識があるということを前提としています。持ち前の知識を入試本番でどのように活かすことができるのかが重要なのです。しかしながら、中学生には活かすだけの知識がありません。子どもたちの知識の無さを見て見ぬふりをして、あるいは子どもたちに知識がないということを知らずに、「思考力」を鍛えようとしたところで、その鍛錬は無駄に終わるでしょう。知識がない子は、答えを一方的に聞き、それを書くだけの存在になるからです。「思考」というのは、ある程度の知識があることを前提としているのですから、知識がなければ、受動的な態度になるのは仕方のないことです。

 

では何が重要か、それは知識を蓄えることです。平たく言うと知識の「暗記」です。最近はこちらが「知識を暗記しましょう」というと、けげんな顔をして、「この時代に暗記ですか?暗記って死後じゃないんですか?」と言わんばかりの反応をされることがあります。コンピュータの発達により、分からないことはすぐに検索することができるようになりました。日常生活においては、持っている知識が不足していても、コンピュータが手助けしてくれます。スマホに向かって「Hey,Siri」と言えば、スマホが優しく情報をあたえてくれます。しかし、定期考査や入試本番では、科学技術が手助けすることはありません。そこにあるのは自分のからだただ一つなのです。それならば、高得点をとるためには、自分のからだに情報を詰め込むしかないのです。それが「暗記」という作業なのです。成績が上がらない子は持っている知識の絶対量が足りません。そもそも暗記しようとしていないか、暗記してもすぐに忘れているかのいずれかでしょう。そもそも暗記しようとしていないのならば、今すぐ英単語の一つ、理科社会の重要語句の一つでも覚えましょう。暗記してすぐ忘れるのならば、忘れないように復習をしましょう。毎日見直して、毎日思い出す作業を繰り返しましょう。何もしなければ記憶は勝手に薄れていくのですから、そうならないように努力するのも勉強です。成績を上げたいのならば、「思考力」を伸ばすとか抽象的なことをいっていないで、目の前の知識を暗記することから始めるべきです。

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