2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

掃除が苦手な人

大学生や社会人になって独り暮らしを始めると、「母親がどれだけ身のまわりのことをやってくれていたのか」を痛感します。料理・掃除・洗濯、いわゆる「家事」というものの大変さとありがたさは、それをやってくれる人が身のまわりに当たり前に存在するときにはなかなか感じることはできません。しかし、ひとたび親元を離れて、自分で全てしなければならないという環境に置かれると、親への感謝を感じずにはいられないものです。一人暮らしを始めた大学生や社会人には大きく分けて二つのタイプがいます。それは「部屋がきれいな人」と「そうでない人」です。それぞれのタイプには共通する特徴があり、それは掃除に限った話ではなく、その人の性格・生き方そのものを象徴しているといっても過言ではありません。

 

例えば、きれい好きな人は、定期的な掃除機かけは勿論ですが、それを待たずに汚れを見るたびに掃除します。少しでもものをこぼせばその都度コロコロをかけますし、ティッシュで鼻をかめばその都度ゴミ箱に捨てます。「あとでやろう」とか、「まとめてやろう」などという考えはなく、毎日リセットして、整った状態をキープするのです。それに対して、掃除が不得意な人は、その場で行動するのを嫌がります。お菓子のかすをこぼしたら、明日掃除機をかけるから大丈夫だと思います。自分が使ったものをすぐにしまわず、あとで何かのついでに戻そうとします。コップ使ったら、あとで他の食器と一緒に洗う方がいいと思ってしまうので、気づいたときにはシンクが一杯になっているということも起こります。爪切りやハサミを使おうと思ったときに行方不明になってしまうのも、「使ったら戻す」ということ簡単なことをしないから起こることです。

 

つまり、部屋をきれいに保つことができる人に共通することは、「部屋が整っていない状態に抵抗感がある」「その場その場で行動できて、汚れをためない」だといえます。反対に掃除ができない人は、「部屋が汚れていても違和感を感じにくい」「後でまとめてやろうとする」と言えるでしょう。問題は、この性格が掃除だけに影響しているのではなく、その人の生き方全てに影響しているということです。そして中学生であれば、性格は学力に直に反映されるのです。

 

学校の夏休みの宿題を後半までためてしまう子がいますが、その子は典型的な「掃除できない」タイプです。同様に、壊れたシャーペンを使っている子や、ちぎれた消しゴムを使っている子も「掃除できない」タイプだといえるでしょう。壊れていても使えればいいじゃないかと思うかもしれませんが、書きにくいもの、消しにくいものを使う分だけ問題を解くスピードが落ちますし、余計なことに気を取られる分だけ話を聞くことに集中できません。また、消しゴムのかすがワークに挟まったままであったり、消しゴムで他の文字まで消してしまったことに気づかない子も同じタイプです。こういう気づきの感度の希薄な子は、先生が強調していることにも気づきませんし、問題文中のキーとなる部分もスルーしてしまいます。成績を上げようと思えば、極端な話、「きれい好き」になればいいのです。「常に知識を整理する」「頭が混乱しているという状況に抵抗感を抱く」「日々の知識不足を溜めない」「その場で解決しようとする」「細かなところまでアンテナを張る」ということを意識するべきです。

 

勉強ができなくなるのは「何か一つのことにつまづくこと」がきっかけとなります。その「つまづき」をとりもどせば理解は進むでしょうし、取り戻せずに知識の不足を溜めていくようであれば学力は下降の一途をたどるだけです。例えるならば、中学の勉強における「つまづき」とは、フローリングに落ちている小さなホコリのようなものです。それに気づいても「まぁいいや」と放置していれば、大きな塊となって現れます。いわゆるちりも積もれば山となるです。しかし、気づいたときに処理していれば掃除の手間が省けるように、小さな「つまづき」を看過せず、きちんと向き合うことで勉強の効率はぐっと高まるのです。汚れであれば年末の大掃除で一気にまとめて片付けたり、プロの業者に頼んだりすれば何とかできますが、知識の負債は、夏期講習やプロの力だけではどうにもなりません。必要なのは○○講習やプロの技ではなく、子ども自身が「勉強できる人間になりたい」と強く思い、他人以上に勉強時間を作り出すことです。努力しようとしない人間に、本気で協力してくれる大人などいません。勉強ができる子をこき下ろして、自分の不勉強を正当化する前に、やるべきことは山ほどあります。それにもかかわらず、勉強する覚悟がなく、ただ単に塾に通っているだけで満足しているようでは、単なる汚れ隠しの応急処置にしか過ぎないでしょう。

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