2024年7月27日
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2018福岡県公立高校入試分析③(数学編)

第3弾は数学です。特段、びっくりするような問題があるわけではありませんが、微妙に「面倒くささ」や「間違いやすいポイント」があります。ではざっと見ていきましょう。

 

【大問1:小問集合】

例のごとく、簡単な小問です。可もなく不可もなくですが、一つ不満があるとすれば、福岡県の確率問題は簡単すぎるということです。確率の大問を是非作ってください。大問1で21点分あり、ここで間違っているようでは公立高校合格は難しいでしょう。

 

【大問2:式による証明】

毎年、大問2は方程式の文章題だったのですが、今年は式の証明が大問3からお引越ししてきました。(1)は3の倍数に1足したものを選ぶという問題で確実に正解するべきところです。ただ、文字を使った値を苦手にしている子は多く、初めから「わけわかんない」で諦めた人もいるかもしれません。中1の内容は簡単だからと甘く見ていたら、中2・中3で痛い目にあうので、何事も基本を大事にしてください。(2)は証明ですが、数の置き換えも、計算・展開も難しくはありません。最後の「3{3n+3n+3}」にするところと、その後の「3n、3n+3はもとの2数である」という部分を書けるかが点数を分けるところです。多少、文章がぎこちなくなっていても問題ありません。中学生は模範解答通りでなければ満点にならないと思いがちですが、決してそうではなく、きちんと論理的に解答を作っているかが重要です。証明問題は学校の先生や塾の先生に採点してもらうようにしましょう。

 

【大問3:資料の整理】

資料の整理が大問となりました(先にも述べましたが、大問にするなら「確率」を大問化してほしいです)。問題文中の浩さんと花さんに見覚えがあるなと思ったら、2年前の入試にも似た人が出ていました。目や制服が若干違うので、別人かもしれませんね。

読んだ本の冊数というありきたりな設定ですが、A中学校とB中学校の母数が全く違うというのが最大のポイントです。母数が違うと単純な数字(実数)の比較ができないのは当然です(この点「絶対」「相対」などの概念も理解しておく必要があります)。(1)ではまさにそのことを聞いているのです。理科でも同じことが言え、物体が水に沈むかを調べるときに「50gは浮かび、100gになると沈む」などと、単純に重さだけで浮沈を判断する子がいるのですが、それは比較する部分を誤っており科学的な思考とは言えないでしょう。大小を判断するときには、もとになるものを用意して比較検討することが重要です。相対度数は、すべての値を足すと1になっているからこそ比較に用いることができるのです。(2)は単なる説明で、小学校の割り算と足し算ができれば解けます。説明の内容もシンプルに中央値の階級を示して、花さんの結論につなげればよいのです。結局表2の平均値も使いませんし、設定のわりに簡単だったなという印象でしょうか。

 

【大問4:関数】

水そう問題は抵抗感があるかもしれません。水そう問題に抵抗感を感じる理由を考えてみましたが、「水の量を水面の高さで表す点(そこからの高さではなく、上面からの距離で表すこともある)」「初めから水がある程度入っている点」「途中水を止める点」「ほかの水そうから水を移す点」「途中から2つの管を使う点」「途中から水を抜き出す点(水を大切にしましょう)」などが挙げられます。今回の問題も、水そうに初めから水が入っており、水量を高さで表し、2つの管を使い、他の水そうとの比較がありますので、グラフの切り替わるポイントを冷静に見極めながら進めていく必要があります。問題文を読んでグラフを見たらすぐにxとyの関係式を作るのがいいのではないでしょう(どっちみち後半の問題で使うので)。(1)はサービス問題です。(2)は5≦x≦9を読み取れば問題なく解けるでしょう。(3)は結論部分だけでなく、導く過程を示すという新傾向の問題でした。ただし求め方がこれまでと変わるわけではありませんので、上位校に合格する子は普通に書けたと思われます。高さが等しくなる時間を求めるためには、2つの直線の交点を求めればよいので、直線の式を求めるという基本通りの解法で十分です。2直線の式の連立方程式の後に、解の適・不適を判断するところは日ごろの注意力が問われるかもしれませんね。どちらにしても、準トップ校あたりでは合否を分けうるポイントであったでしょう。

 

【大問5:平面図形】

例年通り平面図形の問題です。福岡県は円しか出ないのでしょうか。(1)は合同な図形は対応する辺や角の大きさが等しいことを知っていますよね?というサービス問題です。(2)は相似の証明で、練習を積んできた受験生ならば確実に正解しておきたいところです。対頂角はすぐに分かりますが、もう一つの角について書けなかったかもしれません。残りのどちらの角でもよいのですが、模範解答通り小さいほうの角を書いたほうが楽でしょう。「円の半径を2辺に持つ三角形は二等辺三角形である」ということは当然気づかなければなりません。(3)四角形の面積を求める問題です。昨年も四角形の面積を求めるものでしたが、それよりもやや数字が面倒くさいです。福岡県に限らず、他の都道府県でも四角形の求積問題が増えています。三角形は簡単だから、四角形の出題になっているのでしょうか。福岡県の問題作成者には優しさがあるのか、去年も今年も平行四辺形で、相似を使って楽に求めることができます。トップ校受験者は是非クリアしてほしい問題ですね。

 

【大問6:空間図形】

いよいよ最大の山場です。図形はシンプルな正四面体、長さが8cmと偶数なので計算は楽そうですね。(1)は腰を抜かすほど簡単なので、次の問題が難しいことが何となく予感されます。(2)はHIの長さを求める問題でした。どこを文字に置き換えるか、△HAIと相似な図形のうちどれと比較するか、また結論のHIにどのように繋げるかなど図形分野の総合的な理解・思考が求められます。求め方はいろいろ考えられますので、試行錯誤してみるとよいでしょう。解ける・解けない関係なく、試行錯誤することで今まで見えなかった図形の形が浮かび上がり、図形を把握する力は上がっていくものです。

 

全体的に出題の変化はありましたが、それは決して手も足も出ないようなものではなく、日ごろの勉強の理解を問うようなものです。平均点は昨年とあまり変わらないのではないでしょうか。

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