2024年5月17日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

「やればできる」について考える

英語では「対話文で、最も強く発音する部分を選ぶ」という問題が出題されることがあります。たとえば以下のようなものです。

Bさんのセリフで最も強く読む単語はどれでしょうか。

A:When did you come back?

B:I came back yesterday.

もちろん“yesterday”が正解です。「いつ?」という質問に対しての回答がyesterdayだからです。問われた内容への回答にあたる部分を強調して読むのは基本ですね。

    

では次の対話中の、Bさんのセリフの傍線部で最も強く読む単語はどれでしょうか。

A:Is my bag on the table?

B:No. It is under the table.

この場合は“under”が正解です。Aさんの「テーブルの上」とBさんの「テーブルの下」が対比関係にあります。普通、underのような前置詞は強調されません。ちなみに前置詞や冠詞、人称代名詞(myやheなど)のような単語を機能語と言います。そしてこれらの機能語は、強調されず、重要な意味をもたないために、リエゾン(音の結合)やリダクション(音の消失)が起こりやすくなります。リスニングで「早口で言っててよく分からない」と感じる大きな原因は、リエゾンやリダクションという現象を知らない、あるいは意識していないことにあります。話は戻りますが、普通は弱く読まれるunderが、この文では最も強調して読まれます。underは、直前の“on”と対比関係にあるからです。前後で対比されている部分は、機能語であっても強調して読みます。強く読む部分を見つけるときには、「言いたいこと(聞かれたこと)は強く読む」だけでなく、「対比されている部分は強く読む」ということも知っておかなければなりません。

      

では、次のBさんのセリフで強調しているのはどこでしょうか。

A:これまで全然勉強してきませんでしたが、できるようになりますか?

B:やればできるよ

私もこのブログの中で幾度となく「中学校の勉強なんて、やれば誰だってできるようになる」と書いています。私の経験上、中学校までの勉強であれば、誰でも間違いなくできるようになります。しかし、現実には勉強ができない子がたくさんいます。その理由はたった一つです。勉強しないからです。「やればできる」という言葉は、裏を返せば「やらなければできない」を意味します。「やればできる」の「やれば」の部分をを無視して、「できる」の部分だけを受け入れるのです。ひどい場合には、保護者の方も「できる」の部分だけを切り取ってしまいます。少なくとも私の場合、「やればできる」で強調しているのは「やれば」の部分です。そして、学習塾の指導者の多くも、「指導した通りのやり方で、説明した通りの順番で、指示した通りの勉強をしてくれれば、勉強なんてできるようになる」と思っていることでしょう。「勉強のしかたが分からない」とか「〇〇が嫌いだから、やる気が出ない」なんて言い訳ばかり言っていると、学力だけではなく精神的にも成長しません。勉強ができないというのは勘違いです。誰でもできるようになります。ただし、勉強すれば、ですが。

      

      

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