入試問題分析第2弾は数学です。例年通り大問6つの構成です。では小問ごとに見ていきます。
●大問1
小問集合で、配点は昨年同様18点です。
(1)は正負の数の四則計算。
(2)は多項式の計算。
(3)はルートの計算、有理化。
(4)は1次方程式。
(5)は文字式の変形。
(6)は2年連続で反比例。
(7)も2年連続2乗に比例する関数のグラフ。
(8)は相対度数の比較。すぐにわり算をするのではなく、分数にして約分すればB中学校の計算は不要になり手間を省けます。
(9)は2年連続で標本調査。
昨年同様、基本的な問題が並びました。特段言うべきことはありません。
●大問2
文字式、2次方程式。連立方程式が来ると予想していましたが、2次方程式でした。2次方程式は連立方程式に比べて練習量が少ないのではないでしょうか。
(1)は文字式が何を表しているかを求める問題。易しい。
(2)は2次方程式の計算。とはいっても論述ではなく式と答えだけを求めればいいのでハードルはぐっと下がります。土地に道をつくるパターンは「道を端によせる」が鉄則です。おそらくほとんどの受験生がアを選択したことでしょう。因数分解も数字を発見しやすかったと思われます。普通。
●大問3
確率。コマを移動させる問題は全国的には珍しくありませんが、福岡県でこれが出てくるのは少し意外でした。今度の授業で中2生に解かせようと思います。
(1)はコマがDに止まるカードの取り出し方を答える問題。Dに止まるためには、2枚のカードの和が3か7である必要があることから答える。易しい。
(2)は、AのマスとCのマスでは、どちらの方がコマが止まりやすいかを、確立を使って説明する問題。面倒くさいのは、カードの数字が変わる点です。カードを同時に2枚取ることや同じ数字のカードが存在することなど、間違いをさそうポイントが点在しているので確実に樹形図を書き計算していかないと危険です。言葉での説明は練習してきたことでしょう。やや難しい。
●大問4
関数です。今年の関数は携帯電話の料金プランの問題です。身近なところから題材をもってきたというところでしょうか。今年も解答の過程を説明する問題が出てきましたが、やるべきことは例年とほぼ同じです。5点分確保できたでしょうか。
(1)はAプランで料金が3000円のときの通話時間を求める問題でした。3000という値は、xではなくyの値なので戸惑いがあったかもしれません。易しい。
(2)はBプランの電話料金を調べる問題。ア、イはグラフを見れば一発。ウは2点の座標から傾きを求めます。グラフの傾きが1分あたりの通話料です。易しい。
(3)は2直線の交点の座標を求める問題。この出題パターンは3年目なので、もう慣れたことでしょう。今年は別のパターンでくると思いましたが、素直にきましたね。昨年と全く手順で解いていけましたので、練習の成果をいかんなく発揮できたことでしょう。式や解の値が簡単だったため、ミスも少なく、得点率はかなり上がるのではないでしょうか。3年連続同じような問題が出てくると、来年はガラッと変えてくるような気がします。普通。
●大問5
みなさん、3月6日のブログを覚えていますか。「他の学習塾では作図の対策ってしてるのかな?」というブログです。この中で、これまで福岡県の入試で出題のない作図が出ることも考えられるということを書きました。そして今年の入試で、その作図をテーマにした平面図形が出題されました。問題を見た瞬間、震えましたよ!まあ、がっつり作図を扱っているわけではありませんが、少しでも作図を気にして勉強していた受験生は余裕をもって問題に挑めたかもしれませんね。ちなみに、どうでもいいことですが、問題に登場する香さんと孝さんは昨年の入試でも登場しました。留年したのでしょうか?
(1)は作図した図形の性質を選ぶ問題。点対称や線対称という言葉を理解していたでしょうか。易しい。
(2)は辺や角の関係を答える問題。特に言うことはありません。易しい。
(3)は三角形の相似証明です。平行線の錯角、角の二等分線、円周角という基本的な道具の組み合わせです。普通。
(4)は△ABCの面積をもとに、四角形BGFDの面積を求める問題。私は、△ABCと△FGCが相似だと気づき、△ABCと△FGCの相似比が3:1(これは直角三角形の辺の比1:2:√3を駆使して求める)ということから、面積比の9:1を求めました。これより△ABC:四角形BGFD=9:(4.5-1)=18:7にたどり着き、比例式の計算から答えを導きました。みなさんはどのように求めましたか?難しい。
●大問6
空間図形で、超基本的な直方体でした。空間図形が苦手な子はラッキーでした。
(1)は辺や面の位置関係のうち、正しいものをすべて選ぶ問題でした。落ち着いて一つひとつ判断していきましょう。易しい
(2)は体積の問題。これも相似な立体の体積では超基本的な問題です。指導する側からするととても簡単な計算ですが、中学生にとってはなかなか厄介な体積計算です。辺BF、辺AM、辺CNを延長してできる大きな三角すいの体積から、△MFNを底面とする小さな三角すいの体積をひいて求めます。やや難しい。
(3)は線分IJの長さを求める問題でした、IJのようなななめに伸びている線分の長さを求めるためには、IJを斜辺とする直角三角形を探すのがテッパンです。△IJHに着目することに気づけば、次に線分HJの長さを求めます。点Jから辺HGに垂線を下ろすと直角二等辺三角形ができ、HJ=2√2cmだと分かります。最後に△IJHで三平方を使えばIJ=√17と出てきます。難しい。
大問3の確率と大問5の平面図形がやや難化したでしょうか。一方大問4の関数は点数を稼ぎやすかったはずです。全体的には昨年と変わらない難易度であったように思います。平均点は32、33点と予想します。