2024年5月17日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

他の学習塾では作図の対策ってしてるのかな?

青凜館では、春期講習生を募集しております。

春期講習のページには、日程・内容・金額などの詳細を載せていますので、ぜひご覧ください。

春期講習 特設ページ

     


福岡県公立高校入試の数学において、これまでずっと手付かずになっているものがあります。それは「作図」です。少なくとも私が受験生だったときからすべての問題を解いていますが、一度として出題されていません。「入試では、定規もコンパスも持ち込み禁止だから、作図なんて出るわけない!!」と考える方もいるでしょう。しかし、実際に図を書かなくとも、作図に必要な考え方や手順を問うことは十分に可能なのです。全国の高校入試からいくつか問題を用意しました。


やはり定番は「円の中心を求める作図」です。平行ではない2本の弦の垂直二等分線の交点が円の中心になる、というものですね。中学1年生で、誰しもやったことがある作図です。ではいくつか問題を見てみましょう。

      

図のように、円周上に 4 点 A、B、C、D がある。円の中心を作図によって求めるとき、どの点が 円の中心となるか、次のア~エから 1 つ選んで、その符号を書きなさい。(2019年・兵庫県)

ア 弦ACの中点

イ 弦ACと弦BDの交点

ウ 弦BCの垂直二等分線と弦CDの垂直二等分線の交点

エ ∠ABCの二等分線と∠BCDの二等分線の交点

       

答えはウです。2本の弦の垂直二等分線の交点だと知っていれば、一発で選ぶことができます。同じような問題をもう1問見てみましょう。

     

ユキオさんは、円がかかれていた用紙の一部からこの円の中心を作図によって求めようと考えた。右図は、3 点A、B、Cをこの順に円の一部の周上にかき加えたものである。弧ACは半周より短く、弧ABは弧BCより長い。この後、次のア~オのうちの二つのものを作図すれば、円の中心を求めることができる。その二つのものを選び、記号を書きなさい。(2010年・大阪府)

ア ∠ABCの二等分線

イ 線分ABの垂直二等分線

ウ 線分ACの垂直二等分線

エ 線分ACの中点とBを通る直線

オ Cを通り直線BCに垂直な直線

       

答えはイとウです。2本の弦の垂直二等分線を引けばいいので、出題の趣旨は先ほどの問題と全く同じですね。では、次の問題はどうですか。

       

円の中心を求める方法を説明しなさい。(2017年・山形県)

      

非常にシンプルです。シンプルですが、シンプルがゆえに難しいですね。作図の方法を知っているか否か、そしてそれを言葉で説明するための表現力があるか否かがカギを握ります。「平行でない2つの弦の垂直二等分線の交点を求める。」と書けば正解ですが、果たしてどれだけの受験生が「平行でない」まで書けたのでしょうか。


「折り目の作図」も数問ありました。その中から1問見てみましょう。

      

下の図のような平行四辺形ABCDの紙がある。頂点Bが頂点Dに重なるように折ったときにできる折り目の線は、どのような線になるか、次のア~エから 1 つ選び、 記号で答えなさい。(2019年・宮崎県)

ア ∠BADの二等分線

イ 対角線AC

ウ 対角線BDの垂直二等分線

エ 2つの対角線AC、BDの交点をとおり、辺BCに垂直な直線

     

折り目は、折り曲げたときに重なった点を結んだ線分の垂直二等分線になるので。答えはウです。これも中学1年生のときには当たり前のようにやっていたはずです。


おまけでこんな問題もありました。所見は難しそうに感じますが、実はすごく単純な問題です。

     

下の図のように、画用紙上に3点A、B、Cがある。次の条件を満たす点Pを求めるには、どのように作図すればよいか、その作図の手順を説明しなさい。(2016年・和歌山)

条件 ①画用紙上にある。

   ②Aから10cm離れている。

   ③BとCから等しい距離にある。

      

条件が多くて面倒くさそうと思うかもしれませんが、やるべき作図は②と③のみです。Aを中心として半径10cmの円をかき、線分BCの垂直二等分線をかきます。「BとCから等しい距離」を読んで、「垂直二等分線をかけばいい」と考えられるかどうかがポイントです。


中1で初めて作図の勉強をするとき、作図に出てくる言葉は難しく感じたはずです。難しいと感じるからこそ、言葉の理解や手順の説明を抜きにして、方法だけを丸暗記してしまいます。定規とコンパスが用意されれば作図ができるのかもしれませんが、その作図を自分の言葉では説明できません。もし、福岡の入試で「円の中心を作図する方法を説明しなさい」と問われたら日には、正答率は10%を切るでしょう。「弦」「二等分線」なんて言葉を使う練習をしていませんし、そもそも「作図」なんて出ないと思っているからです。特に、一昨年の入試から「言葉で説明させる」タイプの問題が目立ちます。ここ数年の感じからすると、何がきかれてもおかしくはありません。毎年同じような問題が出ていた数年前の数学の入試問題と、今のそれとでは、受験生に試しているものが大きく違うのです。作図が出題されたときに、「作図が出るとは思わんかった~」というのは単なる準備不足・勉強不足ですよ!

    

          

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