中2クラスでは夏期講習から15回分の授業を一次関数に充てています。福岡県の入試を受けたことがあれば誰しも、この一次関数という単元の重要性は分かっていることでしょう。関数の大問だけで9点もの配点があります。図形の大問で満点を取るためには高い思考力・計算力が要求されるのに対し、関数で満点を取るのは決して難しくはありません。それどころか確実に得点源にできるところだといえるでしょう。図形の大問を解くためには中3の三平方の定理まで学習しなければならず、必然的に演習時間が限られます。それに引き換え関数では(まれに2乗に比例する関数が出題されますが)、大抵は一次関数の範囲までで解くことができるので、実力を熟成させる十分な時間があります。さまざまな設定の問題に挑みトライ・アンド・エラーを繰り返して、解法の引き出しを増やすことが可能なのです。
だからと言って、「これから時間をかけて一次関数を仕上げていこう。今はできなくても、まだまだ時間があるから大丈夫だろう」という楽観的な先送りの考え方ではいけません。一次関数は一次関数を学習する中2の今、実力を固めるべきです。それなのに「時間があるときにやろう」「部活が終わったらやろう」「受験勉強でできるようにしよう」と考えていては、いざ時間があってもやらないでしょうし、部活を引退してもやらないでしょうし、受験勉強でもやらないでしょう。先送り主義者はあらゆることを先送りしているので、いくら時間があっても途方もないやるべきことの多さに追い詰められます。そして最終的に「志望校を下げる」という決断を下します。そのときそのときにやるべきことをやり、身につけるべきことを身につけていれば行けたはずの高校を諦めることとなるのです。中2で一次関数を学習し終えたら、次に一次関数に本格的に取り組むのは中3後半の入試対策においてです。つまり約1年間のブランクが生まれてしまいます。中途半端に学習したものは後から思い出すことができないので、入試対策で再度1から学習しなければなりません。しかし、一度でも一通り学習し身につけたことは、たとえ忘れてしまったとしても思い出すことは容易となります。ブランク後の回復力に雲泥の差があるのです。「後回しにしない」というのは、塾生の耳にたこができるくらい言い続けていることです。再テストしかり、宿題しかり、単元の理解しかりです。やるべきタイミングを逃さない人は評価され信用されます。この人ならば大丈夫だろうという安心感・信頼感を生みます。対して、やるべきタイミングを逃す人への信頼は薄れます。「なぜ今ごろやっているの?」と呆れられます。私が子どもの後回し・先送りにうるさく言うのは、このまま大人になることに危機感を感じているためです。
9月に入り一次関数の利用に移りました。1回目には「点の移動」、2回目には「時間・距離の問題」、3回目には「水槽、その他」を扱い、基本パターンの流れを学習しました。残り2回は福岡県の公立入試レベルの問題に挑みます。どれぐらい乗り越えれて、どのくらい砕け散るか楽しみです。当塾にいるからには何としてでもできるようになってもらいます。そのためにできるまで取り組んでもらいます。
(9月後半からは図形分野に入ります。計算は少ないですが、図形なりの難しさがあります。順調にいけば12月いっぱいまでで図形分野を終える計画で進んでいますが、どうなることやら…。)