2024年5月19日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

ごちゃ混ぜ作文はダメです

中学生は、効果的な意見作文の書き方をあまり知りません。小学校の時は、自分の好きなことを、好きなように書けばよかったかもしれませんし、説得力を持たせる書き方を習っていないので仕方がないのかもしれません。しかし、もう中学生なのですから、「どうすれば自分の主張を、効果的に読み手に伝えることができるのか」について考えていくべきです。そのためのヒントを、2つの失敗例をあげながら紹介していきましょう。

 

作文が苦手な子は、1つの段落に「これでもか!!」と言わんばかりに、内容を詰め込もうとします。例えば、「人間関係をよくするために気をつけるべきことについて書きなさい。」という課題が与えられたとき、作文が苦手な子は、「笑顔で挨拶をすることが大切である。さらに、相手の話をきちんと聞くことも大切である。とりわけ初対面の人には敬語を使うべきだ。」というように、様々なものを詰め込んでいきます。もちろん、そのすべてが大切であることは否定しませんが、200字という制限がある中で「とにかく詰め込む」というのは、作文としては失敗です。子どもたちは、作文を書くときに「人間関係をよくするためには何に気をつけるべきか」を深く考えようとします。しかしながら、採点する側からすると、「何に気をつけるべきか」はそれほど重視していません。ほとんどの生徒が、挨拶、話を聞く、敬語など、似たり寄ったりのことを挙げるからです。重要なのは、「何に気をつけるべきか」ではなく、「なぜ気をつけるべきか」を充実させることです。挨拶をすることと、人間関係がよくなることにどのような因果関係があるのかを書かなければ、「挨拶をする」という解決策には何の説得力もありません。子どもから「お母さん、お金ちょうだい」と言われて、「はい、分かりましたよ」と無抵抗でお金を渡す親はいないでしょう。お金が欲しいならば、子どもは「お母さん、〇〇買うから、お金ちょうだい」と言うでしょうし、親も「何に使うの?」と問い詰めます。理由や根拠のない主張ほど無機質なものはありません。「笑顔で挨拶をすることが大切である。さらに、相手の話をきちんと聞くことも大切である。とりわけ初対面の人には敬語を使うべきだ。」という作文は、「お母さん、お金ちょうだい。ママ、お金ちょうだい。おふくろ、お金ちょうだい。」というようなものです。「主張→なぜなら→だから」という流れを1セットとして段落を構成していくと、説得力のある作文に近づいていきます。

 

もう一つ基本的なことととして、自分の立場を維持することが必要です。そもそも高校入試の作文は、たった200字程度でまとめなければなりません。しかも、段落を2つに分けなければなりませんので、かなり限られたことしか書けないはずです。にもかかわらず、異なる主張を混ぜ合わせて書く子がいます。例えば、「他県から来た人を迎えるセレモニーでは、標準語を使うべきですか、それとも方言を使うべきですか。」というテーマが与えられたとします。このときまれに、「みんなに話を理解してもらうためには、標準語を使うべきである。しかし、方言を使うと、自分たちの県に興味を持ってもらえると思う。」と書いてしまう子もいます。2つの主張が与えられたとき、その2つの主張は「混ぜるな!危険!!」だと考えるべきです。一方の主張を選んだら、他方の主張がすぐに捨てましょう。「こっちも好き、あっちも好き」という二股状態は最も嫌われます。選んだ主張について、「こんないいところがある」と肯定し、選んでいない方には、「こんなデメリットがある」と否定することにより、自分の立場を明確にすることができます。届いたお歳暮を開けて、洗剤セットなのにハムが入っていたら、きっと頭の中には「???????」が浮かぶでしょう。洗剤の中にハムが混ざっているのが謎であるように、Aの主張を推したいのに、「Bの主張もいいよね」と言ってしまうと、読み手は困惑するものです。200字程度しかない作文では、徹底的に自分の意見を持ち上げ、他の意見を落として書くのが基本なのです。

 

大人からすると、入試で出題されたテーマを200字でまとめるほうが難しいと思うのですが、中学生からすると200字も書く方が難しいと感じるようです。しかし、内容を充実させていけば、つまり、段落の中に、主張、理由、換言、まとめを入れていけば、簡単に100字は超えます。それを2段落用意すれば、200字なんて簡単です。決して文字数が足りないからと言って、自分の意見と対立する意見を持ち上げたり、自分の意見に関係のない文を付け足したりしてはいけません。その時点で読み手の期待値は急落します。まずは首尾一貫した作文を目指しましょう。

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