残念ながらサッカーのワールドカップで日本代表は敗退してしまいました。惜敗と言われていますが、負けは負けです。受験でいい点数を取ったとしても、不合格になれば、負けを認めなければならないのと同じです。サッカーと言えば「キャプテン翼」というマンガが有名です。そのマンガの中に「ボールは友達」というセリフが出てきます。そしてこの「ボールは友達」を中学生の勉強に当てはめると、「文字は友達」となります。数学において「文字」は友達です。決して憎むべき相手ではありません。数学を得意にしたければ、あるいは最低でも平均点まで高めたければ「文字」と仲良くなりましょう。
中1・中3では文字式・方程式を扱っていますが、いかんせん文字を扱えていません。中学生の段階で文字の扱いに不慣れなのは致命的です。受験でも致命的ですが、高校数学においても致命的です。致命的だからといって黙って放置するつもりはさらさらありませんので、生徒には必ず回復してもらいます。
例えば、「130円のノートを3冊買うといくらになりますか」という問題に対して、「390円」という答えを導けない子はまずいません。「どうやって求めたの」と聞くと、当たり前のように「130×3=390」と答えます。次に、「130円のノートをa冊買うといくらになりますか」と聞くと、完全に思考が停止します。「130+a 円」という答えを平気で言う子すらいます。文字式や方程式において、文字を数字と同じように扱うということは基本中の基本です。そしてその基本中の基本を習得することは、中1の夏休みまでの勉強における最大の課題です。数学ができない大きな理由は、中1の文字式でサボったか、適当に勉強したか、学校でまともな指導を受けなかったかのいずれかです。
中3の2次方程式でも同じです。例えば「縦が4cm、横が5cmの長方形の面積を求めなさい」という問題において、「20㎠」という答えを導けない中学生はいません。しかしそれが文字になると別です。「縦がa(cm)、横がa+3(cm)の長方形の面積が40㎠のとき、この長方形の縦の長さを求めなさい」というような問題です。数字だけのときは「縦の長さ×横の長さ=長方形の面積」と計算できたのに、文字が入ってくると小学校で勉強した基本計算がどこかに飛んでいきます。文字の影響は大きいのですね。
そうは言っても4月から塾に通っている生徒は、基本的な文字の計算は簡単にこなします。しかしながら、彼らが初めから文字式の計算をスラスラできていたのではありません。あきれるくらいのとんでもない式をつくっていたのは事実です。そんな式をつくるたびに私から「なんでそんな式をつくったか説明しなさい」「どういう発想でそんな奇抜な式になるのかな」「分からないならば具体的な数字で考えなさい」とさんざん言われて、今はまともな式を立てられるようになっています(ただし、「割合」の計算になると謎の式をつくりますし、式を立てるスピードもまだまだです)。もし数学ができるようになりたいのならば、一つひとつの問題を深く考えなさい。できるまで取り組みなさい。いろいろな問題にぶつかって、たくさん間違って、そのたびに回復すればいいのです。できないから、分からないからあっさり諦めてしまうのは、間違いを犯すことよりも大いに恥じるべき行為です。