何か行動に移そうとするとき、「キリ良く10時から始めよう」とか「4月からは頑張る」などと、スタートラインを設定しようとする人がいます。そのスタートラインの設定に特別な意味があるのかというとそんなことはなく、ただ単に「キリが良いから」という理由のみです。もし特別な意味がないのであれば、早く始めたほうが有利になるのは明らかです。そんなことは分っているのでしょうが、すぐに行動に移せる人はなかなか多くはありません。
それが中学生であればなおさらだといえます。特に多く見られるスタートラインの設定としては、「3年になったら頑張る」「定期考査1週間前になったら頑張る」「夏休みから頑張る」というものです。そして今日現在、夏休みが始まるまで約1ヶ月です。もしかして本当に「夏休みから頑張る」などと考えていますか。逆に「夏休みまで頑張らない」その理由は何でしょうか。夏休みまでの1か月間、しっかり頑張って勉強することのメリットを書いてみましょう。
まず一つ目は、単純に1ヶ月分の知識が身につくということです。1ヶ月では大して伸びないだろうと思われるかもしれませんが、青凜館生はたった2週間の中間考査の学習会で一人平均47点も点数を上げてきました。2週間でこれだけ伸びるのですから、1か月間正しいやり方で勉強すれば、かなりの実力upが期待できます。この1か月間部活にだけ精を出すか、勉強もこつこつ実施するのかは、合否や志望校選択に大きな影響を及ぼし得るのです。受験直前は、やるべきことに追われ、喉から手が出るほど「時間」がほしくなります。その貴重な「時間」、それも1ヶ月という大きな時間をみすみす捨てる理由などどこにもないのです。
二つ目の理由としては、「夏から頑張る」と気合を入れると、夏が終わったときにやる気がしぼんでしまいます。「夏から頑張る」という言葉の裏には、「とりあえずこの夏期講習は頑張ろう」という意味が込められています。つまり約1か月間の夏期講習は勢いで乗り越えられても、9月になった瞬間、そのやる気は急速にしぼんでいくのです。これまで運動してこなかった人がいきなり準備運動なしで本気のジョギングを始めたらどうなるでしょうか。きっと開始から数十メートル、あるいは数百メートルで筋肉を傷めてしまうでしょう。すると、もうジョギングなんてやめようと思うのではないでしょうか。勉強も同じで、気合を入れていきなり夏期講習に入ると体がついていけませんし、前段階の内容が欠けていると知識に歪みが生まれてしまいます。夏期講習だけは何とか乗り越えられたとしても、9月以降は夏期講習前ほどのモチベーションがないため、一気に気合が向けてしまうのです。ですから「夏期講習から」と限定せずに、その前から徐々に助走をしておいて、勉強の流れをつくったうえで「夏期講習」に突入するのが理想的な形です。青凜館の授業でも、この1ヶ月は夏期講習までの流れをつくることを意識した授業構成にしています。今やっていることが夏期講習につながるように指導をしています。巷では「勝負の夏!」と言われ、あたかもこの夏期講習だけで受験が決まってしまうような印象がありますが、それは違います。正確には夏期講習「も」大事だということです。夏期講習も合否を左右する一つの要素ではあるのですが、要素はそれだけではないのです。夏期講習は40日程度ですが、その前後には約7か月の普通の学校生活があります。であればその7か月の日常でどれだけ頑張るかの方がよっぽど重要です。誰だって夏期講習は勉強するんです。それなのに「夏期講習頑張る」とか「夏期講習頑張った」などといってもらっては困ります。そもそも決して安くはない授業料を払ってもらっているわけなので、頑張るのは当然です。もし本当に頑張る気があるのならば、多くの中学生がだらけてしまう「夏期講習前」や「夏期講習後」にこそ、地道に勉強するべきです。
さて、ここまでは、夏期講習から勉強を始める理由なんてどこにもないんだ、ということについて書いてきました。じゃあ具体的にこの1ヶ月の間、いったい何をしたらいいのか、あるいは青凜館の夏期講習を受けるにあたってどういうものが身についていたほうがいいのか、と疑問に思われるのではないでしょうか。勉強もむやみやたらにやっていたのでは、効果は薄れますし、無駄になることも少なくありません。次回のブログでは、夏期講習まで1ヶ月を切った今のこのタイミングで何をやるべきなのかを書いてみようと思います。