中間考査対策が終わり、昨日より通常授業にもどりました。昨日はいつもと内容を変え、中間考査の勉強をしっかりすることが、受験においてどれだけ有利になるのかを説明しました。そのために、中2の授業では取り扱わない「理科」の入試問題を2題解きました。解いてもらったのは、今年の入試問題(酸化銀の熱分解)と一昨年の入試問題(銅と酸素の化合)です。福岡県の入試問題を受験直前まで頑なに解かないという人がいるのですが、直前までとっておく必要は全くありません。さっさと「入試レベル」に直面して、自分の実力を知るべきです。そもそもここ2、3年で出題された問題が次の入試で出ることはありませんので、塾では何もケチることなく過去問を解いていきます。
さて話はもどります。「これ、今年の入試問題だからね」とプリントを渡すと、案の定「入試問題?わー難しそう」というリアクションをします。「じゃあ5分で解いてね」と声をかけると、そそくさとシャーペンを動かし始めました。きっと生徒は拍子抜けしたと思われます。なぜなら「難しそう」と思っていた入試問題があまりにも簡単だったからです。解き終わって生徒が言ったことは、「入試って思ったより簡単ですね」です。答え合わせをしますが、もちろん満点です。昨日問題だけで60点のうちの8点分もあります。「この調子でいくと福岡高校合格だね」と冗談で言うと、まんざらでもない顔をしています。
入試問題が簡単だと思えた理由は二つです。一つは単純に入試問題自体が簡単であること。もう一つは生徒自身が入試問題を解くための知識を身につけているということ。そしてその知識を身につけたのはほかでもなく、今回の中間考査対策なのです。対策期間の初めのほうは、「理科が苦手」という理由で勉強することを避けているのは明らかでした。楽なもの、簡単なものから手をつけて、本来であれば先に手をつけなければならない時間がかかるものを後回しにしようとしていました。中盤以降、自分でやらなければならないと思ったのか、それとも私がグチグチ言うからなのか、理科に取り組む時間が大幅に増えました。そして勉強するたびに、知識が身についているのは、間違いの減り方を見ればすぐに理解できました。「理科、楽しくなってきたやろ?」と聞くと、「分かるようになったので、楽しくなりました」と返してきました。私は極端なことを言うと、授業に楽しさなど必要ないと思っています。勉強の楽しさとは、「勉強ができる」と思えたときに最大限に味わえるものだからです。「楽しい授業を提供します」ということは一種の麻薬のようなものであって、そのときだけは快楽が味わえても、薬の効果が切れるとやる気がなくなります。授業だけが楽しくて、そのときだけ勉強が楽しいと思えたとしても、塾の授業がないときに勉強ができなければ成績が伸びません。勉強をできるようにするためには、多少苦しくても我慢して勉強を続けることです。毎日続けていれば、少しずつですができるようになります。事実、この生徒も初めに解いたワークは間違いだらけでしたが、そこからバツが減っていきました。自分の解いた問題に〇をつけるという作業ほど楽しく、気持ちが満たされることはありません。一度楽しさを知ってしまったら、またその楽しさを味わいたいと思うのが普通です。そして一度高得点を取ってしまったら、そこから点数を下げたくないと思うのも当然です。
定期考査の勉強は、もちろん定期考査でいい点を取るための勉強でもありますが、そこで終わってしまってはいけません。試験直前で詰め込んだところで、テストが終わったらすっかり忘れてしまうのは目に見えています。どうせ受験では必要になるのですから、受験勉強も兼ねてしまえばいいのです。学校のワークだけやって終わりではなくて、他の問題集にもチャレンジし、様々なタイプの出題に慣れておけば、定期考査のためにも、受験のためにもなります。入試で勝つためには、まずは定期考査の戦い方を変えていくべきなのです。