2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

小学生でも解ける高校入試問題2

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昨日の「小学生でも解ける高校入試問題」の第2弾です。需要があるかどうかはさておいて、今回も面白い問題かつ小学生でも解くことができる高校入試問題を用意しました。今回のテーマは、「中学生諸君、数学で文字を使うことに慣れすぎて、小学校のときの純粋な気持ちを忘れていないかい?」です。中学生の中には、小学校のときには当たり前にできていたことができない子がかなりいます。たとえば、公約数や公倍数を忘れていたり、分数をわり算に変換できなかったりします(変化の割合を求めるときに、xの増加量が分数であるときに計算が頓挫してしまうのはよくあります)。中学校に入ると小学校に比べ文字を使って問題解決していくケースが多くなるため、分からない数値を出したいときにはすぐに文字に置きかえてしまうようになります。事象を把握し、理解していれば文字を使う必要がないときにも文字を使うことで、面倒な計算が増えることだってあるのです。1次関数の式の切片を求めるときに、グラフの様子を見れば明らかであるにも関わらず、律儀に切片の値をbと置き、xとyに通る点の値を代入して求めるのはその一例です。そこで今回は、「文字を使って考えようと思えばそれもできるが、数の特徴をもとに考えていけばもっと簡単に正解にたどり着くことができる」問題をピックアップしました。文字式や方程式といった武器がほとんど使えなかった小学生のときの純粋な気持ちで解いてみてください。5年生以上のお子様は是非チャレンジしてみてください。親御さんもいっしょに解いてみてください。印刷したい場合はこちらからどうぞ。


問題

 さくらさんのお兄さんから自宅に着払いの郵便で箱が1個送られてきます。さくらさんは、自宅に50円切手と80円切手が何枚かあったので、支払い方法を調べたところ、切手で送料を支払えることがわかりました。その2種類の切手をどのように組み合わせれば支払えるかを次の【条件】にしたがって、考えることにしました。

【条件】

①  送料は切手だけで支払う。
②  切手で支払うとき、おつりはでないので、切手の合計金額は送料と同じ金額にする。
③  切手の合計枚数をできるだけ少なくする。

       

このとき、次の問1、問2に答えなさい。

問1 送料が900円のとき、2種類の切手はそれぞれ何枚あればよいですか。その枚数を求めなさい。

問2 次の表は、さくらさんが箱の送料を調べまとめたものです。

  (注) 箱の大きさは,縦,横,高さの合計です。

 表の、どの大きさの箱が送られてきても上の【条件】で送料を支払うためには、2種類の切手は最低でもそれぞれ何枚あればよいですか。その枚数を求めなさい。


いかがでしょうか?

昨日の問題より面倒くささを感じるかもしれませんね。

入試問題を解くとき、最少の手数でスマートに解けるのであればそうすべきです。しかし、一発本番の入試で、かつ何が出題されるかもわからない状態であるがゆえに、模範解答通りの解法が思いつかないこともあるでしょう。だからといって問題を解くことは決してあきらめたくないはずです。そんなときは、泥臭く面倒なやり方でもいいので必死にあがいてみることです。少なくとも、「分からないから」、「解法が思いつかないから」と指をくわえて眺めているだけよりもよっぽどマシです。この問題の場合も、どうしてもうまいやり方が思いつかないのであれば、「900円を支払うとき、80円切手を1枚使うと残りが820円になる。でも、820円を50円切手でぴったり支払うことはできない。80円切手を2枚使うと残りが740円になる。でもこれも50円切手で支払うことができない。80円切手が3枚だったら……」と一つひとつ吟味していく泥臭さも必要でしょう。


解答

 問題の設定を確認しましょう。この問題では、50円切手と80円切手のみを使って、送料をピッタリで支払わなければなりません。つまり、50の倍数と80の倍数をたして送料となるようにすることが求められています。

 さらに、「切手の合計枚数をできるだけ少なくする」という条件から、80円切手の枚数をできるだけ多くして、50円切手の枚数をできるだけ少なくすることも考えなければなりません(ちなみに、900、1130、1340、1560はいずれも80の倍数ではないので、うまく80円切手と50円切手を組み合わせなければなりません)。

 そして、1番のミソは、50という数字です。50の倍数は、下2けたが「50」または「00」にしかなり得ません。裏を返せば、送料から80の倍数を引いたときの残りの下2けたが「50」または「00」となれば、ピッタリ支払うことができるのです。

       

問1 900円をピッタリ支払う場合を考えます。

 900から80の倍数を引いて、残りの下2けたを「50」または「00」にしなければなりません。できるだけ80円切手を多く使いたいので、900を80でわります。

  900÷80=11あまり20

 80円切手を11枚使って、880円支払えますが、残りの20円を50円切手で支払うことはできません。

 そこで80円切手の枚数を1枚減らし、80円切手を10枚にすると、800円支払うことができ、なおかつ残りの100円は50円切手2枚でピッタリ支払うことができます。

 したがって、50円切手が2枚、80円切手が10枚が正解です。

     

問2 1130、1340、1560についても同じように考えていきます。

 とはいっても一つひとつ吟味していくのは時間がかかります。しかし、数の特徴に気づくことができればあっという間です。

 先に書いたように、送料から80の倍数を引いて、その残りの下2けたが「50」または「00」になればあまりなくピッタリ支払うことができます。であれば、今回はそれを逆手にとって、残りを「50」または「00」にするためにどんな数を引けばいいのかを考えます。1130の場合、80の倍数を引いて「00」をつくりだすことはできません。「3」という奇数から偶数を引けば、その差は必ず奇数になり、偶数の「0」にはならないからです。。

 1130からひき算をしたとき、差の下2けたを「50」にするためには、ひく値の下2けたが「80」でなければなりません(30と80の差が50だから)。1130-80=1050、1130-180=950、1130-280=850という具合に、1130から下2けたが「80」である数を引けば、残りは必ず50の倍数になります。80の倍数で下2けたが「80」になるのは、80×1=80、80×6=480、80×11=880、80×16=1280…です(積の下2けたを「80」にするためには、かける数を5ずつ大きくしていけばよい)。80円切手を16枚使うと1280円になり送料を越えるので、11枚使って880円分を支払います。そして残りの250円分は50円切手5枚で支払います。

*1130円の場合、50円切手が5枚、80円切手が11枚

      

同様に1340円であれば、80の倍数を引いたときの残りの下2けたを「50」にすることはできないので、「00」にすることを考えます。そのためには下2けたが「40」である80の倍数を引かなければなりません。80の倍数で下2けたが「40」になるのは、80×3=240、80×8=640、80×13=1040、80×18=1440…。この結果、80円切手を13枚使って1040円分支払い、残りの300円を50円切手6枚で支払えばよいことがわかります。

*1340円の場合、50円切手が6枚、80円切手が13枚

     

1560円の場合、1560から下2けたが「60」である80の倍数を引いて、残りの下2けたを「00」にすることを考えます。80×2=160、80×7=560、80×960、80×17=1360、80×22=1760…。この結果、80円切手を17枚使って1360円分支払い、残りの200円を50円切手4枚で支払えばよいことがわかります。

*1560円の場合、50円切手が4枚、80円切手が17枚

       

まとめると、次の通りです。

*900円の場合、50円切手が2枚、80円切手が10枚

*1130円の場合、50円切手が5枚、80円切手が11枚

*1340円の場合、50円切手が6枚、80円切手が13枚

*1560円の場合、50円切手が4枚、80円切手が17枚

以上より、どの大きさの箱が送られてきてもピッタリ送料を支払うためには、最低でも50円切手が6枚、80円切手が17枚必要だと分かります。

      

この問題は最悪の場合、一つひとつ計算していけば解答にたどり着くことができます。しかしながら、数の特徴に気づくことができれば、検証する回数が少なくて済みます。わざわざ50円切手の枚数と80円切手の枚数をそれぞれx、yと置かなくてもいいのです。それどころか、文字に置くことでただでさえ面倒な計算がもっと面倒になってしまいます。生徒たちにこういう問題を解かせると、とりあえず計算してみる生徒と、何をしていいかわからずフリーズする生徒とにはっきり分かれます。さあ、あなたは(あなたのお子様は)「80円切手が1枚のときだったら…」ととりあえず計算を始めるでしょうか、それとも早々に投げ出すでしょうか。動き出しの早さとチャレンジ精神がある子は、きっちり鍛えていけば着実に伸びていきますよ!

      

      

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