2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

小学生でも解ける高校入試問題

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入試問題を解くために必要な力は何でしょうか。単語や年代を覚える暗記力でしょうか?それとも正確で素早い計算力でしょうか?はたまた論理的に説明する文章力でしょうか? もちろんこれらの力がすべて必要なのは言うまでもないので、今回はここには言及しません。このブログで書くのは、これらの力を下支えしながらも、当たり前すぎて忘れられがちになっている力です。その力とは、「正しく読む力」です。書かれている文章や問題文を、書かれている通りの意味で理解する力と言い換えてもよいでしょう。学力がそれほど高くなく、入試問題演習でろくに点数が取れていない原因は、そもそも問題文をきちんと読んでいないところにあることが少なくありません。2019年の福岡県の数学で「数あてゲーム」が出題されたのが話題になりました。問題は中学1年生でも解ける簡単なものでしたが、そもそも読むことを面倒くさがり、はなから「これは難しい」と決めつけてしまった子もいるはずです。入試改革の中、数学の入試に大きな変化が起きています。それは、数学の文章量(読解量)が大きく増えていることです。福岡県の高校入試でも、10年前と今年の数学の入試問題では、読解量がまるで違います。計算ができる、正しく説明ができるということ以前に、書かれていることを読むという作業で、受験生がふるいにかけられているのです。

      

「書かれていることを読み取り、どんな作業をすればいいのかを理解する」ということを体感していただくために、小学生5年生以上であれば解くことができるある高校入試問題を紹介します。中学生だけでなく、小学生のお子様もチャレンジしてみてください。(ちなみに、2014年の京都府の高校入試問題です。印刷したい場合はこちらから。なお、小学生でも解けるように、文字を省くなど一部問題文や設定を変えています。)

     

問題

 1から8までの数が1枚に1つずつ書かれた8枚のカードがあり、下から小さい数の順に積み重ねられている。下から1,2,3,4,5,6,7,8と8枚のカードが積み重ねられた状態を「もとの状態」とする。 積み重ねられた8枚のカードについて、次の<操作>を行う。

      

<操作>

手順① 積み重ねられた8枚のカードを、その上下の順を変えずに上側4枚と下側4枚に分ける。

手順② 上側4枚の一番下のカードが、8枚のカードの一番下となるように、上側4枚のカードと下側4枚のカードを、それぞれの下から順に1枚ずつ交互に積み重ねる。

 次の(例)は、「もとの状態」の8枚のカードについて、<操作>を1回行った時の様子を示したものである。

このとき,次の問い問1~問3に答えよ。

問1 「もとの状態」の8枚のカードについて、<操作>を2回続けて行った結果、1の数が書かれているカードと2の数が書かれているカードは、それぞれ下から何番目となるか求めよ。

問2 「もとの状態」の8枚のカードについて、<操作>を10回続けて行う。<操作>を10回続けて行った結果、1の数が書かれているカードが下から8番目となるのは何回目か、次の(ア)~(コ)からすべて選べ。

(ア) 1回目 (イ) 2回目 (ウ) 3回目 (エ) 4回目 (オ) 5回目

(カ) 6回目 (キ) 7回目 (ク) 8回目 (ケ) 9回目 (コ) 10回目

問3 「もとの状態」の8枚のカードについて、<操作>を2020回続けて行った結果、積み重ねられた8枚のカードに書かれている数を下から順に答えよ。

       

さあ、いかがですか?

操作の手順は理解でき、正しく重ねることができましたか?

問題で問われていることがわかりましたか?

ここからは解答です。

     

解答

規則性の問題は、規則性が見えるまで書き出していくのがポイントです。

8枚のカードの並びを実際に書き出していくと、以下のようになります。

もとの状態から6回操作を行うと、もとの状態になることがわかります。

つまり、操作回数が「6の倍数回」であれば、もとの状態になるのです。

「何か規則性があるはずだ」と思って6回目までやってみるのがベストですが、「分からないけどとりあえずやってみよう」と思って手を動かして書き上げていけばいつかは規則性が分かります。「面倒だから何もしない」「分かんないから考えない」「こんなの習っていない」と簡単に諦めるのはもってのほかなのです。

      

問1 上記の表の2回目より

    1のカード…下から4番目

    2のカード…下から8番目

問2 1のカードが下から8番目になるのは、もとの状態から3回操作したときなので、3回目と9回目です。したがって、正解は(ウ)と(ケ)

問3 当然、2020回操作するわけありません。2020という数字とカードの並びの規則性から考えていきます。

 6回の操作ごとにもとの状態に戻ることから、2020を6でわると、

  2020÷6=336 あまり 4

 これにより、2020回操作するということは、1回目から6回目までの作業を336回繰り返して「もとの状態」になったところから、さらに4回操作を行うことだと分かります。つまり、2020回操作したときの並びは,もとの状態から4回操作したときの並び方と同じであることがわかるのです。

 したがって、操作を2020回続けて行ったときのカードの並びは,下から「4→8→3→7→2→6→1→5」となります。

       

全問正解できましたか?方程式も関数も何も使わずに解くことができます。受験生がこの問題を難しいと言っているようであれば、それは問題を読んでいないことを堂々とアピールしているようなものです。まずは最後まで読む、それから手を動かす。「効率よく成績を上げたい」という前に、もっと当たり前のことから始めましょう。

      

     

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