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国語の文章を素早く、正しく読むときに必要なものが4つあります。1つ目は語彙力、2つ目は指示語の内容を把握すること、3つ目は接続詞の役割を理解すること、そして4つ目は典型的な文章の流れや妥結地点を知っていることです。
1つ目の語彙力は言わずもがなです。目の前の文章の中に自分の知らない言葉や意味を勘違いしている言葉が出てくると、そこで一旦読みが止まってしまいますので、言葉の知識を増やしていくことが欠かせません。「相対」「社会的」「普遍」など、聞いたことはあっても文章の中でどのような意味として使われているか知っていないと、筆者の立ち位置や対比構造を的確に見分けることができません。語彙力は日々の読解を通して、文章内でどのように使われているのかを知ることで、解答に役立つ語彙力、使える語彙力になります。
2つ目の「指示語」もよく言われるものですので、その重要性には気づいているでしょう。初めは、「それ」や「これ」など、簡単な指示内容を意識することが重要ですが、ある程度慣れていくと、「このような〇〇」、「そのような〇〇」という、それまでのものごとをまとめる表現にも着目する必要が出てきます。そのような表現に着目せず、スルーしてしまっても問題は解けるのですが、そこに気づくことで、筆者の主張や文章の展開を追いやすくなります。
3つ目の「接続詞」が重要であることも多くの中学生は知っています。しかし、その役割(接続詞の前後関係)を理解しているかというと、接続詞を理解して、接続詞を活用しながら読んでいる子どもたちはそれほど多くありません。いや、ほとんどいないと言っても過言ではありません。接続詞を意識すると、筆者がどこに重点をおいているのか、段落相互の関係、文章の展開などが手に取るようにわかります。そしてこれらは問題にそのまま出題されるものばかりです。接続詞の役割を知るだけで解ける問題が数多くあるということです。毎年、47都道府県+αの入試問題を解いていますが、接続詞の知識をそのまま問う問題やあるいは接続詞の知識を生かして解く問題が出ないことなどほとんどありません。入試問題には論理性が破綻した文章は出ないので、本文中に「しかし」とあれば、その前後には対立する内容がくることになります。それぞれの接続詞にはそれぞれ与えられた役割があるからこそ、答えを1つに絞り込むことができるのです。そしてそれは、主観性を排除し、客観的な判断力を問うという国語入試の意図にピッタリなのです。
4つ目の典型的な文章の流れや妥結地点を知っているというのは、少し分かりにくいかもしれません。たとえば、ドラえもんの映画を子どもと観に行ったとします。映画版のドラえもんでは、必ず誰かが生命の危機にされされます。時にはのび太が雪山で遭難したり、時には海賊に襲われたり…。子どもたちは「のび太君たち大丈夫かな?」「死んじゃうのかな?」と大きな不安を抱き、そして敵を倒すと大きな喜びを感じます。一方大人は「最終的にはみんな助かる」ということを知っていますので、冷静にストーリーを追っていけます(それはそれで少し悲しい気もしますが…)。つまり、最終的な妥結地点を知っていることで、正確に現在の状況を判断し、たとえ途中を飛ばしたとしても、容易に内容を把握することができるのです。これを国語の読解に置き換えてみましょう。2018年の福岡県の公立入試の説明的文章は、「日本は」という書き出しで始りました。この言葉を見た瞬間に、読解の経験値がある子の頭には「日本と西洋の対比ではないか?」という考えが湧いてきます。すると、次に「これに対して、欧米諸国は」と書かれており、おなじみの「日本vs欧米(西洋)」であることが分かります。「日本」に関するものをチェックしていけば、「欧米」は「日本」の逆だと簡単に把握することができます。日本の住居が自然と一体化していると書かれていれば、欧米の住居は自然と分離していると書かれていることは容易に想像できます。文章をまんべんなく、深く読み込まなくても、文章の典型パターンを知っておけば大きな時間短縮になります。このテーマだとどういう流れで展開していくのか、あるいはどんな結論を導くのかをある程度知っていることは、時間制限のある入試では大きな武器となるのです。
文章の読み方や解き方を知ると、読解をするのが楽しくなります。難問でない限り、基本どおりに読み進めていけば、簡単に解答にたどり着くからです。読解が苦手な子や点数が安定しない子は、基本的な読み方、解き方が身についていません(そもそも誰からも教わらないので当然ですが)。英語長文問題においてそう簡単に成績が伸びないように、国語の読解力もごく短期間で急激に伸びることはありません。さまざまな文章に触れて、時には読み間違いも経験しながら、読解の経験値を積み上げていくのが確実なやり方です。ですから、後回しにせずに、できるだけ早く正しい読解に取り組むべきなのです。ましてや国語力はすべての科目に通じるわけですから、早く手をつけておくことで、他の科目の底上げにもなるのです。