この時期、成績がグイっと伸びる受験生とそうでない受験生の勉強のしかたには大きな違いがあります。なかなか成績が伸びない受験生は、知識の大小にかかわらず、自分の手が楽々届くところの問題だけに取り組みます。問題をパッと見て、「あぁ、これは自分のテリトリーには入っていない問題だ。きっと頑張っても無理だろう」と早々と諦め、自分の馴染みの問題ばかりに取り組みます。すでに自分のものにしている問題ばかりに取り組むので、新たな知識や技術の習得がなく、当然成績は向上しません。たしかに、時間をかけてややレベルの高い問題に取り組んだにもかかわらず正解までたどり着けないと、精神的ストレスが大きくなります。心的平穏を求めようとする場合、新たな問題には取り組まない、これまで解けるようになった問題だけに取り組むという選択をしたくなるのかもしれません。しかし、受験直前期というのは、これまでに培った知識や技術が一気につながりを持ち始め、学力が大きく伸びる時期です。そんな時期に消極的な勉強をしてはいけません。これまで解けなかった問題に挑戦したり、他の都道府県の入試問題に取り組んだりするなど、自分の弱点をあぶりだし、補強するという積極的な受験勉強をするべきなのです。この時期に、できないところや穴に出会ったとき、伸びていく子は「受験前に気づけてよかった」と安堵します。穴に気づき、修復することで、また一歩合格に近づくことを知っているからです。
「得意科目は丁寧に、苦手科目は大胆に」
これが受験直前期の勉強のポイントです。得意科目であれば、ある程度サクサク解いていけるので、そのせいで重要なポイントを見落としてしまうことがあります。また、なんとなくで正解できることがあるので、そこの解答解説をじっくり読むことを怠りがちになります。言い換えれば得意であるがゆえに「雑」な解き方や読み方になることがあるのです。得意科目であれば入試本番でも高得点を取りたいを思うはずです。高得点を狙う上で、取りこぼしは防いでいかなければなりません。基本事項で忘れているものはないか、問題の設定を読み飛ばしていないか、勘違いして理解していないかなど、初歩的なところを軽んじることなく取り組むべきなのです。一方、苦手科目は、苦手であるがゆえに、「細かいことを覚えないと」「総復習しないと」などどあれもこれも習得しようとします。そういう子は、例えば中1理科の岩石の分類で、火成岩も火山岩も堆積岩も凝灰岩もすべてを横並びにしてどうにか詰め込もうとするので、結果的に知識が崩壊してしまいます。たくさんあるものを覚えるときには、時には極限まで数を減らしてみるのも手です。数学において、関数も、方程式も、図形もすべて苦手であれば、そのうち1つまたは2つに絞って勉強するのもアリでしょう。いずれにしても、苦手だからといってこれからすべてを網羅しようとするのは危険なやり方であり、「ここだけは外してはいけない」というところを確実におさえる勉強へとシフトチェンジするべきでしょう。
私立入試が目前に迫っています。これが生まれて初めての受験だという人も多いでしょう。受験本番で奇跡的なひらめきが降ってくることはありません。受験では、これまでの学習経験によって手に入れた知識・技術・思考しか頼れるものはありません。であれば最後の最後まで一瞬たりとも怠ることなく、貪欲に経験値を積み上げていくのが、受験生としてあるべき姿だといえるでしょう。
2月定期考査学習会では、一般生の参加も受け付けています。詳しくは以下の記事をご覧ください。