私立入試まで24日、公立入試まで57日です。焦り、不安、いら立ちが募り、平常心を保つことが難しくなってくる時期です。必要以上に焦ったり、不安を抱いたりせずに済むよう、この時期の勉強の取り組み方について書いてみます。
ここから全教科、すべての単元を整理し、完璧にマスターする時間はありません。よって、必然的に範囲を絞って学習することになります。メインとなるのは、範囲を絞りやすい理科、社会、数学です。その際に、何ができて、何ができないのかを明確にしなければなりません。たとえば、模試で出題されたときに常に正解率が低いもの、出題されたときに嫌な感じがするもの、演習の不足を自覚しているものなどです。それを1枚の紙に書きだしていきます。それもより具体的に書きだすとよいでしょう。「中3の運動とエネルギー」ではなく、「仕事の計算」、「力学的エネルギー」などのように、苦手なポイントを絞っていきます。社会や数学も同様です。気をつけなければならないのは、苦手な部分を抜き出させると、ほとんどすべての単元を抜き出す子がいることです。あまり点数が取れない子や合格点に届いていない子は、苦手な単元が溢れ出てしまい、気がつけば「すべてが苦手」ということになってしまいます。しかし、残念ながら先にも述べたように、もうすべてを鍛え上げることはできません。すべてをやるにはあまりにも時間が経ちすぎています。そこで、次に優先順位を決める必要が出てきます。優先順位を決めるときには、いくつかポイントがあります。
ポイント① 問題を解くための土台となるものは優先してやる。
たとえば、中3のイオンを習得するためには、中2で学習する元素記号や化学反応を理解していることが欠かせません。にもかかわらず、前提をすっ飛ばしてイオンを習得しようとしても、理解できなかったり、あるいは必要以上に時間がかかりかねません。数学の資料の整理ならば最頻値や相対度数など語句の確認から行わなければ、問題を正しく読み取り適切な解答を導くことができません。地理では国名と位置を知らなければ解けない問題が出題されます。模試を解くと、難しい問題ばかりに目がいき、「難しい、解けない」と嘆きますが、もっと基本的かつ単純な問題を確実に解けるのか、本当に理解しているのかを重視すべきです。
ポイント② それをやるだけで、即点数に結びつくものは優先してやる。
覚えているだけ、計算できるだけで、すなわちそれが得点になるものは確保します。歴史の重要年代、特に江戸時代以降の年代は覚えておけば簡単に並べ替えができます。毎年、並び替え問題は2問ほど出題されるので、それだけで4点は確保できます。「年代暗記ではなく、流れを理解するべきだ」という意見もありますが、歴史の流れなどそう単純ではありませんし、中学校で学ぶ歴史だけでは理解するには不十分なものも多いです。理解するのに莫大な時間を消費するくらいならば、100個の年代を覚えてしまったほうが早いですし、それで十分間に合います。ほかにも数学では一次関数の立式、相似証明、文字を使った証明は、高い確率で出題されるので、それなりの練習を積んでおくべきでしょう。
ポイント③ 昨年、一昨年の流れを鑑みて、優先順位を決める。
理科では毎年、出題されない分野があります。そして、出題されない分野は、翌年の入試で出題されます。それゆえ、まずは2018年の入試で出題されていないものを押さえるべきです。その中の一つが中2で学習する気象です。気象が出題されることはほぼ間違いないのであれば、そこでの取りこぼしは何としても避けなければなりません。湿度、雲のでき方、前線のでき方、日本の気象などよく出題される部分の精度は高めておくべきです。大問一題は7~8点ですので、取りこぼしは惜しいですよね。社会でも昨年出題されたものは後回しでも構いません。2018年は金融政策が出題されたので、今年は出ないと判断して、その他の暗記・理解に注力することも必要です。ただし、何が出る、何が出ないというのは中学生が自分で判断するのは難しいところですので、分からなければ塾の先生に確認するのがいいでしょう。
中学校で学習することは、すべて大事ですので、すべて身につけるのが理想です。しかしながら、受験は点数を積み上げていく勝負ですので、いかに効率よく点数を積み上げるかという観点は欠かせません。受験が目前に迫っている状態であればなおさらです。塾でもこれまで以上に点数を取るための指導を行います。どこに時間をかけるべきか、どこを落としてはいけないのか、どこを優先するべきなのか、どこを後回しにするのか…この時期の指導の甘さというのは決して取り返しのつかないものになります。受験に費やしている時間の多くが2月1日、あるいは3月6日の入試当日に実を結ぶよう、冷静かつ大胆に実力を積み上げていこう。
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