今日のお昼ごろ、定期考査終わりの高校生が歩いて帰っている場面を目撃しました。その中には、単語帳なり、問題集なりを片手に持ち、それをちらちら見ながら歩いている子も何人かいました。歩きながら本を読むことは決して安全とは言えませんが、駅から家まで歩くちょっとした時間すらも惜しむ努力は素晴らしいと思います。単語帳を片手に歩いていた高校生は、勉強することは特別なことだとは思っていないでしょう。勉強を、学生の日常に付随したごくあたり前なことだと思えなければ、日々の勉強、特に受験勉強は苦しいだけで終わってしまいます。成績を上げるために勉強するのは当然、志望校合格のために勉強するのは当然。そう思えない子にとっては、さまざまな言い訳を盾にしてでも勉強から逃げたくなるのも当然です。受験勉強を少しでも楽にしたいのであれば、身につけるべき時に、身につけることです。もし、小学校の算数や理科、社会を疎かにしており、超基本的な小数の計算、単位変換、都道府県が身についていなければ、そのスカスカの知識は中学校の勉強へと引き継がれることとなります。中学校の授業では、小学校の計算や学習内容を事細かには説明してもらえません。小学校で勉強したからできるでしょう、といったスタンスです。中学校での指導内容はただでさえいっぱいいっぱいなのですから、いちいち小学校の復習をする時間などありません。そしていずれその知識の不十分さは、数年の時を経て、受験前に負の遺産となって現れるのです。小学校の知識の不十分さだけでなく、中1のときにサボれば中1の学習内容まで受験生の背中にのしかかってきます。もちろん中2の勉強も同じです。中1のときに理解しておけばよかったものを、そのときに「部活が…」とか「先生との相性が…」とか「塾に行くのは中3からで…」などと自分を楽な方へと誘導してきたから、受験生の今苦しむのです。これまで中1、中2でろくに勉強しておらず、受験生になってやるべきことの多さ、自分の不出来さ、点数を取ることの難しさに直面して、ギブアップしてきた生徒を見てきました。悪いことは言いません。少しでも受験勉強を楽にしたい、優位に立ちたい、上位を目指せる位置にいたいと考えるならば、中1、中2の勉強を疎かにしてはいけません。
何も特別なことをする必要はありません。学校の授業を集中して聞いて、そこで理解することを目指す。塾に通っているならば、塾の授業を宿題を、ズルせずにこなす。定期考査は狭い範囲を総復習できる絶好の機会なので、計画的に範囲を網羅した勉強をする。当たり前に計算ができる、当たり前に英文が読める、当たり前に語句が言える、当たり前に文章が書けるというのは非常に大きな武器です(それくらい当たり前の知識がない子が多いということです)。その当たり前を身につけるためには、まずは勉強することが当たり前だと思うことです。部活をしていても、家で勉強することを日常に組み込んでおく、定期考査前には計画を立てることを組み込んでおく。子どもが勉強するか否か、あるいは勉強への耐性があるか否かを決めるのは子ども本人の意識だけではありません。友人関係、学校や塾の指導、その地域、そして何よりもご家庭が勉強することにどのような考えをもっているかが影響します。周りの大人や環境ができないところを見逃したり、見つけたとしても甘やかして許したりしていれば、そのときはいいかもしれませんが、後々子どもが苦しむことになります。それが現れて苦しむ場面が多くなるのが、高校受験直前なのです。