2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

読み手に伝わりやすい文章

作文にはその人の国語力が大きく反映されます。作文や感想文の類は小学校のころから嫌というほど書いてきて、その都度「よくできました」とか「がんばりました」とか無難な評価を受けてきました。作文のコンクールなどを目指さない限り「いい文章を書こう」や「読み手に伝わりやすい文章を書こう」などという気は起きないものです。その結果、その場しのぎの文章を書くことに特化し、たいして中身のない、読み手を混乱させる文章しか書けない子が大勢いるのです。小学生であればほほえましく見ていられますが、中学生であればある程度の文章を書けないと恥ずかしいと思うべきです(そのぐらい思わないと作文は上達しません)。作文の採点を何千枚もやってきていますが、読み手に伝わりやすい文章を書く子にはある特徴があります。今日はそのうちの一つを紹介します。

 

まずこちらの文章を見てください。

「私は野球部に所属しました。3年生では主将になりました。野球部は毎日練習がありました。何度もやめようと思いました。でも仲間がいたから頑張れました。野球部で人生において大切なことをたくさん学びました。」

 

これはいわゆる「細切れ」作文です。1文の中に1つしか情報が入っておらず、ただ意味内容を並べただけなので、幼稚な文章という印象を受けます。またこれを見たときに二文目の「主将になった」という情報がのちの展開で全く生かされていないというのも問題です。「主将」について書くならば、「主将としてどんな苦労や喜びがあったのか」を書くべきでしょう。そして最後の「人生において大切なこと」というのがあまりにも抽象的です。「それは~です。」というように具体的な内容にまで踏み込むべきでしょう(そもそも「人生において」という部分が大袈裟に感じます。たかだか15年しか生きていないのに、もう悟りの境地に達したような表現です。しかし、具体へのつなぎと、その内容が納得いくものであれば、「人生に~」を使っても構わないでしょう)。

 

では次の文はどうでしょうか。

「私が「あいさつ運動」を選んだ理由は、あいさつをすると自然と笑顔になるからで、笑顔の人を見るとこちらまで笑顔になり、そうすると学校全体が笑顔にあふれたものになるので、あいさつを積極的にしていくべきだと思います。」

 

マジックショーでひもにつながれた小さな国旗が口や耳から連続して出てくるというものがあります。まさにそのマジックを彷彿とさせる文章です。文章ではなく文です。1文に意味内容を詰め込みすぎて、よく分からなくなっています。接続詞を使ってはいますが、うまく論理をつなげられていません。これはいかにも「力業」という感じで、どちらかと言えば男子がやりがちな書き方です。

 

ではどのように書いたら読み手に伝わりやすくなるでしょうか。やり方は簡単です。1文の中にいれる意味内容を2つだけ(もしくは3つ)にするということです。もちろん書き方以前に内容に問題があるといけませんが、スタイルとしては「1文2内容(もしくは3内容)」にするとすっきりして、読みやすくなります。

はじめの例を「1文2内容」にすると

「私は中学校では野球部に所属しており、3年生の時には主将を任されました。1、2年生の時には練習がきつくて何度もやめようと思ったのですが、周りの仲間が支えてくれて続けることができました。主将を任されたときはとても驚きましたが、今まで支えてくれた仲間を、今度は主将として自分が支えてあげようと思いました。私はこのような野球部での経験から、助け合いの大切さを学びました。」

となり、断然すっきりした印象を受けます。

 

子どもたちは1文を長くしたら評価が高いと思うようですが、それは違います。短くても構わないので、論理矛盾を引き起こさず、読み手にすっと伝わる文章がよい文章なのです。

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