2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

「基礎」について考える

子どもも大人も皆、「基礎・基本」という言葉を多用します。指導者が子どもに語句を覚えさせる際に、「これは基礎だから覚えておこう」と言えばとても楽です。子どもは「基礎だから絶対覚えないとまずい」と思うでしょうし、大人は最小限の労力で子どもに勉強を強いることができます。子ども同士であっても、「そんな基本的なことも分からないんだぁ」と言えば、簡単に自分を上位に置くことができます。では、勉強において「基礎」とは何を指すのか説明できますか。今日はそんな「基礎」について考えていきます。

 

「基礎」とは問題を解くうえで前提となる知識を指します。具体的には「教科書」の内容こそが基礎だと考えてもらって構いません。言い換えると、教科書に載っていることは知っていて当然なのです。そもそも義務教育で学ぶことに無駄なことなどありません。必要だから子どもは学校で学び、親や教師には身につけさせる義務があるのです。

 

では「基礎的な問題」とは何を指すでしょう。客観的に「何が基礎問題か」を定義するのは簡単なことではありませんので、ここが意見の大きく分かれるところです。私は「過去、入試問題に数多く出題されてきたテーマや設定こそが、基礎的な問題」だと考えてます。「数多く出題されてきた」という部分に抽象性を抱くはずです。その抽象的なものを具体的な問題として示すためには、それなりの確証がなければなりません。青凜館では毎年、すべての都道府県の入試問題を解き、問題の流行り廃り、多彩な切り口、時事問題などを把握しているからこそ、「これは基礎問題だ」「これはここ最近出題が増えてきたから、知っておかないといけない」などと明確に、自信をもって子どもに示すことができるのです。

 

以下の問題を見てください。昨年の静岡県高校入試の理科の問題です。

(問)植物は、環境によって、葉に日光が十分あたる昼間であっても、光合成をさかんに行わなくなることがある。この現象は「昼寝現象」とよばれる。【  】の中の文が、「昼寝現象」の起こる理由について述べたものとなるように、(  )を、二酸化炭素、気孔という2つの言葉を用いて、適切に補いなさい。

【植物は、葉に日光が十分あたる昼間であっても、植物から蒸散する量が多くなりすぎると、植物中の水分を減らさないように、(    )ので光合成をさかんに行わなくなることがある。】

 

この問題は「基礎問題」ではありません。教科書に「昼寝現象」など載っていませんし、学校で教わることなどまずないでしょう。ましてや、「日光が当たれば光合成が活発になる」というのが中学生の常識であり、「昼間なのに光合成を行わなくなる」ということなど知る由もないのです。必要なのは、「知らないから解けない」という単純な思考ではなく、「知らないけど、知っていることから考えていく」という創造的な思考です。創造性とは天から降ってくるわけでも、神から送られるものでもありません。土台となる「基礎」をもとに広く展開していく力です。この問題の場合、「気孔からは気体の出し入れを行う」という誰もが知っている基礎知識があれば十分解答可能です。ただし、(  )の前後や、(  )内の因果関係に注意を払い、論理矛盾を防がなければならないというやや高いハードルはあります。このような問題は、薄っぺらい問題集には載っていません。何事にも優先順位というものがあり、出題頻度の高いものや教科書に載っているような例題を優先しなければならないからです。そして塾でも、「こんなの福岡県の入試に出ないから解かなくていい」と食わず嫌いをするのです。「基礎」を使って解答を創造していくという最も手間のかかる部分の指導を置き去りにしているようでは、学習塾の存在意義などありません。手間のかかるところだからこそ、じっくり腰を据えて育んでいかなければならないのです。

 

そして何よりも大事なことは、「基礎」は「応用」することで身につくということです。「基礎」がないからといって、書店で「基礎を身につける○○」や「○○の基礎」という薄っぺらい問題集を買い、それを解いて満足する子がいますが、それだけでは入試では通用しません。なぜなら、今日の高校入試において、基礎重視の薄っぺらい問題集のような単純な問題は出題されないからです。本気で「基礎」を固めようと思えば、入試問題レベルの問題にアタックするべきです。高いレベルの問題にしっかり叩きのめされることによって、「基礎」の重要性を痛感し、復習することで「基礎」が固まり、「基礎」の工夫の仕方を身につけることができるのです。

 

青凜館の入試対策では、全国の公立高校入試問題の中からピックアップした良問に挑戦してもらいます。はじめは大いに打ちのめされることでしょう。でもそんなことは織り込み済みです。「基礎知識」から「応用」の展開の仕方や、問題作成者の意図を一つひとつ説明していくと、問題の見え方が変わってきます。そうすると解答の流れというものがつかめてきます。しかしそれでは不十分です。最終的には、「こうなるであろう」という結論から逆算して解答の流れを考えるようにならなければなりません。そのためには、それなりに難易度の高い問題にアタックし続けなければなりません。毎年、最新の入試問題から演習問題をセレクトします。各都道府県が本気で作った問題ですから、薄っぺらい問題集とは比べ物にならないほどの栄養が詰まっています。それを十分堪能して、丈夫な学力を身につけられるのも、青凜館が個人塾だからなのです。個人塾は「これは良い」と思ったものを躊躇なく取り入れることができるのです。

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