2024年7月27日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

特長③ 本質の理解

「本質の理解」などと大層なタイトルですが、端的に言えば「単元を正しく学ぶ」ということです。まずは簡単な問題を出します。

 

例題:時速60kmで走る車が、15分で進む距離を求めなさい。

答え:15km

 

「時速」とはいったい何でしょうか。この質問を小中学生に投げかけると、「距離÷時間」と答えます。それはある種正しいでしょう。では、「密度」とは何でしょう。多くの子どもが、「質量÷体積」と答えるでしょう(これさえも答えられなければ、それはそれで大問題です)。

 

人は、分かりやすいもの、表面的なものに飛びつきやすい一方、複雑なもの、深層的なものを敬遠するものです。近年の出版業界において、「マンガで解説」する類の著作の流行は、人々が「複雑な文章を読む」ことから脱却し、「分かりやすい言葉と図表の情報を得る」ことに傾向している象徴的なものだといえます。分かりやすい言葉、平易な文章で書かれており、私たちは、いちいち内容を咀嚼することなく流し込むことができるのです。

 

勉強関連の出版においても同様で、書店の参考書コーナーに行けば「●時間で3年分の復習ができる」や「塾の裏技」などのタイトルが目に飛び込んでくるでしょう。複雑な部分を抜きにして、ポイントだけを抑えるという作業は、「低学力」の子であれば構わないのですが、ある程度の学力、ある程度の高校を目指すのであれば、深層に迫っていかなければなりません。なぜなら、高校では中学で学んだことをもとに、さらに深く学んでいかなければならないのですから。

 

先の例に戻ります。「距離÷時間」の計算とはいったい何を意味するのでしょう。

「時速」とは正確に言うならば、「1時間当たりの進行距離」です。どの辞書を引いても、どの教科書を見ても、その類の説明が書かれているはずです。でも、子どもたちはそんなことを知りません。ややこしい説明を抜きにして、単純に公式化して思えたほうがスッキリするのです。そんなややこしいことを知らなくても、「みはじ」もしくは「はじき」のてんとう虫を書いて、「時速」を求めることができるのです。

 

しかし、成績を上げようと思うならば、一旦立ち止まって「これはいったいどういうことだろう」と考える時間が必要です。冷静に問題を俯瞰するのです。今回の例でいえば、

【時速60kmは言い換えると、1時間で60km進むということだ。15分は1時間(60分)の4分の1だから、60kmに4分の1をかければ、15kmという答えが出るな。】

と、冷静に考えるべきです。公式とは解答を出すための手段であり、数学の学問の本質とは言えないのです。

 

「時速」の例は簡単な計算であるがゆえに、上記のような思考過程がなくても公式化して対処することができますが、受験は単純な思考だけで突破できるほど甘くはありません。

 

数学の図形問題は、答えにたどり着くまでに、どのような計算が必要で、そのために何から手をつけるべきかを分析しなければ太刀打ちできません。社会の地理は図表の読み取りが多いのですが、その根底にあるのは教科書レベルの基本事項の理解です。理科のイオンをただ暗記していたのでは、少し違う角度からの出題がなされた場合、対処することができません。きちんと正確に学習するということは至極当たり前に思えるかもしれませんが、現実はそこにあまりウェイトが置かれていないのです。子どもも大人も「理論・理屈」を抜きにして、楽に勉強しようとしています。正しい理解があるからこそ、公式なり語呂合わせが活きてくるということを覚えておいてください。

 

正しい理解は、その先にもつながります。中学地理をきちんと理解しておくことが、大学受験の地理の基盤となります。イオンを正しく理解しておけば、センター試験の「化学基礎」など容易に突破できるのです。知識を分断するのではなく、知識同士のつながりを感じられるような指導が大切だと思います。青凜館には高校生のコースがありません。他塾であれば、高校受験を終えた生徒を、高校入学後も囲い込み指導をするケースが多々あります。「高校入学後は自力で勉強します」という子どもに対し、「高校ではスタートが大事だから」といって、生徒を離そうとしません。いうなれば、中学の勉強と高校の勉強を分断して指導が行われます。

 

しかし、青凜館は中学生までの指導ですので、高校入学後は自力で勉強に向かわざるを得ません。そのときに単なる表面上の知識しかなければ、行き詰ってしまうのは目に見えています。そうならないためにも、塾では正しく深く理解することに注力します。

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