2024年12月11日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

中学英語で挫折しないために

来年度から、中学校では新学習指導要領に完全に移行し、新しい教科書を使用しはじめます。なかでも、英語の教科書の変更は最も大きな変化であると言われています。小学校で英語を学習したことを前提に中学の英語指導が始まるため、小学英語を十分に学習した子とそうでない子の間にはこれまで以上に大きな差が生まれます。中学校の入学段階で、すでに上位層と下位層の差が広がっているということです。

    

これまで、この地区の中学校ではサンシャインという教科書が使われていました。サンシャインでは、プログラム1でアルファベットを書くことに慣れ、プログラム2でbe動詞を扱い、プログラム3で一般動詞を扱います。ゆっくりゆっくり文法学習を進めていく内容配置となっています。そもそも小学校で英語をきちんと学習していないので、それは当然だともいえます。

    

ところが、来年度から使用するニューホライズンはこれまでとは全く違います。小学校での英語でもニューホライズンの教科書を使っているでしょうが、この教科書を学習したという前提での内容となっています。たとえば、新しい教科書では、ユニット1の中でbe動詞、一般動詞、さらには助動詞のcanの文も扱います。もちろん肯定文だけでなく、否定文も疑問文も扱います。また、小学校の単語に加えて、中学での新出単語も習得しなければなりません。扱う単語量が多いため、小学校での蓄積がない子は、中学での負担が重くなるのは目に見えています。

    

残念ながら、小学校での英語の授業が中学校での学習につながっているとは言えません。リスニングやスピーキングなどのアクティビティ中心で、ライティング・リーディングはほとんど行われていません。もしかすると、塾生が通っている小学校では行われていないだけで、その他の小学校では、中学校での学習を見据えた授業が行われているのかもしれません。英語については生徒間の学力差に加えて、学校間の学力差も大きくなるということです。

    

当塾では、今年度から小学校での英語指導が始まりました。それは、中学英語の難化に対応するためです。これまでは、中1からゆっくりと文法指導をすることができました。しかしながら、新たな教科書では、これまで通りの悠長な文法指導はできないことはできません。 たとえば、これまで中学2年生で学習していた不定詞の一部、There is構文、be動詞の過去形、過去進行形などが中1に下りてきます。 一つの単元にあてる時間が削られるぶん、生徒の理解の定着は難しくなるでしょう。それであれば、小学校の段階で、文法の基礎基本を指導しようと決めました。中学校1年生で学ぶことを、小6と中1の2年間で習得させるイメージです。英語に関して言えば、中1で失敗すると、その後立ち直ることは簡単ではありません。裏を返せば、中1内容を習得しておけば、中2・中3はすんなり進むことができます。それほど大事な中1内容ですので、いくら時間をかけてもかけすぎということはありません。小6で基礎基本を学習し、さらに中1で基礎基本を強固なものにしていく。そうすることで、難化する中学英語を乗り越える文法力を身に付けることが可能です。ちなみに、小学5年生の英語は文法学習ではなく、アルファベット・ローマ字・単語・会話のフレーズの獲得を目指しています。

    

以下は、先日実施した小6生のテストです。

これは、疑問詞を用いる疑問文のテストです。疑問詞を先頭に出して、その後ろは疑問文の語順にする、という基礎基本を徹底しています。日本語を見て、be動詞の文なのか、一般動詞の文なのかを判断させています。3単現のsも正確に扱えています。このまま中学に進んでも問題ありません。

    

次のテストは、助動詞canのテストです。冠詞をつけることや、疑問詞の返答文の主語を代名詞に置き換えることもうまくできています。最後の単語だけ間違えてしまっていますが、語順は問題ありません。平均的な中1の生徒よりも、英文をきちんと書けています。

      

これを見て、「レベルの高いことをやっているな」と思われるのであればかなり危険です。はじめにも書いたように、新しい中学の教科書では、be動詞も一般動詞も助動詞canもユニット1で学習します。疑問詞の疑問文もユニット2で扱います。中学に入学してたった1~2か月で、これらを学習することになるのです。うちの塾生が4月~11月まで時間をかけて学習したことを、たった1~2か月で習得しなければならないのです。

     

小学生を指導する1つの目安として、小学6年生の段階で英検5級レベルの英語力を身に付けさせようと考えています。先日、英検5級の問題を解かせると全員6割の問題に正解できていました(十分5級に合格できるでしょう)。そんな彼らも、はじめはアルファベットすら書くことからのスタートでした。今年の4月の段階では誰一人、A~Zまでの大文字と小文字をノーミスで書くことができていませんでした。そこから、ローマ字、be動詞、一般動詞…と積み上げてきて、ようやくここまでできるようになりました。だからこそ、小学英語をまともに学習してこなかった子にとって、中1英語は相当ハードルが高いということを確信しています。

     

常々言っていることですが、小学校や中学校の勉強なんて、誰でもやればできるようになります。「小学生だから…」とか、「私バカだから…」とか言っていても何も変わりません。大事なのは、最後までやりきれるかどうか、またやるにしても正しいやり方・考え方でやれるかどうかです。そこそこの勉強や雑な勉強で行きつく先は、そこそこの結果や残念な結果です。「どうせやるなら全力で」。どんなに時代が変わっても、努力するとか、一生懸命やるとかいうことの価値は不変です。それどころか、物質的に豊かになり、子どもが楽できるようになったこの時代において、その価値は高まっているとも思います。

      

     

最後に宣伝ですが、小学6年生は、来年の1月から「中学先取り講座」を開講します。ご興味がありましたらお問い合わせください。

     

    

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