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中2の理科では化学の単元が一通り終わり、実戦演習に入りました。先日の演習の中では、水素を集めるのに最適な置換法を答えるという問題がありました。これはすでに中1で学習した内容でしたので、全員が水上置換法と答えていました。しかし、ここで「ちょっと待った」が入ります。なぜ、水上置換法がいいのでしょうか。なぜ、上方置換や下方置換を選ばなかったのでしょうか。中1で学習する気体の集め方には、上方置換法、下方置換法、水上置換法の3つがあります。これは気体の集め方に限った話ではなく、何か複数のものから選ぶ・選べるということは、長所と短所を見極めて、多角的に判断するということを意味します。3つの集め方があるのは、3つそれぞれに得意なことと苦手なことがあるからです。それを理解したうえで、水素という気体の性質と照合して適切な置換法を選んでいく。このように考えていくことが、最近流行りの思考力・判断力の小さな種になるのです。当然、勉強では覚えなければならないこともあります。高校受験では「覚えること」が勉強の大半を占めていると言ってよいでしょう。しかしながら、その暗記を補強するだけの内容理解や因果関係に対する理解があれば、困ったときの助けとなります。持っている道具は多いほうがいいのです。
気体の集め方の話から「多角的に考える」という話をしました。子どもたちはさまざまな経験が少ないがゆえに、どうしても視野が狭くなります。今、見えているものだけがすべてだと考えてしまうのです。先の水素の集め方でも、「水素は水上置換」と丸暗記している子は少なくありません。しかし、水素は空気よりも密度が小さい気体なので、上方置換法でも集めることができるのです。では、なぜ上方置換ではなく水上置換で集めることが多いのでしょうか。「ただひたすらに覚えていく」というのは手っ取り早いやり方ですが、下手すると自分が「これだ!」と判断したもの以外が見えなくなってしまいます。言い換えれば、思考の無い丸暗記では微視的・局所的・ミクロな考えばかりが身についてしまう恐れがあるのです。ですから、学校でも塾でも、子どもたちにはすぐに否定から入るのではなく、柔軟に受け止める姿勢でいてもらいたいです。すぐに「古文とか勉強する意味わからない」「将来、英語使わないし」などと言っていないで、まずはやってみればいいじゃないかというのが私の考えです。何でもかんでも生きていくうえで必要か必要でないかで判断するなんて、それこそつまらないと思うのです。
目の前に複数の選択肢があり、それから1つを選ぼうとする場合、それぞれの長所・短所を複眼的に判断し、決定することが必要です(塾選びこそ、まさに複眼的判断が必要となります)。勉強をする意味は、受験やテストのためというのもありますが、物事をマクロな視点で見るための思考力・判断力を身に付けるためでもあるのです。
話は大きく変わって、先日中3生が受験した県模試の結果が出ました。詳しくは後日ブログで書きます。