2024年6月21日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

2020年度 福岡県公立高校入試分析①(国語編)

現在、春期講習生を募集しております。

詳しくは「2020年春期講習」をご覧ください。


今回からは、昨日行われた公立高校入試問題の分析を行っていきます。1回目は国語です。あくまでも私個人の考えですので、「そういう考えもあるんだ」ぐらいでお読みください。

入試問題分析において決して行ってはいけないのは、解答を見ながら解き進めることです。解答を見ながら解くと、「解答ありき」の思考になってしまいます。決められた解答に近づけるための解説・解き方になってしまうのです。自分が生徒に「こうやって解くんだよ」と普段から教えているやり方で解いていけば、自ずと解答にたどり着かなければなりません。まずは自分自身が生徒と同じ状況、つまり全く情報のない状況で解くのが入試問題分析の基本です。解答から逆算して、「こういう考え方が必要だね」「こういう書き方をすればいいよ」ではいけないのです。

     

今年の大問数はここ数年と同じ5問。各大問の配点は昨年と変わりません。小問数は昨年の20問から2問増えて22問となりました。大問ごとに見ていきましょう。

    

●大問1

漢字・語句の問題です。今年は文法問題が出題されませんでした。文法の対策を行った受験生は肩透かしを食らったことでしょう。

問一 「絶えない」の書き問題。書けて当然な漢字ですがいいところを突いてきたといったところでしょうか。易しい。

問二 「雰囲気」の読み問題。読み間違いの多い漢字なので気を付けて覚えていた受験生も多いでしょう。易しい。

問三 「配慮」の同義語の抜き出し。字数指定があるので、読めば解けたはず。易しい。

問四 「価値のあるものとして大切にすること」を表す語句として「尊重」を答える問題。これが最も悩んだ人が多い問題でしょう。指定箇所の前後の文脈も込みにして考えなければなりません。普通。

問五 「輪」の総画数と同じ総画数の漢字を選ぶ問題。易しい。

     

●大問2

説明的文章。ヒトとチンパンジーの比較を通して、ヒトが高度な社会をつくりあげた理由を探るという内容。「ヒトvs動物」という構造の文章では、「社会性の有無」がカギを握ります。ヒトは社会性が豊かであり、その他の動物にはそれが希薄である、ということです。「ヒト」「チンパンジー」「協力」「食料を分ける」などの語句を見た瞬間に、「これは社会性が重要パターンだ」と発想できれば、それだけで問題に手を付ける前にすでに勝負は有利に動いています。説明的文章では、問題を解く上での「知識」が重要です。何が出題されるか分からない文章にゼロから挑むというのは、時間制約の大きな入試では非常に危険です。昨年の「日本vs西洋」の比較も、今年の「ヒトvs動物」も、文章のパターンを知っておけば、初見の文章でも行きつく先が見えてしまいます。たった数行読んだだけで、もう差がついてしまうのです。とりわけ、今年は文章量が増加しました。ざっと数えてみると、昨年の1.5倍ほどあるようです。おそらくかなりビビったことでしょう。でも社会性の有無がカギを握るということに気づき、読解の基本である具体と抽象を意識して読んでいけば、文字数ほど苦労はしないはずです。「国語は感覚であり、勉強しても意味がない」という人がいますが、やはり「国語には勉強の仕方がある」と実感しました。

問一 「ヒトに備わる稀有な性質」が指す具体的な内容を抜き出す問題。傍線部に近いところには、それっぽい言葉がいくつも転がっています。二行後の「交換と助け合い」がヒトの性質ですが、これでは条件に合いません。中には無理やり「交換と助け合いです。」と書いた人がいるかもしれません。こういう場合は焦らず先に進んでいきます。傍線部はヒトの性質を表す重要部分なので、傍線部付近以外でもきっと登場してくるはずです。ここで下手に傍線部付近にこだわって時間を食ってしまった受験生は、完全に経験不足・実力不足です。文章の途中には具体例ががっつり登場します。具体例は言いたいことだけを掴んで、軽く読み飛ばしましょう。この具体例で説明しているものがまさに「交換と助け合い」です。具体例を読みながらも、具体例の行きついた先には、これまでのまとめが登場しそうな雰囲気が漂っているはずです。そして具体例が終わるとすぐに、解答となる「このような信頼と助け合いの精神」が登場します。段落の初めにある「このような」には、それまでの内容をまとめる役割があることを知っていればすぐに発見できたでしょう。傍線部から解答の根拠までに距離があったのでやや戸惑ったでしょうか。普通。

問二 「サン民族やイヌイット」についての説明として適当なものを選ぶ問題。それらの具体例を用いて、筆者が何を言いたいのかを問うています。ここでは、「助け合い」の説明のなかで「サン民族やイヌイット」を持ってきています。2を一発で選べますが、間違うとしたら1でしょうか。1は「一番多く獲物を手に入れる」をいう部分が不適切です。易しい。

問三 「ヒトとチンパンジーを比較する効果」を説明したものとして適切なものを選ぶ問題。4を一発で選べますが、他の選択肢が明らかに不適切なので、消去法で選んだ受験生が多いでしょうか。1の「血縁のない個体と協力するチンパンジー」は文章の意図に逆行しています。2の「人間の改善すべき課題」は書かれていません。3は文全体がアウトです。非常に正誤判定はしやすい問題です。易しい。

問四 「ヒトはどうして血縁のない他人を信頼できるのでしょうか」についての筆者の考えが書かれている箇所を選ぶ問題。「どうして信頼できるのか」についての筆者の考えというのがポイントです。(C)の終わりに「助け合いが続けば信頼関係が生まれます。」とあり、ここまでが信頼が生まれる過程であることがわかります。(C)以降は交換や分業の話に発展していくので、解答として(D)や(E)を入れるのは適切ではありません。初めて解くタイプの問題でしたが、それほど難しさはありません。普通。

問五 ヒトが「生物史上例のない巨大で発展した社会を作り上げた」過程をまとめて書く問題。空欄の前に「共感能力によって」とあるので、順番通り書いていきます。「共感」→「相手の気持ちを想像」→「助け合い」→「信頼」→「交換」→「分業」→「専門家の誕生・技術の発達」→「社会を作り上げる」となります。ここで最も難しいのは、解答にどこまで入れ込むかということです。すべて入れ込むには文字数が少なすぎます。したがって、優先順位をつけなければなりません。文字数の範囲内で外せないものを判断すると、やはり「信頼」→「交換」→「分業」→「専門家の誕生・技術の発達」までがギリギリです。ちなみに私は、「信頼関係を築き、物の交換や分業が可能になると、専門家が誕生し、技術が発達していく」(40字ピッタリ)としました。やや難しい。

      

●大問3

文学的文章。今年は竹田真砂子の『七代目』という作品からの出題でした。昨年に比べ文章量は減りましたが、登場人物に共感しにくいこともあり読みにくさはあったと思われます。ただし、話の展開は単純で分かりやすいです。人物像や心情を考える問題が多く、出題としてやや偏りすぎでは?と思ってしまいます。

問一 「毎日~水汲みに行った」について、己之吉が海老蔵をどのような人物ととらえていたことがわかるかを抜き出す問題。傍線部付近には見当たらないため先へ進んでいくと、「ぜいたくが、骨の髄まで染みこんでいる大立者と、海老蔵を見こんだ自分が情けない。」とあります。字数指定もあるため難しさはそれほど感じません。易しい。

問二 「安手な男だなァ、俺は」からうかがえる己之吉の心情を選ぶ問題。直後の「手間も暇も、かかった入費も惜しくはない。~ぜいたくが、骨の髄まで染みこんでいる大立者と、海老蔵を見こんだ自分が情けない。」から判断する。3以外の選択肢は明らかに不適切。易しい。

問三 お園の人物設定を読み取る問題。アはすぐには判断できないので後に回します。イの「感謝」は易しいのですぐに入れることができます。それから根拠Ⅰ、根拠Ⅱを読んで、アにあてはまる語句を考えます。受験生によっては問題の意図を読み間違った子もいるかもしれません。お園が己之吉をどのような人物だと思っているかを書いてしまった受験生がいれば、残念でした。きちんと問題文を読みましょう。聞いているのは「お園がどのような人物か」です。お園の発言や「お園は、~渋る己之吉をなだめすかして、目黒へ水を汲みに行かせた。」という記述より、お園は己之吉を励まし支えていることが読み取れます。アはやや難しい。

問四 「己之吉は棒立ちになった」瞬間の己之吉の気持ちを記述する問題。文字数はやや多いですが、指定語句があるので大枠をつくることはそれほど難しくありません。まずは「棒立ちになったときの気持ち」を読み取りましょう。この場面は、海老蔵からの予想外の言葉に驚いた場面です(「棒立ちになる」というのはふつう、驚いたときや恐怖を感じたときにおこる動作です)。そして海老蔵の予想外の言葉とは、自分の努力を評価してくれた(模範解答では自分の努力を見抜いていた)ものでした。普通の受験生は、「自分の努力を海老蔵が見抜いていた」まではなかなか書けないでしょう。解答の後半のつくり方で実力が分かれそうです。難しい。ちなみに私の解答は、「最高のもてなしをするために毎日手間暇をかけて目黒に水を汲みに行ったという努力を海老蔵に認められ、意外なことに驚いている。」(60字ピッタリ)と書きました。やはり模範解答には及びません。

問五 「後に控えているお園の嗚咽が、耳に届く」があることによってもたらされる効果を選ぶ問題。2と3は明らかに不適切です。悩むのは1と4でしょう。2択で悩んだときほど感覚に頼らず、根拠をもって判断する意識を持ちましょう。1の「己之吉が心を奪われた状態」というのは傍線部の直前の「夢のように見つめていた」や「有頂天」と一致しますが、4の「己之吉が誇らしげな様子」というのは書かれていません。正誤判断の基準は本文中にかかれているか否かなのです。普通。

国語の勉強を積んだ生徒ほど、説明的文章よりも文学的文章の方が面倒くさいと感じ、解くのに時間がかかります。1つの語句、1つの情景、1つのセリフから心情や人物像を読みとらなくてはいけない場面が多いからです。そこが、はっきりと主張が書かれる説明的文章との大きな違いです。

       

●大問4

漢文『戦国策』からの出題。いわゆる「君主を説得」パターンの文章なので、大枠を理解することに困難はありません、さらに、現代語訳がついているなんてサービス精神旺盛ですね。しかし、本文を読むのが簡単な分、問題が難しそうな予感がプンプンします。一体どうなることでしょう。

問一 「いひていはく」の現代仮名遣い。何も言うことなし。易しい。

問二 「功」の意味を現代語訳から抜き出す問題。「功績」などで用いる意味と同じですね。易しい。

問三 「韓子盧」が何をたとえているのかを、漢字一字で抜き出す問題。これは勘違いが多そうな問題ですがいい問題です。本文の内容を理解していなければ間違ってしまいます。「犬」だと韓子蘆そのもので、たとえになっていません。「斉が、魏を伐とうとした」と、「韓子蘆が東郭逡を追いかけ」との照らし合わせができたでしょうか。大問4までくると、相当時間に追われて焦っているはずなので、軽く読み飛ばしてしまったかもしれません。やや難しい。

問四 「恐る」の主語を選ぶ問題。現代語訳を見れば一発です。易しい

問五 「斉王懼れて、将を謝じ士を休す」についての説明を完成させる問題。アは現代語の「手柄を得る」という部分を「国土が侵略される」や「国土が奪われる」と変換できるかどうかがカギです。やや難しい。イは「魏を伐つのをやめた」ことがわかる内容を書けばいいです。「将軍を解任し、兵士を帰らせ休ませた」をそのまま書いてはいけません。それは説明ではありません。やや難しい。

       

●大問5

条件作文。コミュニケーションに関する出題でした。第一段落は4人の意見の中から、最も自分の考えと近いもの、あるいは書きやすそうなものを選んで書きます。これはすぐに書けたでしょう。第二段落は、伝えたいことを最も効果的に伝える手段とその方法を書きます。第一段落の内容だけでなく、「情報のやりとり」「相手の状況」の記述を用いれば、字数を確保するのは容易です。

      

大問1はやや易化。

大問2はやや難化。

大問3は昨年並み。

大問4はやや易化。

大問5は昨年並み。

だと予想します。得点率は60%程度で、点数は35~38点ほどではないでしょうか。ほぼ昨年並みですね。時間制約はかなり大きかったことでしょう。1科目から自信を喪失した受験生も多いはずです。

      

      

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