2024年10月9日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

おもしろい問題は、取り上げたくなる

中3生は、9月の中旬から入試対策が始まっています。入試対策が始まって1ヶ月ほどしかたっていませんが、先日の模試では明らかに実力の向上が見られます。ただし、まだまだ知識不足、注意力不足、経験不足が散見されます。良い結果は自信にしながらも、そこに安心したり、気を緩めたりすることなく突っ走ってほしいと思います。

     

受験勉強の鉄則があるとすれば、それは「最後まで徹底的に戦うこと」だと思っています。自分の模試の結果、通知表の評定に満足して、手抜きを始める受験生がいます。もうすでに合格した気になっているのでしょう。しかし、いくら模試の判定がよかろうと、通知表の評定がよかろうと、そんなものは合格を保障するものではありません。確かに、判定がよければ、合格までの道のりは短いでしょう。通知表の評定がよければ、合格圏内に入る可能性は高いでしょう。でも、合格発表のその日まで、合格するかなんて誰にも分らないのです。現状の立ち位置に満足して、努力を怠れば、相対的な立ち位置は日に日に下がっていきます。周りの受験生が、何倍も努力し、実力を鍛え上げ、停滞しているライバルを追い抜いているという事実に気づくのは、いよいよ追い込まれたときです。そして、そうなったときには、もう取り返しがつかなくなっているのです。最後まで徹底的に戦い、自分の実力を貪欲に伸ばそうと努力を積み上げることこそが、受験勉強です。塾生には、本物の受験生になってほしいと思います。

    

受験生も勉強を頑張っていますが、それ以上に私は日々、入試問題を解いています。そして、解いた入試問題の中から、「これはおもしろい問題だ!」と思うものは、受験生に解いてもらいます。そもそも、「おもしろい問題」とは何でしょうか。一問一答形式の問題は「おもしろくない問題」です。また、知識不要で、ただ資料を読みとればいいという問題も、「おもしろくない問題」です。私の中での「おもしろい問題」とは、知識と資料を融合するタイプの問題です。言い換えれば、日々の勉強の中で培った知識と、問題用紙の資料を照らし合わせて、たった一つの答えを見つけ出すことが求められる問題です。この種の入試問題を見つければ、生徒に解かせずにはいられません。なぜなら、このような問題こそが、近年の高校入試、ひいては大学入試で出ているからです。「おもしろい問題」は知識がない人は解けません。資料の読み取りができない人も解けません。「知識」+「読み取り」の2つの条件がそろって初めて乗り越えることができます。

     

今日の授業で受験生が解いた「おもしろい問題」を1つ紹介します。

問題 上のX~Zのグラフは,略地図中に◆で示した3つの都市の年間降水量について表したものである。X~Zのグラフと都市の組み合せとして正しいものを,ア~カから1つ選び,記号を書きなさい。(平成26年度大分県)

ア X:高松市 Y:松江市 Z:高知市

イ X:高松市 Y:高知市 Z:松江市

ウ X:松江市 Y:高松市 Z:高知市

エ X:松江市 Y:高知市 Z:高松市

オ X:高知市 Y:松江市 Z:高松市

カ X:高知市 Y:高松市 Z:松江市

    

太平洋側の気候は夏の降水が多い、日本海側の気候は冬の降水が多い、瀬戸内の気候は年間通して降水が少ない、という知識は、受験生としては超基本事項です。 受験勉強をしてきた受験生ならば、それに関する雨温図の読み取りも、もちろんやったことがあるはずです。ところが、この設定のグラフは、大半の受験生が初見であったことでしょう。グラフの項目が1月降水量、7月降水量、それ以外の月の降水量の3つに分かれており、その分、資料の読み取りに対するストレスが大きくなります。さらに、この問題では、松江市と高松市が何県の県庁所在地であるかという知識を暗に試しています(いわゆる、2段階の思考というやつですね)。このように、基本知識を直接問うのではなく、遠回しに、いやらしく問うてくる問題をみるとワクワクが止まらなくなります(変人だと思われるかもしれませんが、入試問題を楽しめなければこの仕事はやっていません。ちなみ、この問題の答えはオです)。

    

受験生がこの種の問題を楽しみながら解いているかというと、おそらく心の中では「面倒くせーな」と思っていることでしょう。大事なのは、面倒くさいと感じながらも、考えることや読み取ることを諦めないことです。一見面倒くさいと思うような問題も、必要な知識があれば解けるようになっています。「必要な知識があれば」というところを忘れないようにしてください。近年の入試では、思考力・分析力などがフィーチャーされますが、「知識」も当然必要です。

     

     

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