現在、夏期講習生を募集しております。詳しくはこちら「2020年夏期講習」をご覧ください。
6年生の算数では「データの活用」という部分を扱っています。昨年までのテキストではこの「データの活用」には6ページしか割かれていませんでしたが、今年度のテキストではなんと14ページにまで増えています。2倍以上の増量です(今年度からの新学習指導要領の影響)。
「データの活用」とは、平均値や中央値などを用いて、資料の特性を見たり、資料を比較したりする単元です。データの比較や分析は、小学校だけではなく、中学・高校でも扱います。中には「こんなもん勉強する必要はないだろう」という方もいますが、入試には高い頻度で出題される単元であるのも事実です。
当塾では「データの活用」に7回分の授業をあてています。最初の1~2回で代表値の意味と求め方を、次の3~4回でドットプロット(今年度から新たに指導する内容)と目的に合わせた代表値選び方を、5~6回目の授業で度数分布表とヒストグラムを扱い、最後の1回で総演習を行います。
これを見て改めて感じたことがあります。それは、「これって中1の数学とほとんど変わらないじゃないか」ということです。小6で学習する「データの活用」とほぼ同じ(私の感覚的には95%以上同じ)内容を中1で勉強します(であれば小学校で勉強する必要あるのかという気もしてしまいます…)。
「データの活用」に限らず、中1の算数の内容は、小学校の算数に毛が生えたようなものばかりを扱います。文字式しかり、比例・反比例しかり、体積や表面積しかり、小学校の算数をきちんと勉強していた子であれば楽々習得できるものばかりです。逆に言うと、小学校の算数の時点で「できない」「分からない」を数多く抱えていた子が、中学校の算数で奇跡的にできるようになるためには、かなりの勉強が必要だとご理解ください。
話は変わりますが、私は「公式」という言葉を授業ではほとんど使いません。「この公式を覚えておこうね」「これは公式に当てはめたらいいよね」などという説明をすることはめったにありません。年に5回あるかないかというところでしょう。なぜ使わないかというと、「公式」という言葉を使うと、「その公式を覚えていないと答えを求めることができない」と思う子がいるからです。たとえば、速さを求めるときに、「は・じ・き」あるいは「み・は・じ」の図をかかないと計算式をつくることができない子がいます。速さというものの理解を抜きにして、ただただ公式への当てはめで済ませているのです。「それで答えが出るから、いいじゃないか」という方もいるでしょう。しかし、ただ単に数値を当てはめて計算するのと、計算の意図を明確にして計算するのとでは、計算結果が同じだとしても、応用力というところに差が生まれます。その差は、数字が小数や分数になったり、文字が出てきたり、単位変換が必要だったり、新たな条件が追加されたりしたときに明確にあらわれます。先日面談したある新入塾生の子は、「密度は公式覚えていないからできません」と堂々と言っていました。この子に限らず、「公式を覚えていないからできない」ということは珍しくありません。ひどい場合は「食塩水の濃度の公式」「平均の公式」などというものも登場します。しかし、中学校の勉強の中で、「公式」として覚えていなければならないものは数個しかなく(三平方の定理や球の表面積・体積など)、それ以外は理屈や意味を考えればわかるものや、知っていた方がいいよねというものです。ゆえに「これが公式です。ちゃんと覚えよう」と大々的に言うことはまずありません。それよりも、言葉の意味や計算の意図を考えて理解するというのが勉強の土台にあるべきでしょう。