2024年9月10日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

「普通」に考えておかしくないか

小6生(新中学1年生)の「中学入学直前講座」生を募集しています。詳しくは「新中1中学入学直前講座」ページをご覧ください。

また、中3生の冬期講習も募集しています。「2019年冬期講習」をご覧ください。

その他の学年は1月からの受講をおすすめしています(多くの教科が切りのいいところから始まるので、12月でも2月でもなく、1月からの受講がベターです)。

      

数学の方程式の計算では、出した答えを用いて再計算し、ミスがないかを確認するのが普通です。それと同時に、「常識的におかしくないか」という観点からチェックする目を養わなければなりません。たとえば、歩く速さを求めて、答えが分速8mになった場合、そこに違和感を感じるようにならなければならないということです。分速8mというと、1分で8m進む速さなので、常識的におかしいと感じるべきなのです。また、ショートケーキ1個の値段とシュークリーム1個の値段を連立方程式を用いて求めたときに、ショートケーキが120円に対し、シュークリームが680円になった場合、どこかでミスをしたかもしれないと自分にストップをかけなければなりません(材料にこだわったなスイーツ店のシュークリームであれば680円という値段はあり得るでしょうし、格安スイーツ店であれば120円のショートケーキはあり得るでしょう。しかし、私はこれらのスイーツが同じショーケースに入ったお店に出会ったことがありませんし、そもそも680円のシュークリームを食べたことがありません)。数学で用いられる数値は「常識的な範囲」であることが普通です。常識的に考えて(私たちのまわりにある数値と照らし合わせて)、疑問符がつくような数値になることはないのです。

      

ところが、計算の結果、歩く速度が分速8mやシュークリームが680円となったときに、何の疑いもなく先に進んでしまう子が一定数います。その理由はいくつかあるでしょうが、私は「今、自分が何の計算をしているのかを意識していない」ということが大きいのではないかと思います。これから自分が何を求める必要があるのか、それを求めるためにどんな計算式をつくればいいのか、出した答えは自分が求めていたものとしてふさわしいのか、これらの視点が欠けたまま、何となく立式し計算をしているのではないでしょうか。根拠も目的もなくつくった式であるがゆえに、出てきた答えを鵜呑みにしているのではないでしょうか。

    

小学5年生の算数では、かれこれ1か月半ほど「単位量あたりの大きさ」の指導をしています。今年度から「速さ」も5年生で学習することになり、より一層5年生の学習が取りこぼせなくなりました。先日扱った問題に以下のようなものがありました。

「1.5kmの道のりを20分で進むときの速さは分速何mですか。」

このとき生徒がつくった式は、「1.5÷20」というものでした。本来であれば、まずはじめに距離の単位を変換し、「1500÷20」という式を立てるべきなのですが、この子は単位の確認を怠ってしまいました。そしてこの計算をして0.075という値が導き出されました(もし、この数値は分速0.075kmだと認識しており、最後に分速75mに変換する予定なのであれば問題ないのですが、この子はそうは認識していませんでした)。しかし、ここからがこの子は違いました。解答欄に分速0.075mと書くことに違和感を感じ、解答を書く手を止めたのです。本人の中で「分速0.075mということは、1分間で0.075m進むってことだから何かおかしくないか」という疑いが生まれたことでしょう。あるいは、さんざん積み上げた速さの計算練習において、「分速0.075m」のような数値に出会ったことがないため、解答として適切なのか不安を抱いたのかもしれません。いずれにしても、出た答えを何の疑いもなく解答欄に書いてしまうことはしなかったのです。もちろん、初めに単位の違いに気づけなかったのはいただけませんし、そこで気づいていれば余計な手間を省くことができたのは言うまでもありません。しかしながら、自分の持っている知識や経験と照らし合わせて、誤答に違和感を感じることができれば、間違えたポイントまで戻ってくることができる可能性が生まれます。経験値や演習量がまだまだ少ない5年生ですが、自力で間違ったポイントまで戻ってくることができます。それは非常にすばらしいことであり、違和感を感じて立ち止まっているこの子を見て成長を感じずにはいられませんでした。

      

私が小学生の速さの指導において「み・は・じ」の図を使わないのは、「何を求めるためにどのような考えのもと、どのような計算をしていけばいいのか」をその都度考えてほしいからです。何も考えずに計算式に値を代入し、その結果出た答えが出たところで、それは単なるかけ算・わり算の練習に過ぎません。私としては、「この問題の場合、普通に考えてこの計算をすれば答えが出てくるに違いない」とその場その場で考えていってほしいのです。そのためには「普通に考えてこうすればいい」と考えられるかが重要です。「普通に考える」ためには、やはり原理原則・基礎基本にのっとった単元の理解が必要なのだと思います。原理原則・基礎基本を身につけるにつれて、「こうすればこうなる」ということを当たり前に考えられるようになります。反対にそれらが欠けているようでは、学力には幅も深みも奥行きも生まれません。つまり応用がきかず、成績が頭打ちになってしまうのです。

     

     

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