小6生(新中学1年生)の「中学入学直前講座」生を募集しています。詳しくは「新中1中学入学直前講座」ページをご覧ください。
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その他の学年は1月からの受講をおすすめしています(多くの教科が切りのいいところから始まるので、12月でも2月でもなく、1月からの受講がベターです)。
中1の数学では作図の指導が一通り終わりました。テキストにはいくつもの問題が掲載されていますが、必要な武器は大きく3つしかありません。「垂直二等分線」「角の二等分線」「垂線」です。逆にいうと、どんなに面倒くさそうな作図であっても、これら3つの合わせ技でしかないともいえます。「垂直二等分線が引ける」「角を二等分できる」というのは作図をやるうえでのスタートラインに立ったにすぎず、これらをいかにタイミングよく、無駄なく利用できるかが重要となります。
「30度の角を作図しなさい」というのは、どの問題集にも載っている典型的な問題です。この問題を解くときに、「垂線」の作図を始める生徒がいます。つまり、90度の角をつくりはじめるのです。30度と90度は数字だけ見ると近いような気がします。90度を3等分すれば30度になるので、うまくいけば30度の角をつくれるように思えます。しかし、残念ながらこの発想はアウトです。なぜなら、角を3等分するための武器を持っていないからです。3等分する武器を持っていないのに、90度をつくったところで、そこで行き詰ってしまうからです。
作図を完成させるために必要なのは、ゴールをイメージし、そこから逆算して、必要な技能を適切なタイミングで発揮することです。分からないけれどとりあえずやってみることではありません。間違ってもいいからやってみなさいと言われることもあるでしょうが、そんな行き当たりばったりのやり方はいけません。いきなり90度をつくりはじめるのは、完成形をイメージせず、自分の持っている武器も把握せず、何となくやっているだけなのです。
私は作図という単元が非常に好きです。解答を導くための手順の省略が許されず、かつ最少の手数で終えることが求められるからです(私が生徒にそこを要求しています)。そのためには、目の前の問題においてやるべきことを理解し、ゴールの形をイメージし、そこに向かって自分の武器を取り出していかなければなりません。どの単元、どの科目にも共通して言えることですが、「わけもわからずやる」というのと、「目指すべきゴールから逆算して計算や作図をすすめる」というものの違いが学力差を生みだします。ですから、成績を上げたければ「考える・思考する」ということを無視することはできないのです。
以下は、30度をつくる問題で90度をつくってしまった生徒とのやり取りです。
私:「90度をつくったあと、どうやって30度にするの?」
生徒:「3等分する」と答えます。
私:「じゃあ、3等分する方法を知っているの?」
生徒:「知りません」
私:「では、君が持っている作図の武器を3つ言ってごらん」
生徒:「垂直二等分線、角の二等分線、垂線」
私:「この中で、どの武器を使えば30度にたどり着けそう?」
生徒:「角の二等分線」
私:「角を二等分して30度にするためには、はじめに何度の角をつくらないといけないの?」
生徒:「60度です」
私:「60度ってどうやってつくるの」
生徒:「正三角形をかきます」
冷静に考えれば、3等分する方法を持っていないことも、90度をつくることの無意味さにも気がつくはずです。にもかかわらず、そこをスルーして90度をつくってしまうことの深刻さは、作図ができるできないという問題だけにとどまらないと思います。あらゆる場面(勉強以外でも)において、考えることを面倒くさがり、考えることを避けてきて、考えなくて済む選択ばかりをしているのではないでしょうか。学力を上げる過程において「考える」ことを抜きにすることはできません。それゆえ、学力を上げることや学力が高まっていることには、大きな意味があるのだと思います。