今回のブログは読んで気持ちいものではありません。本当はこんな記事を書きたくはありません。書きたくはありませんが、伝えなければならないと思うので書きます。
当塾の国語の授業は、あらかじめ宿題として読解問題を解いてきてもらい、それを授業の中で答え合わせ・解説する形式で行っています。したがって、予習無き状態での授業参加は認めていません。そんな国語の予習において残念な出来事が起きました。
ある生徒が、問題を解くのを面倒くさがり、すでに解き終わった生徒の解答をそのまま写してきました。
これをやられると、私にできることはもう何もありません。他人の答えを写すという行為は、自分の実力を偽ることを意味します。学習塾の指導者は目の前にいる生徒の実力を正しく判断しなければなりません。「彼に何が欠けているのか」「彼はどこまでできるのか」「彼はどのくらいの速度でできるのか」など、できるだけ客観的に、冷静に判断することで適切な指導を施すことができるのです。そのために、生徒の宿題の実施状況や、小テストの解き方・スピードをチェックします。国語の予習については、生徒が漢字テストを解いている間にテキストを回収し、私自身の目ですべて確認しています。その際に見ているのは、たとえば「本文のどこにマーキングしているのか」「選択問題であり得ない選択肢を選んでいないか」「記述解答に入れるべきポイントをどのくらい押さえているのか」などです。それらを確認して、授業の展開は多少変えています。想定よりも生徒の記述解答の精度が高ければ解説は手短に済ませ、精度が悪ければ時間を余計に割きます。できるだけ必要なところに的確な指導ができるのも、その前提として「生徒が自分の力で解いてきた」という信頼があるからです。残念ながら、他人の答えを丸写しし、あたかも自分で解いてきたように装う行為は、その前提を根底から揺るがします。私自身がその生徒の学力を正確に判断できないうえに、本人も学力を上げるつもりがないのですから、私にはもうどうすることもできません。
答えを写した生徒だけでなく、答えを提供した生徒にもきちんと指導をしました。もちろん友達なので断りにくいのは分かります。でも自分がせっかく考えた解答を、何の努力もしていない人に渡すなんて馬鹿げています。友達のためを思っての行動かもしれませんが、むしろ友達の実力を下げ、可能性を奪う最悪の行為です。低学力層の仲のいい友達が同じ塾に入ると成績は全然伸びません。それはお互いを下げ合うからです。面倒なことから一人で逃げる勇気はなくても、二人なら「面倒くさくねぇ?」と協調しタッグを組んで逃げ出します。保護者の皆さん、あなたのお子様が「友達と同じ塾に行きたい」といってきたら要注意です。残念ながら、成績が右肩上がりどころか、下げ合う可能性が大です。友達が全然いない塾に単身乗り込んでくる生徒の成績が伸びやすいのは、分からないときに頼ったり、甘えたりする友達がおらず、自分が主体的に学ばなければならないからです。
今回のできごとは本当に残念です。他人の答えを見る、自分の答えを見せるという行為自体ももちろんですが、生徒のことを「この子は他人の答えを盗む子である」というフィルターを通して見なければならなくなったことが残念でなりません。一度でもカンニング行為をした子には、「そういう子である」という見方をせざるを得ません。本当に残念です。
念のため申しあげておきます。小テスト(再テストも含む)のカンニング行為は一発アウトで退塾処分となります。国語の予習のカンニング、その他の科目の答え丸写しも、学力を偽る行為ですので、警告ののち、再度発覚した場合は退塾処分です。
自分の学力を偽る生徒に、当塾ができることはありません。