学校はとっくに始まっていましたが、当塾の夏期講習は8月いっぱい行っていました。1日だけ台風での休講がありましたが、無事に終えることができました。夏期講習が終わり一段落したいところですが、明日の休みをはさむと9月の通常授業が早速始まります。その前に約40日にも及ぶ夏期講習を振り返ってみようと思います。
中3生は朝から夕方までの勉強しました。基本的に午前中は学校の宿題を進め、午後から授業をするという流れです。受験生にとって夏休みにまずしなければならないことは学校から出された宿題を終えることです。この部分が解決すると、勉強効率の面でも、精神的な面でもかなり優位に立ちます。夏期講習の後半では、どの単元もハードな内容を扱うことになるので、その前に厄介なものは処理しておくことが重要です。そのために夏期講習の前半は課題の量も小テストの難易度も抑えています。自分の実力と宿題の量を考えて、きちんとお盆休み前までに終えている生徒がいる反面、学校が始まる2日前まで学校の宿題に取り組んでいる生徒もいました。学習塾の中には、生徒が学校の宿題を終えているのかを細かくチェックするところもあるようですが、私はそれをするつもりはありません。理由はいくつかありますが、最大の理由は「計画的に宿題をすすめることぐらい自分でやりなさい」と思うからです。定期考査前にも、学校のワークの実施状況や提出物の提出状況をチェックする塾もあるようです。ワークをやっていなかったり、提出物を出していなかったりすると通知表が下がる恐れがあるからです。私はそれもしません。ワークを解いて丸付けをしてやり直しをすることぐらいできるはずだからです。そもそも塾の宿題で、丸付けの仕方、やり直しの仕方は毎回言っていますので、同じようにやれば悪い評価は受けないはずです。話が脱線しましたが、時間があるときに余裕なふりをして、いざ時間が無くなると焦りだすのは成績が上がらない典型です。焦れば焦るほど勉強が雑になり、雑になればなるほど知識として定着しません。問題集の空欄は埋めているけれど、それは単なる作業であり、勉強ではなくなっていることでしょう。残念です。もったいないです。短絡的です。長期的な視点が欠如しています。
授業の内容はというと、ほとんど予定通りの内容を終えることができました。予想外の欠席が目立ちましたが、途中からはもうあきらめて先に進んでいきました。
国語は前半は古典中心、後半は読解と作文中心で進みました。中3生には読解力が不足しています。文章を読むことが嫌いな子の集まりです。文章を読むことへの耐性がない子は、近年の入試で得点を取ることは難しいです。特に古典は読む前から諦めている様子がうかがえたことから、大体の内容がわかるまで繰り返し読ませるところからスタートしました。何度も読んでいくと、わかる言葉をつなぎ合わせて、ある程度のストーリーを組み立てることができるようになります。おそらく彼らにとっては骨の折れる作業なのでしょうが、楽なことをしていても結果が出るわけはありません(これまで楽な勉強ばかりしてきた結果が現状の成績なのですから十分に分かっているはずです)。その成果が出たのかどうかはわかりませんが、今日の模試の古文は何となく読めていたようです。ただし、正確に解答できていたかというと、そこには疑問符がついてしまいますが…。後半は作文に力を入れました。生徒に作文を書いてもらい、全員分の作文を公開添削する方式で、それぞれの良いところとダメなところを共有しました。全員の作文を教材として用い、「ここの具体例の入れ方がいいよね」「ここの文末表現がいい感じ」「ここの助詞は変えたほうがいい」「この一文は長いからいったん切って、接続詞でつなぐように」など、いかにして作文で点数を確保するのかを数回にわたって指導しました。作文には「書くと良さそうなこと」ではなく「自分が思っていること」を書くべきだと私は思っています。たとえば、「外国人旅行者が日本に来て困っていることとして、多言語表示の案内が少ないことがあるようですが、これについてあなたはどうするべきだと思いますか。」というテーマが与えられたとき、「私たち日本人が外国語をもっと話せるようにするべきだ」とか「予算を投じて多言語表示を設置するべきだ」などと書く生徒は多いのですが、中には「外国に行ったら言語がわからないのは当然なのだから、日本に来る前にある程度の日本を練習して来ればいいのであって、多言語表示が少ないというのはおかしな話だ」という意見もあります。生徒たちはどうしても(思ってもいない)良いことを書こうとするので、逆に中身が軽薄で説得力の無いものになります。自分が「日本語を勉強してから来い!」と思うのであれば、多少乱暴な感じがするかもしれませんがそれを書くべきだと思いますし、作文で求められているのは「あなたの考え」なのですから、これでいいと私は言っています。どこかで借りてきたような意見や内容のone of themの作文よりも、自分が思うone of oneの作文の方がよっぽど価値がありますし、魅力的なのです。
数学は、2次方程式、2乗に比例する関数、相似、円まで進みました。ここまで進んだという事実があるだけであって、実力はまだまだです。今年は数学の宿題を出していませんので、演習不足が否めません。少しは自分で考えて練習問題に取り組むかなと期待していましたが、彼らは与えられないと(やらなければならないと分かっているのに)やらないということがわかりました。この夏の一番の収穫がこれです。9月からは1ヶ月ほどかけて三平方の定理を指導し、それが終わり次第入試演習へと移行します。すぐに入試問題を解く実力はありませんので、まずは「直線の式を求める練習をしましょう」「連立方程式を解きましょう」「合同条件を覚えましょう」という基礎の基礎から始めていきます。まずは60点中の30点を取るための勉強です。
英語は、不定詞の応用、分詞、関係代名詞、間接疑問文を終え、中3内容を一通り終えました。一通り終えたという事実があるだけで、実力はまだまだです。中1・中2の復習はほとんどしていないので、模試の結果はボロボロです(これは予想通りです)。9月からは長文読解と文法演習を同時並行で行います。英語力がないので予習が大変になるでしょうが、彼らのペースに忖度していてはとても間に合いそうにありませんので、何が何でもやってもらいます。
理科はイオン、天体などを指導し、中3内容は終了しました。お盆明けからは、中1・中2の復習をザックリ行いました。おそらく最初に扱ったイオンの大部分は忘れ去られているでしょうが、少なくとも学校の授業の理解度は飛躍的に高まったはずです。9月からは中1内容→中2内容→中3内容と順番に復習していきます。当然ある程度の自学はしてもらう予定です。
社会は公民を指導し、お盆明けからは公民の復習と地理・歴史の問題演習を行いました。カンヅメ特訓では年代暗記・都道府県暗記を入れ込み、これまでに身につけてこなかった知識の補完作業にも取り組みました。9月からは地理・歴史・公民の復習に移ります。復習と言っても授業では問題演習が中心となります。知識の暗記は自学でしてもらいます。知識がない子ほどこの夏の勉強時間が少ない傾向があります。知識がない子が知識を身につけるためにはどうすればいいか分かりますね。時間をかけて覚えればいいのです。その覚悟がなく、それをやらないからいつまでたっても覚えられないのです。最後には「自分はバカだから」とか「記憶力がないから」と言い始めますが、正しくは時間をかけていないから覚えないのです。
総じて、今年の中3生はなかなか大変です。そもそもの学力が低いということもありますが、最大の問題は勉強時間の少なさです。この夏に誰一人として300時間の勉強をしていません。そして勉強時間の大半が塾での勉強ですので、自発的に行った純粋な自学というと50時間もないのではないでしょうか。学力の低い子が勉強をしなければ行きつくところは分かりきっていますね。私に与えられた課題は、いかに9月からの彼らの勉強時間を増やすかです。簡単な方法としては課題や宿題をたくさん与えるということですが、本当にそれで彼らのためになるのかと引っかかる部分もあります。おそらく彼らの学力を鑑みると、こちらから強制的に課題を与え、無理やりにでも勉強させた方がいい結果は出やすいと思われます。でもやはり自分で考えて勉強してほしいと願う部分もあります。いずれにしても入試の全体像を把握できていない中3生ですので、こちらが学習のコントロールをしていかないと無秩序な学習になるのは確かでしょう。何度も言いますが、とにかく彼らに足りないのは知識です。そしてその知識を身につけるための時間です。勉強する覚悟がなければ当塾に通うべきではありません。9月からが本格的な受験勉強のはじまりです(ちなみに夏期講習前の模試と今日の模試の結果では平均で50点近く上がりそうなので、彼らがこの夏に受験生としては必要最低限の勉強をしたのはどうやら間違いないようです)。
中3のボリュームが増えたので、中2~小5については、次回書きます。