2024年10月15日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

10回書いて勉強した気になるんじゃない

今日の授業で、中1生に定期考査の目標点を書いてもらいました。しっかり自己分析し、割とリアルな点数を書いており、少し驚きました。子どもたちに目標点を書かせると、考えるのが面倒なので「全部80点にする」とか、そんな実力がないのに「100点って書こう」とする子もいるものです。しかし、今の自分の出来具合と、これからの勉強期間を考慮し、「この科目はこのぐらいを目標にしよう」と勉強を始めて間もない中1生がしっかり考えて決めている光景を見て、2か月前からはずいぶん成長したなと感じずにはいられませんでした。

      

勉強法について気になることがあります。それは、漢字や英単語を暗記するときに、ただひたすら書いて覚えていることです。書いて覚えるのは構いませんが、「とにかく一行分だけ書く」とか、「10回書く」などというやり方は、手が疲れ、時間を消費し、勉強しているという感じがするだけです。これは完全に学校から出される宿題の悪影響だと思います。小学校でも、中学校でも、漢字を10回書く宿題や英単語を10回書く宿題などが出されます。そして、それを出された生徒は、とにかく素早く処理をすることに注力し、覚える気などほとんどないのが実情でしょう。ところが、そのように何回も書くというやり方だけは残っているため、何かを覚えるときにはそのやり方に頼らざるを得ないのです。私から「そんなに書いて覚えるの?覚えていないのであれば無駄じゃない?」と言われて初めて、これまでのやり方というものに疑いを持ち始めます。「確かにたくさん書いているけど、全然頭に残っていない」ということに気づくのです。

      

10回書かない代わりに、1回で覚えればいいじゃないですか。とにかくその1回に集中する。これまでの知識を総動員して無理やりにでも頭に叩き込む。もう次はないという危機感をもって、目の前の1回に尽力する。そのような意識で取り組めば、たとえ1回では無理だったとしても、ただ10回書いていたときよりは圧倒的に少ない回数で覚えることができるでしょう。一つ例を挙げましょう。今日の小テストの英単語に「birthday」というものがありました。練習していたノートを見ると、横一列にbirthday、birthday、…と書いてありましたが、いざテスト形式で書かせると書けません。そこで「birthdayのbirって、birdのbirと同じ発音だよね。だから同じつづりを書けばいいよね。thってbathやmonthと同じだよね。dayは書けるわけだから、あとはそれを組み合わせたらいいんじゃない?自分でバースディって言いながら書いてごらん。」のような指導をしました。自分でバースディをつぶやきながらbitthdayを書くと、たくさん書いても覚えることができなかった単語を、たった3回で覚えることができました。

      

ここには2つの大事なことがあります。1つ目はただひたすら書いてやるよりも、つづりや漢字を意識して覚えることで、勉強の効率が上がり、短時間で勉強を処理することができるということです。そうすれば、より多くの問題に挑戦できますし、あるいは自分の自由な時間を増やすこともできます。そしてもう1つは、勉強には、これまでに身につけた知識や理解を生かしていくことが不可欠だということです。先のbirthdayの例でも、bird、bath、dayなど、覚えるきっかけとなる単語の知識がなければ、覚えるのにもっと時間がかかったでしょう。「知識を応用したり、活用したりすることが大事だ」と言われますが、はじめはこういった簡単な知識の再利用からのスタートだと思うのです。目の前の勉強を、前の内容とつなげ、次の内容につながる形で習得しておく。言い換えるならば、知識どうしに紐づけしておくことで、暗記量は大きく減ります。正確には、暗記にかかる時間が減るといったほうがよいでしょう。

      

これから定期考査の学習が段階的に始まります。それぞれの生徒の勉強のやり方を見ることができる絶好の機会です。「暗記が苦手」という生徒は、本当に苦手なのか、それともやり方に問題があるのかがわかるでしょう。時間は有限ですので、その中でどうやって点数を積み上げるのかを子どもたち自身が考えていく学習会にしていきたいと思います。決して、「ただ書く」「ただまとめる」のような、機械的な勉強にはならないようにしていきましょう。

      

     

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