2024年6月21日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

2019年 福岡県公立高校入試分析②(社会編)

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第2弾は社会です。昨年は5教科の中で最も得点率の低い科目でしたが、今年はどうだったのでしょうか。難化傾向は続くのでしょうか。では問題を見ていきましょう。

      

例年通り、大問6つの構成です。

      

大問1は歴史総合で、13点分ありました。古代、中世、近世、近代、現代からそれぞれ出題されました。これまでは、写真などの資料が並んでいることが定番となっていましたが、今年は表の形式に戻りました。写真が表になったからといって難しくなったり、簡単になったりするわけではありませんが、模試などで慣れていた受験生は少し驚いたかもしれません。

問1:摂関政治に関連する人物を選ぶ問題。簡単です。以上。

問2:「御恩と奉公の主従関係」の時代を答える問題。もちろん中世ですが、これを問1古代の次に持ってくると、分からない子でも簡単に中世を選べそうな気もします。超基本問題が続きますね。

問3:時代感覚を問う問題。まず、設問の文章が何を表しているか分からなければなりませんが、「検地」「検地帳」などの語句から、太閤検地であることは一目瞭然です。あとはそこから豊臣秀吉→安土桃山時代とつなげていけばよいです。これがわかったとしても、それが中世から近世に移り変わる時期のできごとだと判断できなければアウトです。そもそも、福岡の入試では古代、中世などの時代区分の知識は必須です。

問4:近世における農村での人々のくらしを記述する問題。指定語句を使い、資料に書かれていることをまとめるだけで、歴史の深い知識は不要な問題です。書くべきことは「生活水準が上がった」「農村にも貨幣経済が広まった(もしくは農村でも貨幣で物を買うようになった)」「子どもたちは寺子屋で学んだ」の3つです。あとは意味がつながるように文をつくって終わりです。

問5:「大正デモクラシー」を答える基礎問題。印象の強い言葉なので、きちんと覚えている受験生も多いでしょう。護憲運動や男子普通選挙の実現が民主主義的な動きであること分かっていれば、そこから大正デモクラシーにつなげることができますし、「〇〇とよばれる風潮」の〇〇に入る言葉は、大正デモクラシーか下剋上ぐらいではないでしょうか。

問6:財閥解体と農地改革についての問題。民主化の過程で労働組合を解散すれば、流れと逆らうことになります。「農地改革によって小作農が減って自作農が増えた」これも基本中の基本です。財閥解体と農地改革は福岡県で最近出題があったような気がしたので、過去問を見返してみると、どちらの語句も2017年入試において選択肢として登場していました。歴史を得意にしている受験生にとっては何とも物足りない大問1でした。

       

大問2は近代以降の歴史で、7点分あります。歴史で効率よく点を稼ぎたいのであれば、エジプト文明や縄文土器を勉強していないで、開国以降の近代中心の勉強が重要です(それゆえ当塾の春期講習において、中3生の社会はペリー来航から指導します。近代の歴史がわかりにくく、なおかつ重要だからです。春期講習から3か月間じっくりかけて、近代以降の歴史を指導していきます)。

問1:戦時下における国民生活を答える問題。Xは簡単ですが、語句が出てこない受験生もいるでしょう。ただし、資料Ⅰを見ると、ヒントとなる言葉がありますので、落としたくない問題です。Yは記述ですが、空欄の直前の「衣料品などを」と、指定語句である「自由に」をつなげれば、次に書くべき内容は深く考えなくても分かります。「衣料品などを自由に買えなかった」。以上。

問2:「サンフランシスコ平和条約」の調印内容を選ぶ問題。簡単です。以上。総じて、歴史は簡単でした。上位層は歴史では差がつかないでしょう。せっかく語句を覚えて、年代を覚えて、いろんなパターンの問題を解いても、これくらいの問題しか出ないのであれば、歴史の勉強のしかたは考えなければなりません。思考系の問題や知識の組みあわせ問題が減って、ただ単に基本知識を問う問題が増えた印象です。

       

大問3は世界地理で、10点分あります。近年、難易度が特に上がっているのが地理です。今年の難易度はどうだったでしょうか。

問1:地図上の4つの国から、条件に当てはまる国を選ぶ問題。「赤道が通っている」から「う」を消して、日本との時差から「い」も消えます。あとは、「あ」と「え」の日本からの距離で比較して「え」を選びます(最初、「え」がブラジルを指していると思っていましたが、よく見ると実はエクアドルを指していたのですね。完全な見間違いをしていました。スピードを意識しすぎて、軽率な問題との向き合い方になっていました。反省です)。

問2:地中海性気候の雨温図を選ばせる問題です。受験生であれば、地中海性気候の雨温図は嫌というほど見てきたはずです。また、地中海性気候の降水量の特徴を記述する問題も基本です。「夏季」「冬季」という語句まで与えられて、「どうぞ正解してください」と言わんばかりの問題です。ここまでは簡単な問題が続いていますね。

問3:南アフリカ共和国、オーストラリア、メキシコの「輸出品目と輸出相手国」の組みあわせを選ぶ問題。「輸出品目だけ」でも「輸出相手国だけ」でも問題が解けるにもかかわらず、2つとも与えてくれているなんて、やはり今年の社会はサービス精神にあふれています。どの国の貿易にも中国が絡んできています。南アフリカ共和国が中国との結びつきを強めているのも有名です。また工業化が進んでいるのも知っているでしょう。オーストラリアは、工業製品を輸出するにはあまりにも不利なので、輸出の中心は鉱産資源です。メキシコはNAFTAを結んでいますし、メキシコ湾岸には油田があります。

問4:小麦、大豆、カカオ豆、綿花の周別生産量割合のグラフから、大豆を表すものを選ぶ問題。グラフと地図を組み合わせて判断するのではっきり言って面倒くさいです(最初はやや戸惑います)。「面倒くさい」は決して否定しているわけではありません。むしろ、面倒くさい問題がないと差がつかないので歓迎しています。とはいっても、地図を見ると大豆の生産の上位にアメリカ、ブラジル、アルゼンチがあるので、南北アメリカの割合が高いものを選べばよいです。一つひとつ消去法で考えないといけないと思いきや、実は単純な問題でした。

問5:生産拠点の移動、産業の空洞化に関する問題。㋑は資料Ⅳからわかることなので、S国と日本の1時間あたりの賃金の比較をすればよいです。㋺もグラフからわかることをそのまま書けば問題ありません。「人口が増えている」「一人あたりの国民総所得が増えている」の2点です。あとは指定語句の「市場」を組み合わせるだけです。モノを買う人が増えて、さらに一人が持っているお金が増えれば、モノを売るためのマーケットは大きくなるという問題でした。資料で読み取れる内容+αを書くので、正解率は下がるでしょう。

       

大問4は日本地理で、配点は10点です。いきなり地図やグラフが何枚もあってビビってしまいますが、頭はクールにいきましょう。

問1:問題文がわかりにくいですが、ここは国語力を生かして理解しましょう。a~dの中で、「中部地方と接している」「県庁所在地名と県名が異なる」という2つの条件を満たしているものを選びなさい、という問題です。県庁所在地名だけで判断できます。問題文が読めれば簡単です。

問2:グラフの問題は本当に面倒くさいですね(決して、ネガティブな意味ではありません)。関東地方で盛んなのは、機械の生産ですか、それとも食料品の生産ですか。また、関東地方の農業のメインは野菜ですか、それとも畜産ですか、という問題です。グラフを読めば簡単です。このように、地理では基本的なことを問うてはいますが、その前にグラフや地図を読み取らなければならないので、「面倒くささ」が加わり、正解率が下がってしまうのでしょう。

問3:「輸送用機械=自動車=愛知県」です。自動車を飛行機では運びません。以上。

問4:地形図の読み取りに関する問題。福岡で地形図はずっと出ていなかった気がしますが、どうでしょうか。土地利用記号も果樹園しか書かれていませんので、「どれが果樹園の記号だっけ?」と悩む必要もありません。ただ単に等高線の間隔と斜面の傾きを答えるだけです。

問5:促成栽培により時期をずらして出荷することの理由を述べる問題。記述問題として定番の問題です。「高い価格で売れる」というところに帰結するのがポイントですね。

        

大問5は公民です。配点は14点です。公民の学習時間が少ないせいか、毎年公民は易しい気がしますが、今年はどうだったでしょうか。

問1:日本国憲法の基本原則のうち「国民主権」を答える。以上。

問2:衆議院の優越に関する問題。aにはそのまま衆議院の優越を入れる。bは衆議院が優越している理由を答える問題。学校の授業でも、定期考査でも、入試対策でも何度も見たことがある記述です。さらに、「任期」と「解散」に関しての資料までつけてくれています。知識が曖昧だった受験生はラッキーでした。反対に、きっちり仕上げてきた受験生は解きごたえのない問題でしょう。

問3:地方税と地方交付税交付金を選ばせる問題。ここは簡単。また、地方交付税交付金が分配させる目的についても、「格差」というキラーワードが与えられているので、難しくないでしょう。もし、ここまでヒントが与えられて記述解答がつくれないのであれば、それは社会の知識不足ではなく、国語力の欠如ではないでしょうか。

問4:お金の流れをもとに、銀行の役割を記述する問題。この問題は、どこまで記述するか迷うところです。模範解答は、「お金を集めて、それを貸し出す」という内容で終えていますが、受験生にとってはどのくらい詳しく書くか、どれくらい読み取ったことを書くのかは悩ましいところです。たとえば、図では「利子」について書かれていますが、それは解答に入れるべきでしょうか。よく、「過不足なく書く」という言い方をしますが、高校受験においては、「不足なく書く」を意識するべきです。内容が少し多くなりすぎたとしても、それが誤りでなければ問題ありませんが、解答の要素が欠けてしまうとそれは減点です。この記述問題は文字数の制限がないので、ボリュームが増える分にはまったく構いません。

問5:需要供給曲線に関する問題。そもそもどちらが需要曲線で、どちらが供給曲線なのかを判断できなければなりません。「前もって暗記する」でもいいですが、資料を見てその場で考えて判断するというやり方で十分です。グラフを読めれば簡単、読めなければ勘に頼る問題です。

問6:農産物に貼り付けられるラベルの利点を述べる問題。利点なので、どんな良いことがあるのかを書けばよいですね。これも文字数の制限はないので、あまり簡潔にうまくまとめようと考えずに、資料から読み取ったことをつなげてあげるという意識でよいでしょう。

      

大問6は、国際問題に関する大問で、6点分あります。公民の知識はほぼゼロで解けます。

問1:㋑は資料から問題点をまとめる問題。「食料の廃棄が多い」と「食料不足人口が多い」を読み取ります。㋺は一人あたりの穀物生産量を求める問題。単位量あたりの大きさは小5の算数で学びます。

問2:図Ⅱで書かれていることを言葉で説明するだけですが、「~といったことが期待できる」につなげなければならないので、後半のまとめ方がやや悩ましいところです。あまり数多く練習できないタイプの問題ですので正解率は低いでしょう。

      

社会の平均点はどうなるでしょう。印象としては昨年よりは上がるのではないでしょうか。社会は、ぱっと見では難しそうな問題でも、よく見ると大した問題ではないことがほとんどです。事実、今年の問題でも聞かれていることは基本的なものばかりです。「問題解くの面倒くさい」「問題読むの面倒くさい」という気持ちを打ち破ることが得点力アップの秘訣です。そして、少しでも面倒くささを和らげるためには、知識を身につけなければなりません。絶対的な知識の暗記量は必要です。まずは覚えることから逃げない。そして覚えたら忘れないようにする。忘れないためには、理解とセットで覚えることです。意味も分からない語句は簡単に忘れ去られるでしょう。いくら「思考力が大事だ!!」と叫ばれていても、その根底にある知識・技能の重要性は揺るぎません。

      

       

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