今年も残りわずかとなりました。冬期講習に入り、生徒たちは勉強漬けの毎日を送っています。一生のうち中3と高3の2回だけは「勉強した!」と思える年末年始があってもいいのではないでしょうか。自分の好きなことを努力できるのは当たり前です。楽しいことは大した苦にならないでしょう。しかし、勉強は違います。部活のように自分が好きでやっている、というものではないでしょう。勉強をしなければどんな未来が待っているかなど想像も実感も難しいので、勉強をできるならやりたくない、勉強からできるなら逃げ出したいと思うのは当然です。それゆえ、浮つきがちなこの時期に、浮つきそうな自分を抑えて、当たり前のように勉強に取り組める受験生の力には何とかなりたいと思うのです。
今回の下町ロケットでは、佃製作所が「農業」業界に進出しています。実は下町ロケット放送開始の1年半前に、入試問題で下町ロケットでえがかれている場面が登場しているのをご存知ですか。それは2017年の群馬県の高校入試です。
「資料Ⅲは、企業と様々な機関が連携して開発している技術である。資料Ⅲ、資料Ⅳからわかる、この技術の利点を、日本の農業が抱える課題に着目して、簡潔に書きなさい。」
入試の記述問題では、資料の読み取りに入る前に、「何を答えればいいのか」というところを押さえます。何を答えるのかを後回しにして資料を読み取ると、問題と関係ないところに着目してしまったり、自分の主観が入りすぎてしまったりします。すぐに資料を見るのではなく、問題文を正確に読みとることが不要な減点を避けるためには欠かせません。この問題では、「この技術の利点」と「日本の農業が抱える課題」について言及しなければなりません。資料からこの2点を読み取り、記述すればよいのです。逆にいうと、この2点だけを書きさえすれば十分問題作成者の要求には応えており、原点要素はなくなります。そう考えると、記述問題のハードルが下がって見えますよね。
「この技術の利点」は、下町ロケットを見ていれば分かるはずです。無人でトラクターが働いてくれるわけですから、これまで以上に少ない人手で農業ができるようになります。また有人トラクターと無人トラクターを同時に走らせることにより、農業の時間も短縮できると考えられます。
「日本の農業が抱える課題」も、下町ロケットでえがかれています。殿村家では耕作者が高齢化し、自分の田んぼを手放そうと考えていました。日本の農業には、農家が高齢化し、さらに農業従事者が減少しているという課題があります(ただし、新規に農業に従事している人は増えているようです)。
あとはこれらをつなぎ合わせればよいのですが、ここで論理的なつながりが破綻してしまっては、無駄な減点をもらうことになります。字数制限がない場合、あえて一文でまとめる必要はありません。無理に一文にまとめようとするから、つながりのない、意味不明な文になるのであれば、二文に分けてしまえばいいのです。たとえば次のような解答でも十分です。
「この技術には、少ない人手で農作業ができるという利点がある。これにより日本の農業が抱えている農業従事者の減少という課題が改善されることが期待できる。」
「日本では農業従事者が減少している。この技術を用いれば、少ない人数で効率的に農業ができる。」
生徒に「二文でもいいよ」、と言うと解答をまとめるのがかなり楽になるようです。もちろん一文でもいいですが、それが難しいようならばこのようにするのもアリでしょう。
ふだん入試問題はTwitterに載せていますが、今回は長くなりそうだったのでブログに書きました。このように塾では、どのように問題を読むべきか、資料のどこに着目するべきか、どのように解答をまとめるべきかなど、点数を確保するためにどうすればいいのかを一つひとつ指導しています。お金を出して塾に通っていただく以上、偏差値が上がったり点数に結びついたりすることに徹底的にこだわっています。塾で扱う問題は、何かしらの意図をもって集めたものです。その意図を感じ、吸収してくれれば、自然と成績が上がるようにできています。吹けば飛んでいくような個人塾ですので、2019年も生徒の点数を上げるという点にとことんこだわっていきます。
また年明けには下町ロケット特別版があるようなので、ぜひそちらもご覧ください!
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