2024年10月15日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

残り100日でやるべきこと(数学前編)

気づけば公立高校入試まで100日を切りました。惰性で勉強していたら、100日などあっという間に過ぎ去っていきます。ここからの100日弱(正確には公立高校入試まで96日、私立入試まで63日)をどう戦っていくべきか、どう点数を上げていくのか、考察していきます。シリーズ化させるて、全教科書くかは考えていません。数学を書いてみて、良ければほかの科目も書くかもしれません。

 

今回は数学です。数学ほど緻密に、計画性をもって勉強しなければならない科目はありません。というのも、入試では関数、文字式、図形など、偏りなく出題されますが、単元によって難易度に大きな差があるからです。点数を取るべき単元を疎かにして、反対に点数がとりにくい単元に執着していては、効率よく得点を稼ぐことはできません。今一度、近年の入試をもとに、どのような勉強が必要か確認していきます。

 

毎回、大問1は小問集合です。ほとんどが80%以上の正解率の基本問題ですので、いかにここで点を確保するかが重要です。また、部分点は考えられませんので、もったいない計算ミスは論外です。数年分の福岡県の過去問をやってみて、自分にはどんなミスが多いのかを知っておくことが大切です。移項のミス、ルートのつけ忘れ、符号のミス、問題の読み違いなどの弱点が分かれば、あとはそこに気をつけるか、あるいはその単元の練習を積めばよいのです。毎年、確率の正解率がそれほど高くありません。問題の設定自体は、とても基本的なもの(平成28年度は5個の玉、平成29年度は5枚のカード、平成30年度は2個のさいころでした)ですので、教科書にのっている基本問題レベルを確実にできるようにすれば十分です。また小問集合の最後の問題はやや難しい問題が出題されます。平成28年は資料を読み取り、その結果からいえるものを「すべて」選ぶ問題。平成29年は資料を読み取り、2つの中学校の指定の階級の相対度数を求めて、それらを比較する問題。平成30年は4つの数量の関係のうち、yがxの2乗に比例するものを選び、その関係式を書く問題でした。資料の読み取りに関しては、最頻値、中央値、平均値、相対度数、分布の範囲などの語句とそれらの求め方を理解しておかなければなりませんが、関数などの他の単元に比べて覚えることや複雑な計算は必要ありませんので、効率的に点数をとれます。平成30年のような関係式をつくる問題においては、2乗に比例する関係は選べたとしても、その関係式をつくることができなかった受験生が多くいたと想像できます。例えば、「半径がxcmの円の周の長さをycmとする」とあったときに、関係式がつくれないようならば、xの部分に具体的な数字を入れてあげるのがポイントです。大事なのはyではなくxに入れることです。半径が3cmの円の周の長さだったらどうなるかな?と考えればいいのです。周の長さは、3×2×πとなりますので、あとは3のところにxを戻してあげるだけで終いです。具体的な数字だと計算できるけど、文字という抽象的なもので登場した瞬間、思考停止していては時間を大きくロスします。本来であれば数字を用いずに関係式をつくるのがベストですが、それができないのであればまずは具体的な数字で考えていくのがいいでしょう。最後の問題の配点は3点です。3点というのは今年の大問3で出題された記述問題と変わらない配点です。この最後の問題は、他の小問集合に比べ、読み取ること、考えることが多い問題ですので、面倒くさがって適当に答えてしまいがちですが、大問2~6に比べると難易度は下がりますので、当然確保するべき問題だと思います。大問1は全部で21点です。上位校を目指す生徒は全問正解しなければなりませんし、下位の生徒であっても簡単に点数が取れる箇所はここくらいしかありません。6~8分で解くのが理想ですが、下位の生徒は10分以上かかっても、ミスなく乗りきるようにしましょう。

 

大問2、大問3に関しては、来年の入試でどのような問題が出るか分かりません。長年、大問2では方程式、大問3では文字式という出題でしたが、今年は大問2で文字式、大問3で資料の活用が出題され、方程式は大問4に出てくる形になりました。よって、文字式、資料の活用、方程式のどれが来てもいいように対策を練っておくべきです、今年は方程式が出なかったからといって、対策を怠っていて、万が一入試で出題された場合、対応できずに後悔することになります。方程式は、平成29年までの過去問の中の問題をやるのがベストです。5~6年分をマスターすれば十分です。方程式の問題では割合の計算(いわゆる%が出てくる問題)ができることが必須です。〇%減なのか、〇%増なのかによって式が変わります。また方程式を解いたとしても、そこで終わりの問題は少なく、そこから求めたい値を導く計算が入っていきます。典型的なものとしては、先月の利用人数を文字に置き替えて、そこから今月の利用人数を求めるものがあります。方程式は必ず記述解答となりますので、模範解答通りに作る練習をするか、学校や塾の先生に添削してもらうべきでしょう。

 

文字式は文字を使った証明がおなじみです。平成28年はやや面倒な問題が出ましたが、それ以外の年は基本的な証明ばかりです。文字の証明で重要なのは、目指すべきゴールを見失わないことです。文字を使って計算していって、気がつけば証明ができているということはあり得ません。まずは、「どこに行きつけば証明できるのか」を考えることです。例えば、「10の倍数であることを証明しなさい」であれば、10×(整数)の形にもっていかなければなりません。決して、2や5でくくってはいけません。まれに2や5でくくる生徒がいますが、「君は一体どこを目指して進んでいるの?」と問い詰めたくなります。「コンビニに行くならついでに牛乳を買ってきて」と言われたのに、何を買えばいいのか忘れたから、適当にケチャップを買ってくるようなものです。文字を使った証明が苦手な生徒は、まずは終わりをつくる練習をするのがよいでしょう(出だしも重要ですが、出だしはちょっと練習すればすぐにできます)。コンビニに行くときに、頭の中で「牛乳、牛乳」とつぶやいて、コンビニに着いたら真っ先に買い物かごに牛乳を入れてしまえば買い忘れることはありません。同様に、問題文を読んだら真っ先に、ゴールの形をつくるのです。そのためにどんな形になったら証明終了なのかを、いくつかのパターンの問題を使ってやってみるのがいいでしょう。平成26年、27年あたりは基本問題です。目指すべきゴールをイメージさせたうえで、あとはどのようにその形に持っていくのかを考えていくことをおすすめします。

 

資料の活用は、何らかの値を求めて、それらを比較させるというのがお決まりです。必要な計算は平均値、相対度数ぐらいです。最頻値や中央値は見たらすぐに分かりますので、出題の可能性は低くなります。よってまずは、平均値と相対度数の計算ができるようにすべきです。先にも書いたように、資料の活用に出てくる計算というのは、他の単元に比べて簡単なものばかりですので、効率よく点が取れすはずです。教科書や問題集に出てくる平均値、相対度数の計算を練習すれば、ものの1時間ほどでマスターできます。記述解答となることが多いですが、それもビビることはありません。ただ単に計算式を書いて、出てきた数値を比較するだけです。記述解答で重要なのは、いきなり計算から始めないことです。方程式でも、文字式でも、資料の活用でも、図形の証明でもすべてに共通しますが、証明の1行目は、今から何をするのか、何をやろうとしているのか、使用する文字には何の意味があるのかを「言葉」で説明することが大切です。いきなり式が出てきても、一体それが何を意味しているのか、採点者は全くわかりません(もちろんプロならば数式を見れば何をやろうとしているのか分かりますが、採点の際にはそこまでの忖度は働かないということです)。焦っていきなり式を書くのではなく、「今からこういう計算をしますよ。私は何をするべきか分かっていますよ。」というのを解答に残すのがポイントです。相対度数を比較する場合は、「A中学校とB中学校の〇〇の階級における相対度数をそれぞれ求めると、…」などの出だしから始めるのが基本です。

 

ここまでの大問1~大問3は、後半の関数・図形に比べて点数がとりやすいところです。また関数・図形分野に比べて、短時間で成果が表れやすいところです。平成30年度入試では、大問1~3で33点分あります。受験する高校によっては、これだけ取れれば十分なところもあります。ここから受験勉強を開始する、あるいはまずは30点を確保したいというのであれば、大問1~3の対策から始めましょう。最高の教材となるのは、やはり実際の過去問です。数学だけ何年分も載っている本が安く売られていますので、それを「単元ごと」にやるといいでしょう。大問1から大問6まで一気に解くのではなく、「方程式だけ」や「文字式だけ」など、単元ごとに解いていって、できる単元を増やしていくやり方をおすすめします。一気に解くと、解いて、採点して、満足して、終わりになることが考えられますので、一つひとつ単元をつぶしていくことです。できる単元が増えると、これほど楽しいことはありません。勉強が苦しいと感じる原因は、できないことがばかりが見えてくるからです。であれば、まずは範囲を絞って、できることを積み重ねることです。できない、つらい、苦しい、勉強が大変ばかり言っていないで、できるようになる努力をやるべきです。アバウトな勉強は、勉強時間の割になかなか成績が上がりませんので、苦手分野こそ狭い範囲を短期集中で取り組んでいきましょう。

 

 

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