2025年2月9日
  • 須恵町にある高校受験専門学習塾

正しく読む

問題演習、過去問演習の中で、私が頻繁に言う言葉があります。それは「正しく文章を読みなさい」です。受験生は何も言わなければ文章を平気で読み飛ばしていきます。本人は一文一文読んでいると思っていても、実際は読んでいるつもりになっていることは少なくありません。受験において、そもそも解くための知識がなくて点数がもらえないのはどうしようもありません。しかし、知識はあるのに問題を読み違える、または勘違いをして点数を取りそこなうのは決して許してはいけません。1点、2点で合否が分かれるのが受験です。そんな甘い文章の読み方ではいけないのです。

 

たとえば、平成18年度の国語の入試で以下のような文章が出題されました(一部文章を省略しています)。

「イタリアの郊外風景は、樹木の植え方にまで人工美を追求している。それに比べて日本は国土の六七%が森林で、うち五五%は天然林、つまり原始から受け継がれた森である。また日本の代表的農耕の水田耕作は、自然を改変するとはいえ、水をひいて新たな生態系を育むタイプのものだ。」

 

では、この文章に書かれている内容として、以下の一文は正しいでしょうか、誤りでしょうか。

「日本の代表的農耕の水田耕作は、自然を改変するものではなく、新たな生態系を育むものだ。」

 

これはうちの受験生の半数が間違えた問題です。ここだけ抜粋すれば、この一文が誤りだとは気づくでしょう。「自然を改変するものではなく」という部分が本文とは符合しません。間違いの原因は明らかで、本文の「自然を改変するとはいえ」という部分を読み飛ばした、あるいは前後の流れから勝手に「改変しない」と読み替えたことによります。決して読書のように流して読み進めではいけません。とりわけ練習段階では分からない言葉、分からない構文があるたびに、「これはどういうことだろう」「いったい何が言いたいんだろう」ということを考えて読むべきです。何も考えずにただ読書をしているうちは国語の成績は伸びません。まれに高得点をとれたとしても、次も同じ点数を取れるとは限らず、安定して得点源にすることはできないでしょう。傍線や印をつけるにしても、私が印をつけるからそれを真似して印をつけるのではなく、自分が大事だと思うから印をつけるというようにならなければ、受験では点数が取れません。自分一人で戦わなければならないのですから。低い次元にとどまっていないで、より頭を使って勉強しましょう。表面だけをなぞるような楽な勉強をするのではなく、自分の弱点を徹底的に鍛えていきましょう。

 

最近はこんな簡単な問題の読み違い、読み飛ばしが目立ちます。「漢字二字」という指定があるのにもかかわらず、それを読んでいなかったり、記述解答に指定語句をふくんでいなかったりと、できる・できない以前に「注意して読んでいない」という場面が多々あります。読むことを面倒くさがってはいけません。3年後に迎える大学受験は高校受験とは比にならない程の文章や資料を読み、分析しなければなりません。3年たてば自然と文章が読めるようになり、理解できるようになる、などということはありません。正しく読もうという意識で常に読み続けることで、正しく読むことが身につきます(ただし、身についたとしても、長文を読むことの苦痛がなくなることはありません)。受験が迫り、焦りの気持ちが高まるほど、問題文を軽く読みがちになります。きちんと読むことを意識させるなら、今のうちです。

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