生徒の勉強の様子を見ていると、「時間を無駄にしているなぁ」と思う場面が多々あります。そんな場面をいくつか紹介します。
① 完璧にできているのに、それを繰り返している
たとえば、今回の社会の試験範囲には、「高度経済成長」という言葉が出てきます。中学生であれば一度は聞いたことがあるような語句ですので、どんな子でも簡単に覚えることができ、テストでもほぼ間違える人はいません。「高度経済成長」という語句自体、超重要語句ですので、学校のワークでも、塾の問題集でも、必ず問われます。ですので、「高度経済成長」と書かせる問題が出てくるたびに、いちいち「高度経済成長」と書くのはなかなかの時間のロスになります。もちろん学校に提出するワークなどではきちんと書かなければなりませんが、義務的なもの以外の勉強であれば、すでにできているところに時間を注ぐのは非効率です。「高度経済成長」という言葉は急いで書いても10秒はかかります。ゆっくり丁寧に書く生徒だと15秒はかかるでしょう。「高度経済成長」だけなら10秒のロスで済みますが、問題集によく出てきて、しかも誰でも答えることのできる語句はそれだけではありません。「日本国憲法」「国際連合」「サンフランシスコ平和条約」「日米安全保障条約」など、社会科だけでもかなりの蓄積になりますし、それが5教科分ともなるとかなりの量です。勉強時間の多くが「知っていることをただノートに書く」という作業に費やされているのかもしれないのです。「これは何があっても間違えない」という問題に関しては、思い切って飛ばすか、あるいは「高度ー」のように出だしだけ書いてさっさと次の問題に向かうことで、できないところにより多くの時間を割くことができます。時間は有限ですので、いかに時間を生みだすかを考えなければなりません。
② いちいち下敷きを使う
下敷きを使う生徒と使わない生徒がいます。別にどちらでも構わないのですが、下敷きを使うことで他の人よりも時間を損をしていることは理解しなければなりません。下敷きを入れかえる作業にどのぐらいの時間がかかるのかを、昨日こっそり計っていたのですが、だいたい10秒近くかかっていました。それを一日中繰り返していると、これまたかなりの時間になります。下敷きに関しては、時間のロス以上に集中力のロスになるのが問題です。下敷きを入れかえるときに一度落ち着いてしまうのか、どうしても集中が切れます。本人にはそのつもりがないのかもしれませんが、問題から目を離し、別の作業が加わることで、だらっとしたところが見受けられるのです。ただでさえ下敷きを使うことで、他の人より手持ちの時間が無くなるわけなので、そこの行動を気にしていないと、「勉強はしているんだけど、思うように成績が伸びない」という状態に陥ります。そもそも下敷きを使っている生徒は、いつまで下敷きを使い続けるつもりなのか気になります。高校まで?大学まで??社会に出ても、慌ただしい環境でいちいち下敷きを使うのでしょうか。
③ 問題集の解答をいちいち閉じる
塾には問題集を置いていて、自由に使えるようにしています。このテスト対策でも、生徒たちがどんどん活用してくれています。気になるのが採点のときです。いちいち解答集をペラペラめくって、該当ページを探しています。ずっと続きのページの問題を解いているのに、丸付けするたび解答集を律儀に閉じているのです。続きのページを解くのであれば、解答集にペンなどを挟んでおくとか、裏返しにしておいておくとか、そんなことをすれば素早く丸付け作業に移れます。そんな律儀な生徒を見ていると、「いちいち解答集から該当ページを探すのって面倒くさいなぁ」という気持ちは起きないのか不思議です。勉強できる生徒は、予め解答集を開いて机の上において、問題を解き終わったらすぐに丸付けに移行できるようにしています。問題と解答を広げても大丈夫くらい、塾の机を広くしているのですから、環境を有効活用してください。
こういうことは、言われないと気づかない部分ではあります。今までは問題に出てきたものは分っていてもすべて書くのが普通であり、下敷きをいちいち入れかえるのが普通であり、解答を毎回律儀に閉じるのが普通であったのです。ただ単に形式的にやっているのでしょう。しかし、ただ形式的に行うことには、実用的・効果的という観点からみると、改善の余地が大いにあります。時間をかけて勉強を頑張っている生徒だからこそ、その費やした時間分の結果を獲得してほしいと思うのです。
先日ある生徒に、「今回のテスト90点以上取れそう?」と聞くと、間髪入れず「自信あります」と答えました。90点以上を自信もって宣言できる子はそうはいません。ついこの1、2か月間まで、自信なさそうにしていた子が、たった10日間ひたすら勉強するだけで、堂々と90点以上を宣言できるようになるのです。勉強で自信を付けたいのであれば、勉強をするしかありません。そんなことは誰でもわかっています。違うのは、行動に移せるか否かなのです。