中2の数学では一旦先に進むのをストップして中1の復習を行っています。昨日は資料の活用の問題を宿題として出していたのですが、全く解けていませんでした。「中1のときに何を勉強していたのかな」と思う反面、実は資料の活用が解けない子が多いのはよくあることでもあります。この資料の活用という単元は、通常中1の最後に扱うのですが、最後に扱うがゆえに十分な回数が確保できず、どうしても急ぎ足で指導されてしまう運命にあるのです。学校によってはたった数回の授業で終えるということも少なくありません。数学の教科書が200ページぐらいあり、そのうち資料の活用は20ページほどあるわけですので、単純計算で年間の指導のうち10分の1は資料の活用にあてるべきです。今年の入試でも資料の活用で1つの大問が構成され、それが5点分もあったわけですから、もう少しきちんと指導するべきでしょう。
とはいっても過ぎた時間を嘆いても仕方がありませんので、できないならできないなりにやるべきことをやっていかなければなりません。資料の活用においてポイントとなるのは、「最頻値」「度数」「相対度数」「中央値」「分布の範囲」「近似値」「誤差」「有効数字」などの言葉の意味を正確に理解することです。語句の正確な理解がなければ少しでも変化のある問題には対応できません。昨日の宿題が解けていない理由も「言葉が分からない」というものばかりでした。「最頻値って何ですか?」「範囲って何ですか?」という状態では手も足も出ません。もちろん分からなかったり忘れたりは人間だったら誰しもあるでしょう。しかし大事なのはその場面に直面したときにどう対処するかです。「分からないからやりませんでした」では成長は見込めません。そもそも学校で少しは指導を受けたのですから、全く分からないことはありません。自分の身近にあるツールを使って、調べてくることだって可能です。子どもたちにとって分からないものを調べる最も有効なものは「教科書」です。教科書を開きさえすれば、「相対度数」も「近似値」もすべて説明されています。
しかし、「教科書を見て調べたの?」という私の問いに対する彼の答えは「捨てました」というものでした。さらに「なんで捨てたの?」と尋ねると、「部屋を掃除するときに邪魔だったので捨てました」と返ってきました。もうそれはあきれを通り越して笑ってしまいました。もう学校で使わないから捨ててしまうというケースはよくあるのですが、困ったときに確認できないのはかなり不便ですので、少なくとも中学校卒業までは取っておくべきです。最も捨ててはいけないのは理科の教科書なのですが、さすがに理科の教科書は捨てていないようでそれは安心しました。理科や社会の教科書を捨ててしまった人は、教科書を取り扱っている書店がありますのでそこで購入しておいた方がいいでしょう。理科・社会の教科書は受験勉強には必須です。
「ものを大事にする」ことと「知識を大事にする」ことは似たようなものです。「せっかく中1で使った教科書なんだから、次いつ使うか分からないけど捨てるのはもったいないからとっておこう」というセリフはそのまま「知識」に置き換えることができます。「せっかく中1で身についた知識なんだから、次にいつ使うか分からないけど忘れるのはもったいないから覚えておこう」といった具合です。勉強ができない子に、学校でもらうプリントがぐちゃぐちゃになっていたり、すぐなくしたりする子が多いのはたまたまではありません。そういう子は「知識」の扱いも雑なのです。