2024年10月15日
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2018福岡県公立高校入試分析④(理科編)

第4弾は理科です。一塾講師の私見ですので、「そんな意見もあるよね」ぐらいの軽い気持ちでお読みください。端的に言って5教科の中で最も簡単です。基本通り、教科書通りを問う問題でした。ばっちり対策してきた子からすると物足りなさがあるかもしれませんね。福岡県の高校入試で理科が難しかった時代はもう帰ってこないのでしょうか。では大問ごとに詳しく見ていきましょう。

 

【大問1:生物】

植物の蒸散量を調べるという典型問題です。目新しさが微塵もありません。問1は超基本なので反射的に解答できるでしょう。問2もよくある問題ですが、(2)の記述の書き方で悩んだかもしれません。直前に「この蒸散量の違いから」とあるので、教科書通りの記述で問題ありません。問3に関しては、道管が内側にあるのはわかっていても、穴だけでいいのかその周りも塗ったほうがいいのかで迷ったかもしれません。裏をかかずにストロー状になっている穴の部分だけを塗ればよかったのですね。頑張っていろいろ書きましたが、たいして記述することがないくらいの基本問題です。

 

【大問2:生物】

動物の分類をもとにした問題です。昨年この範囲の出題がなかったので、きちんと対策していた受験生は多いはずです。問1は皮ふ呼吸を書くかがポイントになるのでしょう。正確には、両生類は子のときにも皮ふ呼吸をしていますので、子のところにも皮ふ呼吸を書いた人もいるかもしれませんが、会話文からすると「カエル」について検討しているので、えら呼吸のみを書くのが正解になるのでしょう。表だけ見ると間違ってしまうかもしれませんね。問2はセキツイ動物の分類に関する問題です。すでに体の表面については述べられていますので、体温について書くのがよいでしょう。教科書には自分でハチュウ類は自分で食物をとり、鳥類は親から与えられると書かれていますがこれでも正解なのでしょうか。問3は知識問題です。生物の進化は手を抜きがちなところなので、焦った受験生も多いとは思います。ただし答えは相同器官・進化という超基本的なことなので、問題なく解けたことでしょう。

 

【大問3:化学】

酸化銀の熱分解に関する問題です。昨年、金属の化合が出題されましたが、今年も金属の化学反応が出てきました。問1は言わずもがなの基本問題です。問2は金属を見分ける方法で、いくつかあるので知っているものを書けばよいため、簡単でしょう。問3(1)は言葉の問題で、分解と還元、化合物と混合物が曖昧になっていたら間違うかもしれませんが、問題自体は超基本です。(2)の化学反応式もおなじみのものです。金属の酸化物の中で酸化銀は注意しなければなりませんが、受験生であれば何度も注意されていることなので容易に作ることができたでしょう。

 

【大問4:化学】

昨年、イオンの出題がなかったので、どの塾もイオンには力を入れていたのではないでしょうか。問1は化学電池を作る条件(電解質の水溶液、異なる種類の金属)を問う問題で、しつこく指導されているでしょう。問2は+極の様子を選ぶというもので、難しくはありません。問3に悩んだのではないでしょうか。備長炭電池なんて勉強していないという非科学的な姿勢では問題の解決にはなりません。備長炭電池のそれぞれの部分が何の役割をしているのかを考えれば決して難しくありません。備長炭電池と装置Aを比較すると、食塩水を含んだキッチンペーパーは薄い塩酸の役割をしており、ぼろぼろになったアルミニウムが亜鉛版、アルミニウムから移動した電子を受けとるのが銅の役割をする備長炭であることはわかるはずです。ここの問題がトップ校の合否を分けるかもしれません。

 

【大問5:地学】

地層の問題です。以前も述べた気がしますが、地層の問題は慣れてしまえば確実に得点源となるところです。問題が長いので、面倒くさいと思ったかもしれませんが、図や会話が多いだけで、内容は大したことありません。問1は簡単すぎて、これでいいのかと疑うレベル。問2も基本です(ただし、塩酸をかけると、水素と書いてしまう子が多いのは事実です。曖昧な知識では合格できないのです)。問3は混乱するところではありますが、悩んだときは図を書けば見えてきます。問4も地層問題の典型パターンです。愛さんが丁寧に教えてくれているので、いきなり方角を求めるよりも楽だったはずです。準トップ校あたりでは差が出る問題です。

 

【大問6:地学】

透明半球を使った太陽の観察です。問1は点Oを答えさせるという問題はよくあるのですが、文章で説明しなさいというのは珍しい出題です。「油性ペンの先端の」という出だしに丁寧にも「の」という助詞を入れてくれているので、「影」という言葉が出てきやすかったはずです。問2は基本問題です。問3(1)は単なる割り算です。その後、〇時間〇分に直すところと引き算を丁寧に行いましょう。(2)は教科書通りに記述してください。透明半球の問題はそれほど出題のパターンがありませんので、天体が苦手な子にとっては良かったでしょう。

 

【大問7:物理】

昨年出題のなかった電気の登場です。設定はありきたりなもので、恐れるに値しません。問1はいくつか考えられますが、知っているものを書いてください。問2はオームの法則の基本です。問3は合成抵抗を求めるだけです。使用する電熱線も同じものなので面倒くさい計算がありません。上位校受験者であればそもそも計算するまでもなく解答できます。問4も顔なじみの問題です。磁界から受ける力の問題ときたら「電磁誘導」はテッパンです。

 

【大問8:物理】

運動とエネルギーに関する問題です。問1は球が静止しているというのが重要です。球の重力を正しく分解してください。問2はただの作業で、間違える理由がありません。問3は球Xが木片を18cm動かすためには、何cmの高さから転がせばよいかという問題で、比例式を使うのが簡単ではないでしょうか(正直、比例式を使うまでもなく、暗算で大丈夫です)。問4の時間に関しては普通に考えて正解できたでしょう。球の速さが速くなると書いてしまった子は、エネルギーの理解が曖昧なのでしょうね。高校に入って一から勉強しなおしてください。

 

全体的に、それほど深い分析や思考を必要とする問題ではないので、トップ校であればほぼ満点付近に固まってしまうのではないでしょうか。記述は多いですが、教科書通り、練習問題通りに書いていいものばかりですので楽だったはずです。試験時間が5分伸びたにもかかわらず、目立った傾向の変化がありませんでしたので、理科が苦手な子にとってはラッキーな入試だったと思われます。個人的に、このぐらいの難易度であれば平均点は35点ぐらいあってほしいです。

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